はこづめ。に｜リアクション

はこづめ。に

　唐突に意識が戻り、アシュリー・アンダーソンは目を開けた。薄暗く狭い空間だ。意識を失う前の記憶は曖昧で、状況がよくわからない。
「う、やけに狭いな」
　そう呟いて、足の位置を少しだけずらしてみる。
「ひゃんっ」
「！」
（もう一人いるみたいだな）
　薄々気づいていたが、誰かと二人で閉じ込められているようだ。
「悪い、変なところに当たったか？」
　ぶつけた、とかではないだろう。
「ううん。良いところに当たっちゃったあ」
「い、良いところ？　てか、お前、ブリジッタ・クルツか」
　たまに遊ぶ小さい子、という漠然としたイメージがある。
「あー、アッシュだぁ」
　アシュリーはほっとした半面、少し不安になった。独特のちょっかいをかけてくるので、時々どう反応すれば良いか分からなくなる。
「ここはどこなんだ？」
「うーん。ボクも分からないんだけど～。ねえねえアッシュ～。右手を握ってみて？」
「ん？　こうか」
「あんッ」
「！　なんか柔らかいぞ。まさかこの感触は」
「優しく、揉んでみて良いんだよ？」
　アシュリーは慌てて手を話した。
「こんな時に何させる気だよ。それより、ここから出る方法を考えないと」
　純粋に力業ではびくともしなさそうなのだ。
「おや？　アッシュの後ろの壁に何か書いてあるねえ」
「ほんとうか？」
　振り返ってみるが、首が上手く回らない。
「ううう。無理だ。ブリジッタ、読めるか？」
「ほうほう、なるほどぉ？　ボクにエッチなことをすれば出られるらしいよ！　アッシュ」
「……ん？」
「ボクに、エッチなイタズラをして、あんあん言わせたら、二人でここから出られるって。えー？　めっちゃかんたーんだねぇ♡」
「い、いや、なんだそれは。女子同士だぞ！　あり得ないだろ」
「嫌なのぉ？　でもでもぉ、それしか方法はないみたいだよぉ？　やるしかないでしょ～♡」
　黙るアシュリー。
（意味わからないだろ。てかエッチなイタズラってなんだよ？　何をどうすれば）
　薄暗い中、ブリジッタがニヤニヤ笑っているのが見えた。
「もしかしなくてもぉ、エッチなイタズラのやり方わからないんだぁ？」
「えぇ？……呆れちゃう。そんなモテそうな見た目してぇ……好きになった子を気持ちよくする方法も知らないだなんて、雑魚じゃん。しょーがないからぁ、ボクが教えてあげるっ♡アッシュの身体にぃ……♡どうすれば気持ちよくなれるのか、刻みつけてあげる♡
それでやり方が分かったらぁ……ボクにも同じことができるでしょ？」
　ブリジッタが、はむっとアシュリーの耳たぶを噛む。
「ひうっ」
　瞬間的に、ゾクゾクっと悪寒が走った。
「可愛い声〜。ねぇ、もっと聞かせて。れろ♡」
　耳たぶを舐められ、慌てて体を後退させる。
「す、ストップ！　ストップ！　お前の事をそんな目で見た覚えはない。答えはNoだ、って毎回言わなきゃいけないのか？」
「なら、一生このままで良いの〜？」
「……」
「脱出のためなんだから、やらないと、ね？」
（誰だよ、こんな悪趣味なことするやつは。後でぶん殴りてーな）
　とはいえ、覚悟を決めるしかないようだ。
「それじゃさっそく♡」
　初手で優しく、両方を鷲掴みにされた。
「ひぃ」
　もみもみ。
「ちょっ！　仕方ないのは分かるが、せめて口頭で教えてくれ！　ひあっ」
「やーん。可愛い反応〜。はい、クリクリ〜」
「んん、ああっん」
「ふふっ♡普段はかっこいい王子様なのにぃ……こうされると、情けな―い声で鳴いちゃうんだぁ♡ざぁーこっ♡やり方わからないから責め返せない、ざぁーこっ♡」
「こ、言葉は関係、ねぇだろ！　うう」
「真っ赤になってはぁはぁしてるアッシュ、すっごくエロいなぁ♡こうすると、大きくなるんだよぉ？」
「は、激しくするなっ。ううん。ああっ……」
　意識がボヤけてきた。
「んん゛っ……♡やばっ……"わからされ"ちまっ――♡」

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