【カード】ちはやぶる神の札引く大いくさ｜リアクション

【カード】ちはやぶる神の札引く大いくさ

◇ババ抜き

　百人一首大会では、茉奈とカノンのチームはその後先輩たちのチームと当たり惜敗した。
　ひとしきり悔しがって桜に愚痴った後、茉奈はけろっとして言った。
「真剣勝負も終わったし、これからはダブルデートの時間ね」
「それじゃほかのカードゲームでもする？　とはいえ、集団戦ができそうなゲームってババ抜きぐらいなのよね」
　桜がつぶやいた。
　そんなわけでカードゲームの会場にやってきた茉奈とカノン、桜と匠の４人。
「ガチの勝負はもう百人一首でやりつくしたし、こちらはもう完全にゆるーく遊びましょ」
　茉奈が言い、カノンも匠も頷いて、４人でババ抜きの対戦となった。

（百人一首の時と違って、完全にお遊びと言うか気楽な感じだけど……とはいえさっき負けたし、やっぱり勝ちたい）

　そんな桜の思いも知らず、茉奈は気軽に話しかけてくる。
（勝負でギスギスしたくないし、場を盛り上げてカノンに楽しんでほしいな）
　茉奈にしてみれば悪気はない。
「滝沢君、桜っておすまし顔してるけど、この前寝ぼけて変顔しててさー」
　などと言い出すので、桜は慌てた。
「茉奈、その話はダメー！」
「変顔って？」
　尋ねる匠に、茉奈は笑いながら、
「タコみたいに唇を、こう」
　実演して見せるものだから、カノンに匠までが噴き出す。
　恥ずかしいのも忘れて桜も笑ってしまった。
「そこまで変じゃなかった！」
「えー、だって自分の顔は見えないでしょ？」
「それを言ったら茉奈だってそうじゃない……あ、もうあと一枚！」
　４人とも笑い合いながら、ババ抜きは和やかに進んだのだった。

　ババ抜きで勝利を収めたのは桜で、匠は少しほっとした表情になった。

このページにイラストを設定する