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長く通った店だった。思い入れも愛着もあった。しかし無くなってしまえばただの瓦礫だ。
桜井 ラッセル
はじわじわと厚みを増して襲い来る寂寥感を迎え撃つべく、肩幅に足を開いてぐっと立ち、あえていかめしく目元に力を込めた。
「……ついに、終わっちまったっすね」
「ああ。いい幕引きだったよ。ウチの客たちなんて、たまに思い出しちゃ買いに来るくらいの薄情なモンだと思ってたが……」
最後のシャッターが下ろされた瞬間にラッセルも居合わせた。老若男女の別を問わずそれを見守り、ある者は言葉詰まらせある者は涙滲ませたあの一瞬には妙な連帯と昂揚があり、陳腐な言い様にはなるが、ラッセルにも感極まるものがあった。
それから数日の後、通い慣れた画材店には何台かの重機が入り、見る間に真っ平な更地となった。いずれ何か別の建物が建つのだろうが、景色は一変してしまうだろう。あの店にはもう戻れない。
「さて。桜井君に連絡したのは、ちょいと頼みたいことがあってね」
壮年の店主、いや元店主がくいとあごで示したのは、空き地の隅に立てかけられた、レンガ造りの壁の一部だった。
「これ、店の壁……」
「ああ、業者に頼んで残してもらった。君に頼みたいのはつまり……こいつに何か、絵を描いてもらえないだろうか」
ラッセルはぽかんと口を開けた。
「俺が? ですか?」
「ウチの客なら誰でもいい、なんて言わないよ。君にこそお願いしたいのさ」
「何でまた……学生っすよ、俺」
「だからこそだよ。若い君には絵描きとしての未来がある。将来君の絵が売れるようになったら、そいつを自慢できるじゃないか」
にやりと笑って言った。言葉通りの意味もあろうが、ラッセルへ託すのはそれ以上に、店を守り切れなかった後悔に対して、何かを残したいと思う彼のささやかな抵抗だろう。何度も悩み迷った末に決断し、店舗としては失くしたが、そこで育まれ培われた魂までも失われはしない。そう示したいのかもしれない。
自然とラッセルは喉を鳴らした。
「責任重大、っすね」
「はは、そう気負わなくていいさ。売れなきゃ俺の思い出として残るだけだ。描くテーマも、何だっていい。結構な大きさだからね、人を呼んで手伝わせたっていいだろうさ」
対価として、売れ残った商品の中から好きなものを持っていっていい、と彼は言ってくれた。無論、それが目当てというわけでもないが。
「分かりました。やらせてもらいます!」
翌日から早速取り掛かることにした。塗料や道具の類は店の残りを使わせてもらうから、ラフな出で立ちで身一つ空き地へやってきて、意気揚々と筆を手にする。己の手でこの場に在った店の存在証明を残すのだと意気込めば、この瞬間ばかりは寂寥も消えていた。
「うし。やるか!」
テーマは決まっている。まずは大胆に色を乗せた。鮮やかで目に痛いほどのピンクがレンガの色褪せてくすんだ赤を染めてゆく。
「お、やってるなー。来てやったぞ、ラッセル」
「千! 待ってたぜー!」
海道 千里
ほどこの創作の助っ人にふさわしい顔はあるまい。ラッセルは自負を持って彼へと声をかけた。このちっぽけなレンガ壁に己を描き残すなら、彼の存在は欠かせないと思えたから。
「テーマはラブ&ピース! って感じか?」
「そんなとこ。千も好きに描いてくれよ。それが一つの作品になるってもんだ」
「オーケーだ。任せとけ……で、その子はどうするんだ?」
「ん?」
いつの間にもぐり込んだやら、レンガの壁裏からひょっこりと緑色の頭が飛び出した。
「うわっ晴月、お前いつからそこにいた!?」
「ねー何やってるのラッセル?」
自称・
風の精 晴月
はふわりと浮かび上がりラッセルと千里を見下ろした。千里は驚くものと思いきや、おおっと目を見開くも飛び跳ねるでもなく、あっさりと言ってのけた。
「これからこの壁に、絵を描くんだ。どうだ、お前も一緒にやるか?」
「やりたい! ラッセル、私も描いていい?」
「ああ、おう。んじゃ、三人でやるか!」
「うん!」
それぞれに絵筆を取り、ペンキを満たしたバケツへ浸す。
「せーの!」
晴月は黄色、千里は青、ラッセルはピンクの線を迸らせた。くすんだキャンバスが瞬く間に色づいてゆく。
「私知ってる、ハートはアイのしるし! ラッセルのアイの絵、だね!」
「あー、まあうん。なんか改めて言われると照れくせーけど……」
「ラッセルは胸張ってればいいんだよ。あ、晴月、お前顔にペンキがついてるぞ」
拭ってやろうかと千里が言うと、晴月とラッセルは顔を見あわせくすくすと含んだ。
「ん? 何だよ二人して」
「だって千、お前だって」
「ラッセルもセンも、顔中べたべた! からだもべたべた!」
晴月がたどたどしく口にした通りだ。今や一部となりキャンバスと変じた壁には愛がこもっている。元店主の愛であり、通い続けた絵描きやその端くれたちの愛であり、ラッセルの愛だ。ラッセルを親しく思う友人たちの愛だ。
ピンクのハートにLOVEの文字。直接的に過ぎるだろうか。いいや構うものか、伝えたいことを伝えて何が悪い。
「あっ晴月、お前それ何? 可愛いじゃん」
「おばけ! 私のお友だち!」
「ユーレイもラブ&ピースに目覚める、いい絵じゃないか。な、ラッセル」
寝子島に息づくひとも、ひとでないものも、愛に巻き込み愛に尽くすのだ。何と壮大なスケールになったことか。
三人の完成させた絵は、元店主の実家を立て直す際、壁の一部としてはめこむつもりだという。
彼らの残した筆のあとは、込めた想いは、この先もずっと残り続けるだろう。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
網 透介
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
オールジャンル
定員
10人
参加キャラクター数
10人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2023年09月27日
参加申し込みの期限
2023年10月04日 11時00分
アクション投稿の期限
2023年10月04日 11時00分
参加キャラクター一覧
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