ただしい屋上の使い方｜リアクション

ただしい屋上の使い方

　そうして、日も傾いて掃除も完了。響タルトも帰り、空に橙色が混じり始めた頃。
　桜井ラッセルは、今日ずっと共にいた小瓶の燕に目を向けた。
「………………」
　ずっと、閉じ込めて置くことも出来る。
　でも、鳥に似合うのは、やはりこのような美しい空であろうから。

「……ちょっと、名残惜しいけど……」
　ラッセルはゆっくりと蓋を開けた。燕は瓶の縁に足を掛けつつも、心配そうにこちらを見やる。
「いいっていいって。もう瓶の蓋は開けちまったし！」
　ラッセルが燕に満面の笑みを見せると、燕は大きく羽を伸ばして空に飛び立った。
　軽やかに飛ぶその姿。存在自体も、数時間もたたずに消えてしまう。
　消えてしまうけれども、ずっと手元に置いていたら、小さな幸せな代わりにラッセルの心は、何処かずっと苦しかったかも知れないから。

「元気でなー！」
　空を滑空する燕の姿は、本当に見ている方まで気持ち良さそうで。
　ラッセルは、一抹の寂しさとそれ以上の清々しさを胸に残して、それを見送ったのだった。

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あとがき

担当マスター：斗々
ファンレターはマスターページから！

はじめまして。このたび寝子島でお世話になることになりました斗々と申します。
ぽかぽかとした日常の陽気につられ「こんな光景があったら素敵だろうなぁ……」と思いながらいただきましたアクションは、本当に風船のように色とりどりで、大変素敵なものでした。
とても緊張しながらの執筆でしたが、ご参加の皆さまのお時間に、ほんのりとでも彩りができましたら大変嬉しく思います。

それでは、これからもどうか宜しくお願いいたします。この度は有り難うございました！

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