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- 00月00日生 00歳
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睦み月に願うこと
受験生にだって、息抜きは必要なのです。
といったって、白 真白が出かける先は夜でも煌々と明るい繁華街ではなく、家の近くのコンビニだ。
（さてさて、何かいい感じのキャンペーンや新商品はあるかな？）
そのコンビニと呼ばれる店舗だって、全国展開しているタイプから木天蓼市限定のローカルなタイプまで様々で、惣菜系に強いとかデザートが美味しいという特色も様々。時間に余裕のある日中であれば、全てを渡り歩くように散策するのも良いけれど、そんなに遅くないとはいえ暗くなってからだと悩ましいものがある。まして、勉強の合間の小休憩にと思うならなおさらだ。
こんなときばかりは、勉強中は誘惑の塊に思えたスマートフォンが役に立つ。ちょっとひと息のつもりで始めたゲームアプリに時間を溶かされたり、友達からのメッセージに返信していたらチャット状態になってしまったり。何かと集中力を奪ってしまうこともあるけれど、今は休憩時間なのだから存分にこれを触っていいのだ。
ゆっくり散歩がてら遠くのコンビニへ行くのもいいなと、真白は情報を求めてネットサーフィンを開始する。
――しかし。
「うわ、さむっ！」
信号待ちで足を止めた途端襲い来る、冷たい風。
しっかりマフラーは巻いて出たけれど、ちょっとそこまでという気分で冬の夜を侮っていたかもしれない。
（早く暖房の効いたコンビニに行かないと）
これはもう、新商品やらの比較なんて後回しだ。真白は急いで手近のコンビニを目指して駆け出した。
「寒かったぁ」
軽快なメロディと共に迎えてくれるコンビニは、まさに楽園だ。暗闇の中で輝く看板は安心感をもたらすし、寒さをくぐり抜けてきた者を優しく包み込む室温なんて快適で、いらっしゃいませと声をかけてくれた店員は包容力のありそうなお姉さん。
ついにっこりと微笑み返して、だからと余計な物まで買わないようにと気を引き締める。ただでさえコンビニは何でも小さなサイズで揃っているから、あれもこれもとついで買いを誘発しやすい魔の領域なのに。
（とりあえずペットボトルのホット紅茶は買うとして……）
出入り口の小さな棚に少しと、レジ横に少し大きめの棚にそこそこある。これだけと決めている訳ではないから、まず真白はくるりと店内を見て回ることにした。
コンビニサイズの化粧品、付録が主役のような雑誌、友達がハマっていると言っていた食べきりサイズのお菓子に、来週発売の新商品が貰えるキャンペーンをやっている冷えたドリンク。
（うーん、温かい所に居ると冷たいのもいいなって思うけど）
また帰り道で寒い思いをするんだろうし、家だってコンビニほど暖房を強めにかけているわけでもない。冬仕立てな濃厚アイスのポップを眺めながら、漂ってくるおでんの出汁の香りに悩ましく思いつつ、真白は何を買おうか暫し考えた。
アイスと言えば夏のイメージではあるが、夏場はやはりさっぱりとした口当たりの物が多く、濃厚系は冬場に出回りやすい。こたつでアイスなんかは、贅沢の極みであろう。
その逆で、夏場のエアコンで冷えた室内で温かな物というのもアリだけれど、どちらかと言えば辛いものが主流となりやすくて、冬場は優しい口当たりの物が増える気がする。
（どうしようかなぁ）
チルド菓子の売り場に行けば、チーズケーキやクリームが多めのプリンなどが並んでいるけれど、どうもこれと決め手に欠ける。やっぱりこの時期特有で、食欲をそそるようなものが良いだろうか。
「期間限定、特製ピザまん蒸し上がりました～」
悩んでいれば、あの包容力のありそうなお姉さんが魅惑的なお知らせをしてくれる。温かで、こってりしていて、まさに今の時期に相応しい１品だ。
じゃあ、とばかりにレジに引き寄せられて、真白はホット飲料の並ぶ棚から今シーズンに出たという３種のフルーツを仄かに香らせた甘さ控えめの紅茶を選ぶと、レジのお姉さんに特製ピザまんもお願いした。
「熱いから気をつけてくださいね」
「はーい！」
ちょっと幼めに返事をして受け取ると、ニコニコと店外へ。
さすがに不必要な会話をするような真似はしないが、外はすぐにも店内へ戻りたくなりような寒さだから、真白はコンビニの暖かさとお姉さんの微笑みに後ろ髪を引かれながらピザまんを頬張った。
「はふっ、はふ……ん～！ おいしー」
冬と言えば、という味がする。
寒空の下で食べるからこその味わいは格別で、どうせなら冬の星座でも探してみようかと顔をあげる。
「あ」
真っ先に見つけたのは、数ある一等星よりも明るい月。
住宅街は等間隔に街灯が並んでいるものだから、行きには全く気付かなかった。
「満月だったんだ……」
秋の名月は有名だけれど、それ以外の季節の満月はそんなにも話題には上らない。だけどやっぱり、今には今の良さがあると思う。
（……綺麗だなぁ）
冬の凛とした空気がそうさせるのか、それとも受験前で空を見ることを忘れていたからなのか。真白はしみじみと見上げた月に、ピザまんにもコンビニの店員にも届かなかった場所を温めて貰えたような気がした。
「よし、帰ってもうひと頑張りするぞー！」
いい息抜きになったなと笑う真白の足取りは軽く、寒さにだって負けはしない。
今ならきっと、難問に思えた参考書の問いだって答えられるのではないかというやる気に満ちあふれていた。
といったって、白 真白が出かける先は夜でも煌々と明るい繁華街ではなく、家の近くのコンビニだ。
（さてさて、何かいい感じのキャンペーンや新商品はあるかな？）
そのコンビニと呼ばれる店舗だって、全国展開しているタイプから木天蓼市限定のローカルなタイプまで様々で、惣菜系に強いとかデザートが美味しいという特色も様々。時間に余裕のある日中であれば、全てを渡り歩くように散策するのも良いけれど、そんなに遅くないとはいえ暗くなってからだと悩ましいものがある。まして、勉強の合間の小休憩にと思うならなおさらだ。
こんなときばかりは、勉強中は誘惑の塊に思えたスマートフォンが役に立つ。ちょっとひと息のつもりで始めたゲームアプリに時間を溶かされたり、友達からのメッセージに返信していたらチャット状態になってしまったり。何かと集中力を奪ってしまうこともあるけれど、今は休憩時間なのだから存分にこれを触っていいのだ。
ゆっくり散歩がてら遠くのコンビニへ行くのもいいなと、真白は情報を求めてネットサーフィンを開始する。
――しかし。
「うわ、さむっ！」
信号待ちで足を止めた途端襲い来る、冷たい風。
しっかりマフラーは巻いて出たけれど、ちょっとそこまでという気分で冬の夜を侮っていたかもしれない。
（早く暖房の効いたコンビニに行かないと）
これはもう、新商品やらの比較なんて後回しだ。真白は急いで手近のコンビニを目指して駆け出した。
「寒かったぁ」
軽快なメロディと共に迎えてくれるコンビニは、まさに楽園だ。暗闇の中で輝く看板は安心感をもたらすし、寒さをくぐり抜けてきた者を優しく包み込む室温なんて快適で、いらっしゃいませと声をかけてくれた店員は包容力のありそうなお姉さん。
ついにっこりと微笑み返して、だからと余計な物まで買わないようにと気を引き締める。ただでさえコンビニは何でも小さなサイズで揃っているから、あれもこれもとついで買いを誘発しやすい魔の領域なのに。
（とりあえずペットボトルのホット紅茶は買うとして……）
出入り口の小さな棚に少しと、レジ横に少し大きめの棚にそこそこある。これだけと決めている訳ではないから、まず真白はくるりと店内を見て回ることにした。
コンビニサイズの化粧品、付録が主役のような雑誌、友達がハマっていると言っていた食べきりサイズのお菓子に、来週発売の新商品が貰えるキャンペーンをやっている冷えたドリンク。
（うーん、温かい所に居ると冷たいのもいいなって思うけど）
また帰り道で寒い思いをするんだろうし、家だってコンビニほど暖房を強めにかけているわけでもない。冬仕立てな濃厚アイスのポップを眺めながら、漂ってくるおでんの出汁の香りに悩ましく思いつつ、真白は何を買おうか暫し考えた。
アイスと言えば夏のイメージではあるが、夏場はやはりさっぱりとした口当たりの物が多く、濃厚系は冬場に出回りやすい。こたつでアイスなんかは、贅沢の極みであろう。
その逆で、夏場のエアコンで冷えた室内で温かな物というのもアリだけれど、どちらかと言えば辛いものが主流となりやすくて、冬場は優しい口当たりの物が増える気がする。
（どうしようかなぁ）
チルド菓子の売り場に行けば、チーズケーキやクリームが多めのプリンなどが並んでいるけれど、どうもこれと決め手に欠ける。やっぱりこの時期特有で、食欲をそそるようなものが良いだろうか。
「期間限定、特製ピザまん蒸し上がりました～」
悩んでいれば、あの包容力のありそうなお姉さんが魅惑的なお知らせをしてくれる。温かで、こってりしていて、まさに今の時期に相応しい１品だ。
じゃあ、とばかりにレジに引き寄せられて、真白はホット飲料の並ぶ棚から今シーズンに出たという３種のフルーツを仄かに香らせた甘さ控えめの紅茶を選ぶと、レジのお姉さんに特製ピザまんもお願いした。
「熱いから気をつけてくださいね」
「はーい！」
ちょっと幼めに返事をして受け取ると、ニコニコと店外へ。
さすがに不必要な会話をするような真似はしないが、外はすぐにも店内へ戻りたくなりような寒さだから、真白はコンビニの暖かさとお姉さんの微笑みに後ろ髪を引かれながらピザまんを頬張った。
「はふっ、はふ……ん～！ おいしー」
冬と言えば、という味がする。
寒空の下で食べるからこその味わいは格別で、どうせなら冬の星座でも探してみようかと顔をあげる。
「あ」
真っ先に見つけたのは、数ある一等星よりも明るい月。
住宅街は等間隔に街灯が並んでいるものだから、行きには全く気付かなかった。
「満月だったんだ……」
秋の名月は有名だけれど、それ以外の季節の満月はそんなにも話題には上らない。だけどやっぱり、今には今の良さがあると思う。
（……綺麗だなぁ）
冬の凛とした空気がそうさせるのか、それとも受験前で空を見ることを忘れていたからなのか。真白はしみじみと見上げた月に、ピザまんにもコンビニの店員にも届かなかった場所を温めて貰えたような気がした。
「よし、帰ってもうひと頑張りするぞー！」
いい息抜きになったなと笑う真白の足取りは軽く、寒さにだって負けはしない。
今ならきっと、難問に思えた参考書の問いだって答えられるのではないかというやる気に満ちあふれていた。
あとがき
担当マスター：
浅野 悠希
ファンレターはマスターページから！
みなさまご参加ありがとうございます、浅野です。
リアルタイムと絡めての、お月見シナリオ！
そして、お任せ多めでもOKなシナリオでしたが、いかがでしたでしょうか。
ご意見ご感想、もしくは「読んだよ！」の代わりにダイヤリーのページチェック入れて頂けると、めちゃくちゃ喜びます。
お時間ありましたら、よろしくお願いします～！
リアルタイムと絡めての、お月見シナリオ！
そして、お任せ多めでもOKなシナリオでしたが、いかがでしたでしょうか。
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お時間ありましたら、よろしくお願いします～！
シナリオ
シナリオデータ
シナリオスケジュール
- シナリオガイド公開日
-
- 2023年09月29日
- 参加申し込みの期限
-
- 2023年10月06日 11時00分
- アクション投稿の期限
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- 2023年10月06日 11時00分
