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- 00月00日生 00歳
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LIQUID -Star Chronicle- 暁の英雄譚
【サイドクエスト『燃えろ！トラジア闘技大祭』（１）】
「時は来た！！」
コーヒーフィルターを逆さにしたような、不思議な三角帽子をかぶった偉丈夫が高らかに宣言を発した。
トラジアは宗教都市だ。ここタンブラーコロセウムももともと、コーフィルの戦神サイフォーンを祀る祭壇としてつくられたらしい。見回せばなるほど、戦神の紋を刻み込んだ精巧なレリーフや、神官らしき格式ばったローブに身を包んだ者たちなどが目に付く。
「心血注ぎ鍛え上げし肉体、闘法に武技、魔術の粋、兵法を存分に振るい、我らが血肉を戦神の聖なる器へ捧げるのだ」
三角帽子の男は両手持ちの重たげな鉄槌を軽々と掲げ、祭壇へと打ち鳴らせば舞い散る火の粉に呼応してか、コロセウムの外周からごうと炎が噴き上がり、空を赤く染める。
「燃え上がれ！！ トラジア闘技大祭、開幕である！！」
ドラが吼え、楽隊の吹き鳴らすラッパとともに、集う猛者たちの怒号が満ちた。
「いやはや。すごい盛り上がりだね」
黒髪を砂塵に流し、凛風（プレイヤー：鷹司 凜太郎）は感嘆した。
トラジアの街並みは闘技大祭一色だ。武力がモノを言う部族社会のコーフィルにあって、武闘大会は己の研鑽を図り競い合う場でもあり、同時に文字どおりのお祭り騒ぎでもある。コロセウムへ連なる道の両端にはのぼりを立てた露店がずらりと並び、地方色あふれるグルメが目白押しだ。子ども向けのオモチャを売る土産屋なども出ているが、商品が刃を潰した剣や槍、小さな盾だったりするあたりはお国柄というものか。
凛風は郷里の祭りを思い出してか、懐かしく目を細む。
隣を歩むポラリス（プレイヤー：スピカ・フォーツ）はというと、どこかおずおずとして凛風の袖をつまんでいる。
「どうしたんだい、ポラリス。今日は大人しいね」
「う～……人ごみは、ちょっと苦手……」
確かに行き交う人々で道はあふれ返っている。コーフィル人はもちろんのこと、闘技大祭への参加者かあるいは物見遊山の見物か、他国からの来訪者もよく目に付いた。
かくいう凛風とポラリスもまた、闘技祭への参加者だ。
「僕らの出場するのは、モンスター狩りだったね。始まるまでまだ時間がありそうだ。少し歩こうか。何か食べてみようか？」
「う～ん……」
大サソリの丸焼き、との文字が踊るのぼりに、ポラリスは眉をしかめる。外国人にはいささかハードルが高い。しかし向こうの露店に見つけたケバブのような肉のパン包みにはなかなか食欲をそそられた。
「あれ……食べよう」
「よし、行こうか」
凛風が腕を差し出すと、ポラリスは嬉しそうに抱き込み寄り添う。
激闘の始まりまで、しばしの休息だ。激しいクエストの連続で疲弊した心と身体を癒しつつ、恋人と二人往来を巡り、英気を養った。
コロセウムの広さは、直径にして２００～２５０メートルはあろうか。観客席は５万人もの収容人数を誇り、ざっと見てもそのほぼ全てが埋まっている。分かりやすい比較対象を挙げるなら、寝子電スタジアムにも匹敵する大きさだ。
そんな巨大建造物の内部、４００メートルトラックほどの広さを持つ闘技場を、どういう仕組みかなみなみと水が満たされていくのだから圧巻だ。
「模擬海戦だそうだよ。すごいな、本当にコロセウムの中に海ができてしまった」
「魔法の技術、だね……」
ポラリスの見立てどおり、何らかの魔法を活用して注水しているようだ。
瞬く間に出現した湖へ、船が浮かぶ。色鮮やかに飾られた船体には、１０名から２０名ほどの乗員が乗り込んだ。いずれも軽量の革鎧やローブに身を包み、武器を携えた勇士たちが、力強くオールを漕ぐ。コロセウムは再び熱狂の声に包まれた。
合わせて四隻の軍船が姿を現し、さっそく弓矢と攻撃魔法が飛び交い始める。ヴァイキングの扱ったロングシップのように、軍船は前後の別なく機敏な回頭が可能で、目まぐるしく位置を変えながら接近していく。やがて船首同士が擦れ合うのと同時、剣に斧を構えた兵士たちが互いの船へと飛び込んでいき、戦いは白兵戦へと移りゆく。
「なかなかの迫力だね。お、あそこのスペルブレイカーの女性はかなりのつわもののようだ。ポラリスにはかなわないけれど」
「あっちの、ウェポンマイスター……凛風みたいに、素早くて、強そう……凛風のほうが、カッコイイけど」
観戦中にもついつい、目を惹く勇士と隣の恋人を比べてしまう。結果は言うまでもないことだが。
海戦も佳境を迎えたところで一隻、また一隻と軍船は沈んでいき、勝利を決めた船の乗員たちが高らかに勝鬨を響かせる。客席を狂気的と表しても過言ではない、今日一番の盛り上がりが包み込んだ。
「さて、そろそろ行こう」
「ん」
次の競技、バトルロイヤルを経て、種目は魔物狩りへと移る。ポラリスと凛風も出場する、闘技大祭のハイライトである。
「腕試しといこうか？」
凛風に手を取られ、立ち上がったポラリスは闘技場の中心を真っすぐに見据え、深くうなずいた。
「うん。凛風と、いっしょに……より高みを、目指して……！」
「時は来た！！」
コーヒーフィルターを逆さにしたような、不思議な三角帽子をかぶった偉丈夫が高らかに宣言を発した。
トラジアは宗教都市だ。ここタンブラーコロセウムももともと、コーフィルの戦神サイフォーンを祀る祭壇としてつくられたらしい。見回せばなるほど、戦神の紋を刻み込んだ精巧なレリーフや、神官らしき格式ばったローブに身を包んだ者たちなどが目に付く。
「心血注ぎ鍛え上げし肉体、闘法に武技、魔術の粋、兵法を存分に振るい、我らが血肉を戦神の聖なる器へ捧げるのだ」
三角帽子の男は両手持ちの重たげな鉄槌を軽々と掲げ、祭壇へと打ち鳴らせば舞い散る火の粉に呼応してか、コロセウムの外周からごうと炎が噴き上がり、空を赤く染める。
「燃え上がれ！！ トラジア闘技大祭、開幕である！！」
ドラが吼え、楽隊の吹き鳴らすラッパとともに、集う猛者たちの怒号が満ちた。
「いやはや。すごい盛り上がりだね」
黒髪を砂塵に流し、凛風（プレイヤー：鷹司 凜太郎）は感嘆した。
トラジアの街並みは闘技大祭一色だ。武力がモノを言う部族社会のコーフィルにあって、武闘大会は己の研鑽を図り競い合う場でもあり、同時に文字どおりのお祭り騒ぎでもある。コロセウムへ連なる道の両端にはのぼりを立てた露店がずらりと並び、地方色あふれるグルメが目白押しだ。子ども向けのオモチャを売る土産屋なども出ているが、商品が刃を潰した剣や槍、小さな盾だったりするあたりはお国柄というものか。
凛風は郷里の祭りを思い出してか、懐かしく目を細む。
隣を歩むポラリス（プレイヤー：スピカ・フォーツ）はというと、どこかおずおずとして凛風の袖をつまんでいる。
「どうしたんだい、ポラリス。今日は大人しいね」
「う～……人ごみは、ちょっと苦手……」
確かに行き交う人々で道はあふれ返っている。コーフィル人はもちろんのこと、闘技大祭への参加者かあるいは物見遊山の見物か、他国からの来訪者もよく目に付いた。
かくいう凛風とポラリスもまた、闘技祭への参加者だ。
「僕らの出場するのは、モンスター狩りだったね。始まるまでまだ時間がありそうだ。少し歩こうか。何か食べてみようか？」
「う～ん……」
大サソリの丸焼き、との文字が踊るのぼりに、ポラリスは眉をしかめる。外国人にはいささかハードルが高い。しかし向こうの露店に見つけたケバブのような肉のパン包みにはなかなか食欲をそそられた。
「あれ……食べよう」
「よし、行こうか」
凛風が腕を差し出すと、ポラリスは嬉しそうに抱き込み寄り添う。
激闘の始まりまで、しばしの休息だ。激しいクエストの連続で疲弊した心と身体を癒しつつ、恋人と二人往来を巡り、英気を養った。
コロセウムの広さは、直径にして２００～２５０メートルはあろうか。観客席は５万人もの収容人数を誇り、ざっと見てもそのほぼ全てが埋まっている。分かりやすい比較対象を挙げるなら、寝子電スタジアムにも匹敵する大きさだ。
そんな巨大建造物の内部、４００メートルトラックほどの広さを持つ闘技場を、どういう仕組みかなみなみと水が満たされていくのだから圧巻だ。
「模擬海戦だそうだよ。すごいな、本当にコロセウムの中に海ができてしまった」
「魔法の技術、だね……」
ポラリスの見立てどおり、何らかの魔法を活用して注水しているようだ。
瞬く間に出現した湖へ、船が浮かぶ。色鮮やかに飾られた船体には、１０名から２０名ほどの乗員が乗り込んだ。いずれも軽量の革鎧やローブに身を包み、武器を携えた勇士たちが、力強くオールを漕ぐ。コロセウムは再び熱狂の声に包まれた。
合わせて四隻の軍船が姿を現し、さっそく弓矢と攻撃魔法が飛び交い始める。ヴァイキングの扱ったロングシップのように、軍船は前後の別なく機敏な回頭が可能で、目まぐるしく位置を変えながら接近していく。やがて船首同士が擦れ合うのと同時、剣に斧を構えた兵士たちが互いの船へと飛び込んでいき、戦いは白兵戦へと移りゆく。
「なかなかの迫力だね。お、あそこのスペルブレイカーの女性はかなりのつわもののようだ。ポラリスにはかなわないけれど」
「あっちの、ウェポンマイスター……凛風みたいに、素早くて、強そう……凛風のほうが、カッコイイけど」
観戦中にもついつい、目を惹く勇士と隣の恋人を比べてしまう。結果は言うまでもないことだが。
海戦も佳境を迎えたところで一隻、また一隻と軍船は沈んでいき、勝利を決めた船の乗員たちが高らかに勝鬨を響かせる。客席を狂気的と表しても過言ではない、今日一番の盛り上がりが包み込んだ。
「さて、そろそろ行こう」
「ん」
次の競技、バトルロイヤルを経て、種目は魔物狩りへと移る。ポラリスと凛風も出場する、闘技大祭のハイライトである。
「腕試しといこうか？」
凛風に手を取られ、立ち上がったポラリスは闘技場の中心を真っすぐに見据え、深くうなずいた。
「うん。凛風と、いっしょに……より高みを、目指して……！」
シナリオ
シナリオデータ
シナリオスケジュール
- シナリオガイド公開日
-
- 2023年07月24日
- 参加申し込みの期限
-
- 2023年07月31日 11時00分
- アクション投稿の期限
-
- 2023年07月31日 11時00分
