はこづめ。に｜リアクション

はこづめ。に

八十八旗信彦は、剣崎エレナと共に箱詰めにされていた。ぎっちり詰められ、辛い体勢になりながらもどうにか脱出の条件を読んだのだが。
「こ。こんなことをしなければならないのかい？」
「ふうん。困ったわね。２択だなんて」
　
脱出条件　エレナの縦ロールにパーマをかけるか、信彦が英語の小テストで全問正解。

　数秒の間。
「行けるわよね？　八十八旗君」
「ストレートパーマ！？」
「そっちじゃなくて、小テストよ。英語なら、私とみっちり勉強してるのだから心配ないでしょ」
「もちろん。俺に任せて。それはそれとして、エレナちゃんのストレートもみたいな。絶対似合うと思うんだ」
小テストのほうが秒で済むでしょう」
（くっ、確かに。エレナちゃんに迷惑はかけられない。俺が頑張らないとね！）
　信彦はぎゅっと拳を握りしめた。
「わかった！　なーに、ここ最近、英語の勉強を頑張ってたからヨユーなはず！」
　いつの間にか条件の追加が表記されていた。
「えーと、問題は信彦特有の英語参考書における「大学入試頻出！　ことわざ・慣用句」からランダムに出題し、挑戦する度に問題が更新されるものとする。カンニングした際の小テストは無効とする。……なんか俺のこと把握されてる？」
「八十八旗君の参考書なら本当に余裕ね。これは必要ないわね」
　エレナが出してきたのはヘアアイロンだった。
「！？　持ち歩いて」
「気づいたら持ってたのよ。でも必要ないわ」
　と、英語の問題が壁に表記された。
（圧が凄いぞ！？）

　次の文を英訳せよ。

①蒔かぬ種は生えぬ

➁学ぶのに遅すぎるということはない

　次の文を和訳せよ。

③Practice makes perfect

④There is no royal road to learning

計４問だった。

（これは昨日の夜に全部やったぞ！）
　勝った。この時点ではそう思った。

①②③は驚くほどすらすらと解いたが和訳の最後の問題である。

④There is no royal road to learningの和訳が頭から抜けてしまったのだ。

「ぐぬぬぬぬ」
「とりあえず、単語単位で和訳してみなさいよ」
「単語単位……高貴な道を走る！」
「IQ下がりすぎでしょう。Runningではなくlearning。これはことわざ。勉強に関するものよ」
「ふむ。確かroyalは卵とブイヨンを合わせて」
「IQマイナスになっていない？」
　そんなやり取りを繰り返し、何度目かの小テストで無事突破することが出来たのだった。

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