【進路・受験】君等の道、未来のために｜リアクション

【進路・受験】君等の道、未来のために

ののこと英二君の勉強会

「野々さん共通テスト受けるの？」
　野々ののこの決意を聞いた佐藤英二の第一声は、驚き、だった。
　けれどすぐに破顔して、英二はののこの手を握る。
「万が一、木天蓼大学に合格して一緒に通えたら凄く嬉しいし応援するよ！」

　英二のライフプランは堅実だ。受験するのは地元・木天蓼大学の法学部か教育学部。大学卒業後は寝子島町役場に就職希望。堅実なライフプランに沿って、堅実に勉強してきているので、数日前にジタバタしても仕方がない、のんびり当日に備えればいいと思っていた。
　しかしここにきてののこが受験すると知っては予定変更。
「野々さんの受験対策で学校で勉強会を開こう！」
　というわけで、自由登校になっている寝子高の教室に集合である。
　それにしてもののこはどうして急に気を変えたのだろう。英二はこれまでもののこの進路相談に乗ってきていた。いままではのらりくらり、何になるのか決めたくなーい、という感じだったのに。
「どうして急に受験することに？」
「私、入学するときに、高校生活をめいっぱい楽しみたいって思ってたことを思い出したんだ。受験って高校生なら体験しておくべき重要行事だって気づいたんだよ。それにみんな頑張ってるんだもん、……ま、一番は英二君に背中押されたんだけどねー」
「……そっか。うん、そっかあ……」
　自分の言葉が少しずつののこに影響を与えていたのだと思うと、なんだかしみじみしてしまう。
「よーし、やるからには本気出すぞー！」
　意気揚々とハチマキをしめるののこ。と言っても、だ。
　いままで受験勉強していないのは痛い。
　英二はののこが今からできることを考える。
「最早ヤマを張るしか無いタイミングだし……運を天に任せてランダムな過去問題を何問かピックアップして、その問題だけは解けるように特訓しよう！」
「わかったよ！」
　やる気だけは満々なののこだが、現状、一問一問が難題だ。
「うう～ん……ｘでｙでθが……」
　ののこは頭を掻きむしる。
　英二はののこのノートを覗き込んだ。
「う」
　困った。……高１レベルのことが全然身についてない……。
「ぷみゃー！　やっぱり無理かも！」
「諦めないで。そうだ、この問題が解けたら学食でパフェをおごるからさ」
「パフェ！」
「そう。だから頑張って！」
「うん、やる気、出てきたー！」
　
　試験本番まであと数日。
　ののこの状況はかなり苦しそうだけれど、一緒に勉強することは英二自身の励みにもなる。
（野々さんにはパフェとかお菓子とかいろいろ充填しながら頑張って貰おう）
　とあれこれ叱咤激励プランを練る英二なのであった。

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