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- 学年：職業
- 00月00日生 00歳
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【進路・受験】君等の道、未来のために
試験を終えて
端折りすぎと言われるかもしれないが、二日目の試験はつつがなく終了した。
これで、今年の共通テストの幕は下りたのである。
試験会場にほっとした空気が漂い、受験生たちは筆記用具を仕舞い始める。
笑顔で友だちと話し始める者、がっくりと机に突っ伏す者、オーマイガッ！と叫ぶ者など様々だ。
「……うん、普通に大変だった」
恵御納 夏夜は黙々と鉛筆を片付けていた。
（よく考えると初受験なんだよね僕……）
それはそうだ。双子の妹ということになっている少女から分かれて１年しか経っていない。ということは、高校受験は経験していないということである。
（あの子や皆は大丈夫かな……後日の本試験も頑張らないと、だね）
冷静沈着な夏夜のことだ。きっとやってのけるだろう。
◇
（できたー！）
桜井 ラッセルは心の中で快哉を叫ぶ。
（間違い、解答ミスないよな？ 中々上手く行ったんじゃねーかな）
手ごたえはあった。不安なところもあるけど、白紙じゃないだけ頑張った。
そう思いながら試験教室を出て校門に差し掛かると、そこに千が待っていた。
「千！ 帰るまえにそのへんで羽伸ばさねー？」
ラッセルは大きく手を振った。手を振り返す千は笑顔だ。きっと上手く行っている。
◇
「もしもし、珪先生ですか？」
綾辻 綾花は校門を出たところで電話をかけた。
『綾辻さんかい？』
「はい。今、試験終わりました」
『どうだった？』
「落ち着いてできたし、あとは結果を待つだけです」
綾花ははそう報告する。試験中に珪の顔が浮かんで、ちょっと焦ったことは内緒だ。
珪の声が耳朶を打つ。
すこしずつ肩の力が抜けてゆくのを感じて、自分がまだ緊張していたことを知った。
『頑張ったね』
先生の声は優しかった。
「頑張れたのは、珪さんのおかげです」
綾花はその場に彼がいるかのように深く頭を下げたのだった。
◇
『無事終わったわ。大丈夫だと思う』
木天蓼駅へと歩きながら、神野 美野梨は友人にニャインを送る。
するとすぐに、お疲れさま、と返事が返って来た。
早くホッとして会いたいね、とも。
『そうね、結果が出たら会いましょうか』
そう返信すると、返って来たのは、いいね、の意味の可愛らしい猫のスタンプ。
（次は二次試験。頑張りましょう）
◇
木天蓼駅前で、見覚えのあるツインテールの少女とアホ毛の少女が抱き合っている。
七夜 あおいと野々 ののこだ。
「あおいちゃーん、どうしてここにいるの？」
「頑張ったみんなを労いたくて。ののちゃんはどうだった？ ばっちり？」
「ばっちり？ それっておいしい？」
「う、うーん、号泣を通り越してピュアな笑顔になっちゃうくらいかあー」
どうやらののこの試験の出来は、ピンチっぽい。
「神よ！ 奇跡を！」
ののこの祈りに苦笑していたあおいだったが、ハッと気づいて試験終わりの学生の群れの中に手を振った。
「修くん！」
名を呼ばれ、八神 修は目を擦った。
「夢か？ 俺は願望から幻を見ているのか？ あおいがこんなところにいるなんて」
「やだな、夢じゃないよ。ほんもの、ほんもの！」
硬かった修の顔がぶわっと上気し、眉の間がほどけてゆく。
（嬉しい。この時間だろうと考えて待っててくれたんだ。言葉にできないくらい嬉しい）
修が言葉をなくしている間に、ちょうど佐藤 英二が通りかかり、ののこはバイバーイと去っていった。
「修くん、大丈夫？」
あまりに無言が長いので、あおいが心配そうに修の顔の前で手を振る。
「あ、ああ。想定外だったものだから。寒いのに、俺のために……」
「修くんのためだけじゃないけど、ま、そうかな」
「ええと、時間あるか？ なにか暖かい飲み物でも……」
「えへへ。私、ナイスだなー。頑張った帰りにはあったかいの欲しいかと思って、これ」
あおいが差し出したのは、あったかいコーンポタージュの缶だった。
黄色い表面にマジックで「おつかれさま」と書いてある。
あまりにさりげない労いの言葉。
お金の価値では測れないあおいの気遣いに、修の胸はじんとした。
「どうだった？ なんて、聞かなくても分かってるけどね。修くんなら心配ないでしょ？」
「ああ。点数は取れたと思う。あとは二月さ」
「さすがだねー」
あおいはからりと笑った。本当に心配はしていなかったらしい。どんなときも猛勉強してきた修の姿を見てきたから、彼が成果を出すのは当然、と信じているのだ。
修は、あおいに貰ったお守りを取り出した。
「このお守りが俺に力をくれたよ」
「よかった」
あおいは微笑む。その微笑が愛おしく、修は両手であたたかいコーンポタージュの缶を包み込んだ。
――誰よりも近くにいて。そうすれば俺はもっと頑張れるよ。
端折りすぎと言われるかもしれないが、二日目の試験はつつがなく終了した。
これで、今年の共通テストの幕は下りたのである。
試験会場にほっとした空気が漂い、受験生たちは筆記用具を仕舞い始める。
笑顔で友だちと話し始める者、がっくりと机に突っ伏す者、オーマイガッ！と叫ぶ者など様々だ。
「……うん、普通に大変だった」
恵御納 夏夜は黙々と鉛筆を片付けていた。
（よく考えると初受験なんだよね僕……）
それはそうだ。双子の妹ということになっている少女から分かれて１年しか経っていない。ということは、高校受験は経験していないということである。
（あの子や皆は大丈夫かな……後日の本試験も頑張らないと、だね）
冷静沈着な夏夜のことだ。きっとやってのけるだろう。
◇
（できたー！）
桜井 ラッセルは心の中で快哉を叫ぶ。
（間違い、解答ミスないよな？ 中々上手く行ったんじゃねーかな）
手ごたえはあった。不安なところもあるけど、白紙じゃないだけ頑張った。
そう思いながら試験教室を出て校門に差し掛かると、そこに千が待っていた。
「千！ 帰るまえにそのへんで羽伸ばさねー？」
ラッセルは大きく手を振った。手を振り返す千は笑顔だ。きっと上手く行っている。
◇
「もしもし、珪先生ですか？」
綾辻 綾花は校門を出たところで電話をかけた。
『綾辻さんかい？』
「はい。今、試験終わりました」
『どうだった？』
「落ち着いてできたし、あとは結果を待つだけです」
綾花ははそう報告する。試験中に珪の顔が浮かんで、ちょっと焦ったことは内緒だ。
珪の声が耳朶を打つ。
すこしずつ肩の力が抜けてゆくのを感じて、自分がまだ緊張していたことを知った。
『頑張ったね』
先生の声は優しかった。
「頑張れたのは、珪さんのおかげです」
綾花はその場に彼がいるかのように深く頭を下げたのだった。
◇
『無事終わったわ。大丈夫だと思う』
木天蓼駅へと歩きながら、神野 美野梨は友人にニャインを送る。
するとすぐに、お疲れさま、と返事が返って来た。
早くホッとして会いたいね、とも。
『そうね、結果が出たら会いましょうか』
そう返信すると、返って来たのは、いいね、の意味の可愛らしい猫のスタンプ。
（次は二次試験。頑張りましょう）
◇
木天蓼駅前で、見覚えのあるツインテールの少女とアホ毛の少女が抱き合っている。
七夜 あおいと野々 ののこだ。
「あおいちゃーん、どうしてここにいるの？」
「頑張ったみんなを労いたくて。ののちゃんはどうだった？ ばっちり？」
「ばっちり？ それっておいしい？」
「う、うーん、号泣を通り越してピュアな笑顔になっちゃうくらいかあー」
どうやらののこの試験の出来は、ピンチっぽい。
「神よ！ 奇跡を！」
ののこの祈りに苦笑していたあおいだったが、ハッと気づいて試験終わりの学生の群れの中に手を振った。
「修くん！」
名を呼ばれ、八神 修は目を擦った。
「夢か？ 俺は願望から幻を見ているのか？ あおいがこんなところにいるなんて」
「やだな、夢じゃないよ。ほんもの、ほんもの！」
硬かった修の顔がぶわっと上気し、眉の間がほどけてゆく。
（嬉しい。この時間だろうと考えて待っててくれたんだ。言葉にできないくらい嬉しい）
修が言葉をなくしている間に、ちょうど佐藤 英二が通りかかり、ののこはバイバーイと去っていった。
「修くん、大丈夫？」
あまりに無言が長いので、あおいが心配そうに修の顔の前で手を振る。
「あ、ああ。想定外だったものだから。寒いのに、俺のために……」
「修くんのためだけじゃないけど、ま、そうかな」
「ええと、時間あるか？ なにか暖かい飲み物でも……」
「えへへ。私、ナイスだなー。頑張った帰りにはあったかいの欲しいかと思って、これ」
あおいが差し出したのは、あったかいコーンポタージュの缶だった。
黄色い表面にマジックで「おつかれさま」と書いてある。
あまりにさりげない労いの言葉。
お金の価値では測れないあおいの気遣いに、修の胸はじんとした。
「どうだった？ なんて、聞かなくても分かってるけどね。修くんなら心配ないでしょ？」
「ああ。点数は取れたと思う。あとは二月さ」
「さすがだねー」
あおいはからりと笑った。本当に心配はしていなかったらしい。どんなときも猛勉強してきた修の姿を見てきたから、彼が成果を出すのは当然、と信じているのだ。
修は、あおいに貰ったお守りを取り出した。
「このお守りが俺に力をくれたよ」
「よかった」
あおいは微笑む。その微笑が愛おしく、修は両手であたたかいコーンポタージュの缶を包み込んだ。
――誰よりも近くにいて。そうすれば俺はもっと頑張れるよ。
シナリオ
シナリオデータ
シナリオスケジュール
- シナリオガイド公開日
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- 2023年11月24日
- 参加申し込みの期限
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- 2023年12月01日 11時00分
- アクション投稿の期限
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- 2023年12月01日 11時00分
