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題名のない本を綴じる
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【想いを綴じる】
ずいぶんと長いこと、サンプルとにらめっこをしている。ノートを構成する部位はそう多くないにも関わらず、そのひとつひとつの選択肢はまるで無限、まるで宇宙だ。どれもが素晴らしく魅力的に思えて、七瀬は嬉しい戸惑いに暮れた。
ウォルターも向こうでなにやら没頭している。ああでもないこうでもないと悩み眉を寄せ、ときおり七瀬の視線に気づくと小さく手を振ってくれる。
そう広い店ではないので声を張れば届くのだが、店内の静けさと流れるアンビエント・ハウス的なBGMも相まってなんとなく静謐を感じてしまい、はばかられた。とはいえ今はこの距離感も悪くない。近く彼の存在を感じながら、じっくりと選ぶことができた。
「贈り物ですか?」
「はぇっ」
妙な声が出て振り向くと、若い店主さんが控えめな様子で立っていた。
「お悩みのようでしたので……ご迷惑でしたら」
「ああいえ! そんなこと、なかとですよ」
決めあぐねていたのも確かだ。せっかくなので、あれこれ尋ねて参考にさせてもらうのもよいかもしれない。七瀬はうなずいて、
「ええと。はい、贈り物、です」
「それは、あちらの方に……?」
「わ。分かります、か」
「ええ、なんとなく。あ、不躾ですみません」
どこか恐縮した様子の女性だが、こざっぱりとしてあか抜けており、理知的な印象だ。店には七瀬らと同様の目的でやってくる客も多かろうから、その顔を見れば関係性など伝わってくることも多いのだろう。
いくつか手に取って吟味中のサンプルを並べ、店主のアドバイスもいただきながら選んでみることにする。
「実を言うと、本を作りたかったとです。ただ、僕は文才がないもので」
「そうですか、それでノート作りを」
「はい、ここのサービスを知った時、これだ! って思ったんですよ」
七瀬が考えるに、ページを綴じるという行いには特別な意味がある。本にしろノートにしろ、ページを束ねてひとつの品として完成させる過程には、きっと人の想いがこもるのだ。なめらかな中紙の手触りとともに感情も綴じ込んで、出来上がった一冊にはきっと想いが宿るのだ。
ウォルターを想って綴じられた一冊には、七瀬の感情がこもる。魂や命と言い代えてもいいかもしれない。代えがたい一冊となるだろう。そのページ一枚一枚をウォルターが繰り、すらりと文字を書きつけてゆくさまを想像するだけで、七瀬の胸はあたたかく灯った。
「プレゼントするノートの最初のページには、僕がなにか一文、書いてみるつもりです。文才ないし、あまりいいことは書けないかもしれないですけど……」
「そこはあまり、重要ではないかもしれませんよ」
青の表紙サンプルを手に女性を見ると、なんだか微笑ましそうに頬をほころばせていた。
「言葉を綴るのに慣れた方にだけ、本を書く権利があるわけではありませんから。当店でご提供するのはノートですが……お客様の心のこもった大切な言葉をしたためれば、それは一冊の本になるでしょう」
「そういう、ものですか」
「はい。お連れさまもきっと、喜んでいただけますよ」
そういって微笑む女性に、七瀬はしばしぽかんと口を開けたが、やがてうなずいた。
書き入れる言葉の拙さには目をつむろう。込める想いにこそ全力を注げばいい。そう思えた。
その後もしばし悩んでから、全ての部材を選び出した。そうして選んだ部材を、店主さんが目の前で製本してくれる。かちゃん。ぱちん。とんとん、とひとつひとつの行程を経るたび、響く音も小気味よい。
一冊ずつ丁寧に仕上げてくれて、やがてふたりの手の中にはそれぞれのノートが収まった。
「へえ、これはすごい。見事な仕上がりですねぇ」
「ありがとうございます。恐れ入ります」
ウォルターの賛辞にぺこりと頭を垂れた店主は若くも、その仕事ぶりは完璧だ。七瀬も頭を下げた。
「ウォルターさんのノートは……綺麗な緑色ですね」
深めのエメラルドグリーンと白のチェック模様。ペン差しのついた革のボタン留めがかわいらしい。ウォルターは、に、と白い歯を見せて言った。
「おや偶然かな。誰かさんの瞳の色に似ているかなぁ」
「! それって」
どうやら、七瀬の緑の瞳をイメージしてくれたらしい。言われてみればなんとはなしに見覚えある色だ。
七瀬の胸は躍った。だって、同じことを考えていたようなので。
「僕のノートは、ウォルターさんをイメージしたんですよ」
「本当かい? はは、嬉しいねぇ」
淡く優しい色合いの緑に、さわやかな黄色で描かれたレモンの実と花は言わずもがな、彼の髪を意識してのチョイスだ。中紙はライトクリームの目に優しい風合いを選び、表紙とも実にマッチしている。と思う、少なくとも七瀬は。ちらとそのノートのページを繰る彼を見上げると、なんだか満足そうな顔でうんうんとうなずいていた。どうやら気にいったらしい。
あらためて店主に礼を述べて、店を後にした。手にした紙袋の中には、製本されたノート。抱えているとなんだか、あたたかい気がした。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
墨谷幽
シナリオタイプ(らっポ)
プライベートシナリオSSS(600)
グループ参加
なし
シナリオジャンル
日常
NPC交流
定員
1人
参加キャラクター数
1人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2023年10月13日
参加申し込みの期限
2023年10月20日 11時00分
アクション投稿の期限
2023年10月20日 11時00分
参加キャラクター一覧
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