【期末テスト】赤点？留年？？春雷、四日間の死線＜物語編＞｜リアクション

【期末テスト】赤点？留年？？春雷、四日間の死線＜物語編＞

　綾辻綾花は、学校近くのブックカフェの前に立っていた。今日は早川珪との待ち合わせだ。
　テスト期間後で採点などの仕事があるが、昼休みに時間が取れるとのことで少しお茶でもしようということになったのだ。
「綾辻さん」
　珪は手を振って歩み寄ってきた。
「お疲れ様です、珪さん」
「ごめんな、少し遅れた」
「大丈夫です。お仕事大変なところ、ありがとうございます」
「いいよ。ブックカフェと聞いたら興味が湧いたんだ」
「入りましょう」
　並んで入店。ちらっと見ると赤、黒、白のチェック柄のワイシャツを着ていた。少し派手だが、彼が好む色であり、珍しい格好だ。
（そういえば、自由服装だって言ってたような）
　本を選んで飲み物を注文し、半個室の席へと座る。
「テスト終わりましたか？」
「今日から採点だけど、テストは無事終わったな」
「テスト……普通に終わりましたか？」
「ああ、実は」
　雷が落ちて停電し、寒さに加え、何故か自由服装でのテスト期間になったらしい。
「なんか……いつも通りですね。色々な意味で」
「ああ、もう慣れそう……ではないか、退屈しないな」
　苦笑を浮かべる珪はそれなりに楽しそうだ。巻き込まれたのかもしれないが、雷に打たれたとかそういう話がなかったのは良かった。　
「珪さんのそのシャツ、いつもより派手ですよね。すごく似合ってますけど」
「ああ、自由服装だから買ったシャツなんだが、やっぱり少し派手だったな」
「自由服装ってこういう感じなんですね」
　普段着ない私服を着てくる感じだろうか。
「いや、水着や着ぐるみの生徒もいたから、僕はレベルが低めだったな」
（いつも通り過ぎます、珪さん）
「それにしても、進級もかかってる試験なのに、生徒達は少し可哀想だった。集中出来たなら良いけどな」
　小さくあくびをする珪は非常に疲れているようだ。
　思わず、綾花は珪の頬に触れた。
「！」
「大丈夫、ですか？　無理しないでくださいね」
「ありがとう」
　彼は優しく微笑んですっと手を重ねてくれた。
「午後も頑張るさ」