ハッピーバースデー！　１月☆｜リアクション

ハッピーバースデー！　１月☆

●その笑顔が見たくて

「なんとか1月24日に間に合ったか」

　三毛谷道哉はぽつりとつぶやいた。
　昨夜から霊界電車を使って餅々きなこへのプレゼントを買いに出かけていた。帰りは夜も更けてすっかり真っ暗だ。

（無事会えるといいんだが……他のものがよかっただろうか）
　
　買ってきたプレゼントに目を向ける。
　彼は特別に好いているきなこにとって、今日を特別な一日にしてあげたい。そう思いはしたものの、本当にこれで良かったのか考えてしまう。

（でも、私の誕生日にあんなに素敵で粋な計らいをしてくれたんだ）

　道哉はあのときのことを思い出す。
　彼が猫として生まれたのは明治時代のこと。正月に一斉に年を取っていたのが、いつしか誕生日という考え方が広まった。それから人が祝われるのを見て、少し憧れていた。
　そんな折にきなこから受け取った、霊界たんぽぽを押し花にした栞。今も大事に使っている。

（あのときと、遜色ないぐらい思い出に残るものにしたい。人がよろこぶ『さぷらいず』についてこんなに真剣に考えたことはない）

　そうして思考を巡らせながら夜道を歩く。しかし肝心な問題が残っていた。

（いまきなこがどこにいるのか分からないから渡せないんだよな）

　剛鉄や皆に頼ってもいいが、きなこは顔が広いからどこかの誕生会で祝われているかもしれない。それを思うと少し寂しく感じられる。

（大人げないかな）

　そんな風に思いつつも人づてに聞いて、どうにかきなこに会うことができた。

「きなこ、誕生日おめでとう」
「ありがとう！」
「またよい一年を過ごしておくれ」
「うん！　みちちかくんもね！」
「ほら、プレゼントだ。本土の老舗まで遠出して噂のきなこ餅を買ったんだ。食べておくれ」

　道哉は老舗の甘味処『猫庵』で買った『とろふわもちもち、きなこ餅』をきなこに渡す。彼女の目がきらきらと輝いた。知る人ぞ知る人気商品で、開店と同時に売り切れることさえある。きなこは改めて道哉に礼を言った。

「この笑顔が見たかったんだよ……不器用ですまないねえ」

　道哉の独り言は誰に聞かれることもなく消えていった。

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あとがき

担当マスター：星織遥
ファンレターはマスターページから！

この度は、シナリオへのご参加ありがとうございました！

皆さん、誕生日おめでとうございます。
誰かを祝う、誰かに祝われる。
こういう関係の魅力を感じることが出来ました。

改めて、この度はありがとうございました！

（運営部より）
キャラクターの年齢加算は、後日らっかみ！タイムの移行とともに行われます。しばらくお待ちくださいませ。

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