【期末テスト】赤点？留年？？春雷、四日間の死線＜物語編＞｜リアクション

【期末テスト】赤点？留年？？春雷、四日間の死線＜物語編＞

　４時間目が終わり、水上桜はいつものスポーツセンターの温水プールへ急いでいた。今日はマタ工水泳部の滝沢匠と自主練を行う予定だ。期末テストの関係で５日ぶりである。
　いつもの入口で待ち合わせ。
　全力疾走したためか、匠の姿はまだなく。
　桜は小さな鏡を取り出して前髪を少し整えた。
（５日ぶりかぁ）
　５分ほどして、待ち合わせ時間ピッタリに彼がやってきた。彼の顔を見た瞬間、ドキッとして胸が高鳴るのを感じた。
「あ……久しぶり、滝沢君」
「５日ぶりだな」
　にっこりと笑う彼の笑顔は花が咲いているようで、こちらまで嬉しくなる。
　着替えを済ませ、ストレッチをしたあと、お互いのフォームを確認、練習を開始した。
「はぁ〜。気持ちいい〜」
　水に包まれる感覚も久々だ。
「俺も久しぶりだ」
　テスト期間中は、部活が中止されるためである。
　２時間ほど泳いだ後、休憩することにした。プールサイドのベンチに並んで座る。
「それで、どうだった？」
　匠の質問はテストのことだろう。
「まぁ、手応えはあるかな」
　勉強をしていた箇所が丸々出たので。
「俺も。大丈夫そうな気がする」
「気がするの？」
「なんとなくな」
　２人で笑い合う。
「そういえば、今回のテスト期間中、自由服装だったのよね」
「私服ってことか。珍しいな」
　桜はうーんと唸って、
「何故か私は競泳水着で受けたんだけどね」
「私服！？　え、それどういう」
「水着の人も結構いたし、そういえば最近流行ってるアニメの主人公の格好の人もいたかな」
「マジか？」
「うちの学校、妙なところがあるからね……」
　桜は１日目のカオスぶりを思い出し、遠い目をした。