this frame prevents back forward cache
0
0
はじめての方へ
ヘルプ
ログイン
\ オーバータイム!/
種族
学年:職業
00月00日生 00歳
AAA000000
ホームトップ
おしらせ
新着通知
はじめての方へ
遊び方
世界設定
キャラクター一覧
キャラクター検索
キャラクター作成
らっポ
チケット
コミュニティトップ(検索)
コミュニティ一覧
公式コミュニティ一覧
公開トピック一覧
コミュニティ書き込み検索
シナリオトップ
シナリオ一覧(参加受付中)
シナリオ一覧(すべて)
リアクション一覧
ゲームマスター一覧
ゲームマスター検索
イラストトップ
イラスト一覧
イラスト検索
イラストレーター一覧
イラストレーター検索
自作イラスト一覧
アイテム一覧(検索)
マイリスト一覧(検索)
寝子島(全景)
寝子島(地図)
寝子島(セカンドマップ)
寝子島高校
題名のない本を綴じる
<< もどる
1
2
3
4
5
つぎへ >>
【ことのは】
ずいぶんと夢中になっていたらしい。馴染みのカフェへ着くころにはちょうど昼時のピークも過ぎていて、客はまばらだ。おかげで窓際のいい席へ座ることができた。
カウンターで注文をし、湯気の立つカップを手に席へ戻る。しばし時が止まったような空気が流れた。窓の外は晴れ空、少しばかり灰色の雲が覆いつつある。雨の予報だが、これからしばらく、家に帰るまでは待ってくれるだろう。香ばしいかおりを楽しみ、コーヒーを含む。かすかな酸味と強めの苦味で、刺激的なひと口だった。
すっきりと澄んだ頭で、彼に向かう。向かい合った。
「さてと」
「はい」
それぞれに『*note』で作ったノートと、ペンを取り出す。相手に渡す前に、最初のページに一筆残すことにした。七瀬に本は作れないけれど、心のこもった言葉をしたためれば、それは一冊の本となるだろう。あの店主のあたたかい助言にしたがって、七瀬の心をそこへ書き入れるのだ。ウォルターを想い、わき上がる感情をそのままに。
ペンの色はさわやかな空色にした。彼の瞳と同じ色だ。
──拝啓、青い目のあなたへ。
ありがとうございます。
今日のことも、今までも。
高校を卒業したら、終わると思ってました。
でも、こうやって一緒にいることができた。
この本を作ることができた。
僕は、たまらなく嬉しく感じるのです。
あなたのことが、好きです。
……なんて、あなたはもう知ってますよね。
こんな僕を、嫌わないでくれてありがとう。
一緒にいてくれてありがとう。
願わくば、これからも。
「……できました!」
顔を上げると彼はぬるくなったコーヒーを飲みほしたところだった。
「ん。書き心地はどう?」
「すごくいい感じです」
手作りノートの中紙は氷の上を滑るかのような書き味で、引っかかりもなく、ペンを走らせると心地よい。市販のものとくらべても明らかな快適さだ。彼の選んでくれたノートもきっとそうだろう。七瀬の心はふわり浮かぶかのようだ。
ぱたんと表紙を閉じ、ひとつ指でなぞると、差し出した。
「本を作るはずが、ノートになってしまいましたが。ウォルターさんをイメージして作ったので……差し上げます。受け取ってくれますか」
「もちろん。ありがとう、大事に使わせてもらうよぉ」
「はい! あの、でも、あとで煮るなり焼くなりしてくれて構わんので!」
「ははは、なんだいそれ?」
「ていうか恥ずかしいので、あとで読んでくれると……あっ」
彼が表紙をめくり、七瀬の言葉を目にするのを眺めるとやはり照れくささが勝った。もちろん彼は煮たり焼いたりなんてせず、日常の中、事あるごとにそれを取り出してはペンを走らせてくれるだろう。
と、
「……これ」
「交換するって話だったでしょ?」
いつのまにやら目の前に、エメラルドグリーンと白のチェック模様があった。ウォルターの選んだ表紙だ。思わず目を上げると、彼は七瀬の作ったノートへ目線を落とし、ほっこりと口元をゆるめている。
少しためらってから、七瀬は表紙をめくった。
──君へ
あどけないまなざしもいつしか大人びて、いい顔をするようになったね
いつまでも、僕の生徒ではないんだな 子どものままではないんだな
そう思わせてくれる顔だ
まだすこーし、頼りないところもあるけどねぇ?
君は言ったね
もしも僕が迷子になったら、見つけてくれますか? って
僕は言ったよ
決まってるじゃないか って
知ってるかい?
君と僕は、どうやらよく似ているってこと
伝わっているかい?
迷うのはいいことだ 君を磨いてくれるから
けれど自分を失くさないで
君は君のまま、君自身を
思うさま 白紙に書きなぐっていけばいい
なーんてね。
「……ウォルターさん!」
「わ。びっくりした」
思わず、彼の手を取っていた。まったくの無意識のまま、その甲へと、七瀬は唇を寄せていた。ごつごつとした筋と血管の凹凸が唇に触れる。
「あの……ウォルターさん。僕」
「小難しく考える必要はないのさぁ」
七瀬がなにか口にせねばと迷ううち、彼はもう片方の手を伸ばし、灰色の髪へ指を差し入れた。やさしく、くしゃくしゃとかき混ぜる。
「ぜーんぶ言葉にする必要なんてない。そうでしょ」
こくり、自然とうなずいた。
その瞬間の感情をうまく言葉に表現することは、どうにも難しい。けれどそれでいいのだと彼は言う。だからきっと、それでいいのだろう。それも正しいことなのだろう。
わしわしと髪をなぞられる感触に身を任せる。七瀬はきっといつまでも、この記憶を忘れない。このあたたかさを忘れない。
きっと、ずっと覚えている。
<< もどる
1
2
3
4
5
つぎへ >>
このページにイラストを設定する
シナリオ
シナリオトップ
シナリオ一覧(参加受付中)
シナリオ一覧(すべて)
リアクション一覧
ゲームマスター一覧
ゲームマスター検索
シナリオご利用ガイド
グループ参加ご利用ガイド
シナリオタイプのご案内
題名のない本を綴じる
シナリオガイド
リアクション
参加キャラクター一覧
コメントページ
ダイアリー一覧
シナリオデータ
担当ゲームマスター
墨谷幽
シナリオタイプ(らっポ)
プライベートシナリオSSS(600)
グループ参加
なし
シナリオジャンル
日常
NPC交流
定員
1人
参加キャラクター数
1人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2023年10月13日
参加申し込みの期限
2023年10月20日 11時00分
アクション投稿の期限
2023年10月20日 11時00分
参加キャラクター一覧
もっと!