遅刻のサンタ？　ブラックホーリーナイト☆｜リアクション

遅刻のサンタ？　ブラックホーリーナイト☆

　持ってきた箒で、珪と共に石灰を道路の端に掃きながら綾花はつぶやく。
「ブラックサンタもなまはげも見えなくなりましたね」
　そこへ、桜井ラッセルが現れた。
「うわ、なんだこれ……サンタとなまはげの姿を見て追いかけてきてみたら」
　ラッセルは、道路の惨状を見て呆然とした。
「それが……」
　綾花はさっき見た子供のことを話す。
「そうだったのか……なまはげはまだわかるけど、サンタが夢壊すのはどうかと思うぞ。そんなことするブラックサンタズが悪い子なんじゃ……？」
　ラッセルは、風の精晴月のことを思う。
（晴月は、本物のサンタに出会って、すごい！と喜んでた。晴月の感動も壊したくねーし改心してもらわねぇと）
「この石灰をたどれば居るかもしれません」
「おう了解、サンキュな」
　綾花の言葉に、ラッセルは頷き、走り出す。
　そして角を曲がると、人目がないのを確認してオルゴールの金の鍵を強く握りしめた。
　ろっこん『ピヨコ変化』が発動、シロフクロウの姿になって高く舞い上がる。
（子供たちの夢を壊したら寝覚めもわりーし解決すっぞ。笑顔が一番だからな！）

「彼に任せておけば大丈夫そうだね」
「ええ」
　ラッセルを見送った綾花と珪は、二人で掃除しながら進んでいった。
「こんなに掃くのは年末の大掃除以来です」
　石灰は広範囲にばらまかれ、掃除簡単には終わらない。
「なかなか疲れますね。でも珪さんといつもより遅くまで一緒にいられるので楽しいです」
　風が吹いて石灰を舞い上げ、綾花の髪に粉がかかる。
「大丈夫かい？」
「髪にまでかかっちゃいました。ふふっ、珪さんも白くなってます」
　綾花はおかしそうに、珪の髪に触れる。
「もう、これじゃ寮に帰れないですよ」
「えっ？」
　戸惑う珪に、綾花は笑みを返した。

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