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【天へ還る】
椎井 莉鳥
は舞う。天守は目前だ。
銃火へ刹那に応じ首を傾ける。瓦を鉛が穿ち砕け散り足を取られ、雪化粧をまとう棟へ飛び移る。
「幕派の忍びか……!」
空を裂く音、飛び剣が二本。匕首で一本をさばき、続く一本を指で受け止め投げ返す。忍びどもは業炎渦巻く城下へ木偶のように落下していった。
青甲冑の忍びどもは幕派の命を受け、深く城下へ入り込んでいる。覆しようもないほどに。民も兵も木っ端のごとく散っていった。眼前にて苦無に眉間を貫かれた朱纏いの忍びなどは莉鳥の顔馴染みであった。
「このっ……」
鎖を奔らせ、青甲冑の首を鎌で刈り取る。莉鳥ほどの手練れは敵にも味方にもおるまい。莉鳥が駆け、手をひるがえせばそこには死の花が咲いた。
それが莉鳥を悔やませた。自分さえ天守におれば、このような暴虐を許しはしなかったろう。あらゆる忍び技を用いて幕派の犬コロなどどうとでも屠ってみせた。守り抜いてみせた。そのはずだった。
「お館さま……!」
幼気な主の微笑を思えばこそ力が湧くが、同時にその身を案じれば胸が張り裂けそうに軋む。青甲冑はすでに天守へ入り込んでいるのだろうか。主の安否は皆目分からない。不安に揺れながらも瓦屋根を駆け上がる。
瓦を砕きながらに跳躍し、宙にて投げ放つ苦無の三本は炎の尾を引き、青甲冑の足元へ突き立つと同時に爆裂して吹き飛ばす。砕けた青片とともに忍びどもは落下していった。間髪入れず踏み込みひとりを斬って捨て、もうひとりの足を払い転がしたところへ首元をひと突きに仕留める。
莉鳥は天守をにらむように見上げ、鉤縄を放つ。危急にあって主を救うことこそ忍びの本分。莉鳥は跳んだ。
「ほら、たべよ?」
「……でも。私はお館さまの忍びですから」
屈託ない瞳にほだされるのは時間の問題だったが、少なくとも忍びの矜持がそう答えさせた。しかし幼さゆえか、この齢にしてこの意志の強さゆえか、主はまるで意に介さなかった。
「ごはんはいっしょに食べたほうがおいしいの。ごはんがおいしいことは、私のためになることでしょう。そしてあなたは私のための忍びでしょう」
「そう、ですが」
「ほら。なんの問題もないじゃない? あなたは私といっしょにごはんを食べるの」
有無を言わせぬ幼き主が莉鳥に姉や母代わりを求めていると、気づかぬでもなかった。天守にあってはいかつい武将や侍、胡乱な忍びどもばかりで遊び相手など望むべくもないが、少女は気丈に日々を耐え忍んでいたのだ。
莉鳥は子守ではないにしろ、いくらか主のなぐさめとなれるのならそれもやぶさかではなかった。母親ゆずりの愛嬌や笑顔が長引く戦に曇るのを、歯がゆく思っていたから。
「では……少しだけですよ」
「いいから、ほら。座って」
幾度も膝をつき合わせて食事をともにした。ときに笑い合い、触れ合った。少女は莉鳥の思うより少女であり、同時に莉鳥の思うより大人びて、双方があやうい天秤の拮抗で保たれているらしいことを悟った。少女の繊細は忍びであって自身もまた少女である莉鳥をかき乱し、いつしか主従を越えた愛着を抱かせるに十分だった。
そうして育まれた絆が、少女にそうさせたのだろう。寄せられる確かな信頼に気づかされた頃、彼女は口にしたのだった。
「莉鳥。私にはこの戦を終わらせる力がある……といったら、あなたは信じる?」
信じたのだ。莉鳥は。そして旅へ出た。
腐り苔の谷の化け鼬を屠り、不浄の花から彩なき露をすくった。常しえの氷室を支配する雪鬼女を縊り、とけない心臓を手に入れた。鰐狩り衆の縄張りへと踏み込み、火砲に雨あられとさらされながら大鰐の逆鱗を集めた。主の懇願するままに。
瓦落多に思われたそれらをいかように操ったところで、少女が戦に集結を見い出す道理はつくまいと思いながら凱旋した莉鳥が目の当たりにしたのは、主の座す燃え上がる天守だった。
「お館さま!!」
青甲冑を切り捨て飛びこみ、倒れ伏す主を目にし莉鳥の胸は弾けんばかりに鼓動を打った。
駆け寄り抱き起す。主の精緻を凝らした羽織りが血に汚れたがもはや気が及ばない。汚れは忍びのもののみならず、主自身のこぼした命でもあったので。
「……りとり」
「お館……」
「てにいれてくれた?」
今さらなんになろう。しかしすがるように莉鳥は、瓦落多を主の震える手に乗せた。
するとどうだ。手のなかの露も心臓も鱗も、光となってほどけてゆく。主は命尽きるまでの最後のひと息で、光をすうと吸いこんだ。
「ありがとう……」
微笑みは莉鳥の見たなかでもっとも安らぎに満ち、穏やかだった。
龍が顕現した。莉鳥はいつからともなく続くこの戦で、幕派がなにを手にせんとしていたかを今さらながらに悟った。
龍は目に映るもの全てを射抜かんと落とすいかづちで国という国を灰燼に帰し、長大な身をくねらせながら雲を割り天へと昇っていった。いかづちは遠く離れた都へも打ち下ろされ、幕派は継ぐものもなくなり解体に至ったという。
侍も忍びも禄を失ったが、崩れた城壁に腰かけ眺める、この澄み渡る空。莉鳥の胸は一抹の寂寥を片隅に抱きながらも、希望に満ちていた。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
墨谷幽
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
2人まで
シナリオジャンル
オールジャンル
定員
5人
参加キャラクター数
5人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2024年02月16日
参加申し込みの期限
2024年02月23日 11時00分
アクション投稿の期限
2024年02月23日 11時00分
参加キャラクター一覧
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