【期末テスト】赤点？留年？？春雷、四日間の死線＜物語編＞｜リアクション

【期末テスト】赤点？留年？？春雷、四日間の死線＜物語編＞

　期末テスト四日目。
残す教科も後二つ。休み時間に入ったが、雑談している生徒はほとんどいない。自席で次教科の勉強か、トイレ休憩で席を立っているかの二択だ。
（トイレ、行っておきましょうか）
　愛猫萌々子は席を立って廊下へ出ると、

ぴりりー！

　鋭い笛の音がした。ある意味聞き慣れた音ではあるのだが。
　振り返ると、身長低めのお団子娘が男子生徒を追い回していた。笛吹ぴりりである。
「待ちなさいー！　そんな格好で登校しちゃダメなのです！」
　その様子に萌々子は苦笑を浮かべるしかない。
（神魂の影響消えたらこうなりますよね）
　人によるのだろうが、未だに雷の影響が抜けない人はいるのだろう。
　萌々子自身も最初の二日間は影響を回避できずに私服登校をしていたので、影響力の大きさが伺える。
（と、とりあえず、フォローを入れましょう）
　友人としてこの騒がしい状態を納めねば。
「あのーぴりりちゃん。テスト期間中は服装自由って言われてませんでしたっけ？　一応今日まではそう思ってる生徒さんが多いですし」
「萌々子ちゃん……それはどこ情報ですか」
「せ、先生方も注意していませんでしたし、理事長さん、とかその辺りの人が」
「言っていないと思います」
「ですよね！」
　さすがに適当な嘘では丸め込めなさそうだ。
「というか萌々子ちゃん、あれはさすがに許すわけにはいかないのです！」
　びしっと指を指した先の男子生徒はひざ丈短パン水着にパーカーを軽く羽織った海水浴スタイルだったのだ。肌色多めである。
（た、確かに）
「で、でも私服で良いって言われてるし」
　廊下の端に追い詰められた男子がそう言い訳をした。
「萌々子ちゃん、水着と私服って同じ扱いですか？」
「さすがに、違うような」
　ぴりりが思いっきり笛を鳴らした。
「校則違反です！」
「あ、それなら、パーカーの前を閉じるっていうのはどうでしょう？」
　萌々子の提案に男子生徒ははっとしたようで、素早くパーカーのファスナーを上げた。
「む……」
　納得は行かないようだが、納得したぴりりである。
　短パンパーカーの男子生徒は自分の教室へ戻って行った。
「よりにもよってテストの最終日に風紀が乱れるとは思わなかったです……！」
「ま、まあまあ。風紀委員の仕事も大事ですけど、後二教科頑張りましょう。あ、予鈴もなりますよ」
　四日目、後半戦だ。