ただ、ウォルターはそういうことはしなかった。
「大人を……いや、男を煽っちゃだめだよ」
そう言って、靴下を置き、プレゼントに添えられたカードをとる。
Be my valentine.
そう、柚春が書いたカードだ。
――そして。
レモンの香りのインクで書かれた文字に口づけて。
ウォルターはカードを、柚春に差し出してきた。
それを反射のように受け取る柚春。
(なんでこれを僕に渡したの、ワット……!)
Be my valentine.
この言葉に、意味があるのかないのか。
聞けぬまま、柚春はウォルターを見つめ、小さなカードを胸に抱きしめた。