this frame prevents back forward cache
0
0
はじめての方へ
ヘルプ
ログイン
\ オーバータイム!/
種族
学年:職業
00月00日生 00歳
AAA000000
ホームトップ
おしらせ
新着通知
はじめての方へ
遊び方
世界設定
キャラクター一覧
キャラクター検索
キャラクター作成
らっポ
チケット
コミュニティトップ(検索)
コミュニティ一覧
公式コミュニティ一覧
公開トピック一覧
コミュニティ書き込み検索
シナリオトップ
シナリオ一覧(参加受付中)
シナリオ一覧(すべて)
リアクション一覧
ゲームマスター一覧
ゲームマスター検索
イラストトップ
イラスト一覧
イラスト検索
イラストレーター一覧
イラストレーター検索
自作イラスト一覧
アイテム一覧(検索)
マイリスト一覧(検索)
寝子島(全景)
寝子島(地図)
寝子島(セカンドマップ)
寝子島高校
怒り
<< もどる
1
…
3
4
5
6
7
犯罪捜査というものは極論してしまえば、他人の排泄物へ顔なり腕なり突っ込み、半身どころか時に全身とっぷりと浸かってどす黒く濁る視界の中、誰かの落とした指輪のかすかなきらめきを探すようなものだ。手足を動かし前へ進むにも重い抵抗をかきわけねばならないし、辟易として精神を削り取ってゆくのは臭いだ。臭気は捜査対象の品性下劣や狡猾、悪辣、暴虐の度合いや狂気に比例して濃密となり、
水槻 清恋
をして吐き気を催さずにいられない。だからなりたての若い巡査などは耐えきれずに朝飯なり昼飯を汚濁の一部として還元するのだ、安い刑事ドラマやクライムムービーよろしくに。
勤続十余年、清恋はまあ、慣れてきた。巡査部長という立場にもあるわけで、後進に無様は見せられぬという一応の矜持も持ち合わせている。臭いが濃密であればあるほどに痕跡をたどりやすくなり、この世の屑や下衆に清恋なりの正義の鉄槌を叩き込む機にも繋がろう。しかしその代償は決して軽くない。汚泥から上がり制服を脱ぎ捨て、裸身に熱いシャワーをいくら浴びようとも落ちない臭いや汚れも少なくないのだ。いつまでも鼻につき、ともすれば想起せずにいられない。吐き気催す所業、捕らえられてなお悪びれぬ外道の勝ち誇った笑み、救いなき被害者の慟哭を。
つまりそのようなものが清恋に纏わりつき、未だ臭うのだった。寝子島署刑事課ではもっぱら「木天蓼大学デートレイプドラッグ事件」と呼ばれていた、字面を改めて眺めるに虫唾が走る。清恋は床へ文字どおりに唾を吐きだしたい思いを飲み下した。ここしばらく、清恋は上司とともにこの事件へかかりきりだった。主犯格の男……少年というには大人びて、大人と呼ぶには子どもじみた、モラトリアム人間の具象化したような男は格別の臭いがしたものだ。仔細までは語るまい、清恋もしばらくは思い返したくなかった。
そこで間の悪さを発揮したのが件の、優雅なブランチをコンクリートへ吐き散らした若い部下の一人だった。
「まったく。胸糞悪いったら……あ、お疲れ様です、水槻巡査部長」
「ええ。お疲れ様」
書類仕事を片付けていたところだ。まさに木天蓼大学の一件で、この部下もまた捜査の続きに当たっている。何しろグループの何人かはまだ逃走中であるし、拘置所に収容中の主犯格からはおびただしい余罪がこぼれ落ちるフケかシラミのごとく湧いて出てくるものだから、課内の誰も彼も未だ休まらなかった。当分はこれが続くだろう。その一端を担ってくれている彼へ清恋も素直に労いを述べたのだが、続く言葉が眉をひそめさせた。
「例の動画ね、もう少し確認進めたんですけどね。ああいうの、分かんないなぁ」
「……何が分からないの」
「笑ってる娘がいるんですよ。コトの最中に。それも一人や二人じゃなくて。ゲスな連中にヤラれてるのにですよ? いくらクスリ飲まされてたからって。分かんないなぁ、あの子らは最初からそのつもりでついていったんじゃないかと。どう思います? 巡査部長」
犯人逮捕から一区切りがついてなお、臭気の強まる事件も多い。犯罪そのものではなく、周囲にあふれる無自覚な批評家たちの振るう刃が血の汚れを塗りたくるのだ。
悪気はないのだろうし、いつもは気のいい青年だ。彼もまた事件の汚濁に絡め取られているだけだ、清恋には嫌というほどに理解ができた。それでいて何故だかこの時は、抑えが利かなかった。
「……何を言ってるの」
「えっ? だって笑って」
「何を言ってるの!! 被害者の何を知っているというの? その時の怖気を振るう恐怖や嫌悪、痛み、抵抗できない無力への絶望、諦め、彼女たちに正常な判断ができたと思う? されるがまま、ただ必死に過ぎ去るまでを耐えている間、彼女たちがどんな反応を返せるというの? あなたは何も分かってない。あなたは何も分かってない!!」
「ちょっ、そんな……僕だってこの事件にはもちろん思うところあって」
「黙りなさい!!」
怒りだ。止め処なくあふれ、指向性を伴わぬ怒りだった。解放する相手は誰でも良かったように思うし、何なら人でなくても良かったかもしれない。荒い口調で垂れ流した論調もどこまで理屈立っていたものやら。
後から思い返すにも実につまらぬ言い争いは、上司や部下らが泡を食って止めにかかるまで十数分は続いた。
「……それが今日の、いまいちご機嫌ナナメな理由ってわけ?」
「ごめん。あなたにまで垂れ流すつもりなかったのに」
はははと軽い笑いが心地よい。弛緩した肉体をベッドへ投げ出しながら森谷 錠へ語ったのが、よきガス抜きとなったようだ。今に至るまでどうにも、胸がもやもやしていたままだったので。セフレと汗みどろで絡みあううち、そんな鬱屈もずいぶん小さくなっていた。
「構わないよ。要するに、おたがいソレが目的なわけだし」
「そうね……」
彼はそう言ってくれるが、先ほど待ち合わせたチープな居酒屋の小上がりで、既に付き合いも長いとはいえ一般人にこぼしていい愚痴ではなかったと思う。警察官として恥ずべきところだ。おまけに長い話は結局その後に移動したホテルでも、情事のさなかにまでも及んでしまった。
しかし彼も清恋がどういった人間であるのか、ある程度理解した上でこの気楽にして上っ面な関係を続けてくれている。相応に図太く、タフなメンタルの持ち主であろう。だからこそたびたび汚辱にまみれ落ち込みがちな清恋の精神のケアに一役買ってくれているのだ。
「で、どうするべきかな? もう少し君の濃密な体験を聞くのもやぶさかではないよ。ああもちろん、興味本位ではなくてね。君の力になりたいから……それとも、あるいは」
「もう一回、いい?」
けだるい身を起こして彼へとのしかかる。夜気に肌はいささか冷えたが、内には何だか燃え上がるような熱を帯びていた。
「今夜はもう少し荒々しく。OK?」
「仰せのままに」
翌日。いささか腰が痛むが胸はすっかり、晴れていた。
「あの。おはようございます、巡査部長。昨日はその……」
頭を下げる部下へ、清恋は気まずさと申し訳なさと清々しさの同居するどうにも曖昧な表情を滲ませながらも、かろうじて笑みを浮かべることができた。
<< もどる
1
…
3
4
5
6
7
このページにイラストを設定する
あとがき
担当マスター:
網 透介
ファンレターはマスターページから!
お待たせしました。網です。
怒りっぽくなるお話でした。
自分は気が長いほうなので、何かに怒るとかキレるといったことはあまりないです。
怒っている人がいると、萎縮してしまいます。
穏やかに、平坦な心で生きていきたいと思う所存です。
お楽しみいただけておりましたら幸いです。
それでは、また次回に。
網でした。
↑ページトップに戻る
シナリオ
シナリオトップ
シナリオ一覧(参加受付中)
シナリオ一覧(すべて)
リアクション一覧
ゲームマスター一覧
ゲームマスター検索
シナリオご利用ガイド
グループ参加ご利用ガイド
シナリオタイプのご案内
怒り
シナリオガイド
リアクション
参加キャラクター一覧
コメントページ
ダイアリー一覧
シナリオデータ
担当ゲームマスター
網 透介
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
定員
10人
参加キャラクター数
7人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2024年01月10日
参加申し込みの期限
2024年01月17日 11時00分
アクション投稿の期限
2024年01月17日 11時00分
参加キャラクター一覧
もっと!