コーヒーはおいしいよ？　カフェ・フェスタへようこそ！｜リアクション

コーヒーはおいしいよ？　カフェ・フェスタへようこそ！

【３】どの豆を買う？

　ドリップ体験を終えると、智依子は楓と共に豆売り場に向かった。
　これなら家でも淹れられそうだと思ったのと、自宅に道具があったことを思い出したのだ。
（たしか、おじいちゃんがミル、持ってたよね）
　他の道具も、見た記憶がある。
　売り場では、ブラジルの中煎りと、店員が勧めてくれたので、楓用にノンカフェインの豆の中煎りを買った。
　そこにやって来たのは、ラッセルだ。
「あんたも、豆買うのか」
　声をかける彼に、智依子はうなずく。
「ええ。美味しかったから、家でも淹れてみようと思って」
「そっか」
　うなずき返して、ラッセルは楓に視線を合わせた。
「また、美味いカフェオレが飲めるな」
「うん！」
　楓が元気にうなずく。
　そんな２人のやりとりに微笑んで、智依子はラッセルに会釈すると、楓の手を取り、歩き出した。
　去り際に、楓がラッセルにバイバイと手をふる。
　それへ手をふり返して、ラッセルは自分も豆売り場のカウンターをふり返った。
　豆は、ブラジルの中煎りと、試飲で美味しかったコロンビアの中煎りを買うことにする。
　が、そこで道具が何もないことに気づいた。
　見回すと道具も売っていたが、ミルは彼にとっては高額だったので、ドリッパーとサーバーのセットを買い、豆はこの場で挽いてもらうことにした。
　それらの入った紙袋を手に、彼は会場の出入口へと向かう。
（これで、晴月にふるまってやろー。牛乳は家にあったから、カフェオレも作ってみるか）
　胸に呟く、その足取りは軽い。ようやく少し、胸のモヤモヤが晴れたようだった。

　豆売り場には、七瀬たちと別れて戻って来た文也の姿もあった。
　すでに買う豆は決まっているので、店員とのやりとりにも隙がない。キリマンジャロをはじめ、店用に買うと決めた豆をテキパキと注文して行く。
　こうして、店用も手にした彼は、満足して会場を後にするのだった。

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