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LIQUID -Star Chronicle- 暁の英雄譚
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【サイドクエスト『蒼毒竜のため息』(2)】
「わ、わ。うわぁ!」
エイジは身をかわしつつも駆け続ける。立ち止まり周囲へ注意を巡らせる余裕は無かった。
彼は森を駆けていた。鬱蒼として深く、道といえば獣道くらいのもので、これまで人の手が入ったことはないようだ。蒼毒竜の縄張りの中心部にあるのだから、当然のことではあったが。
「魔物はともかく、どうして普通の動物まで攻撃してくるんだ……!?」
<セルフヒーリング>を発動しながら、横合いから飛びかかるダイアウルフの牙を<聖銀の盾>でしのぐ。正面から突進してくるのは、大きいが何の変哲もない鹿だ。<聖銀の剣>を振るうのもためらわれ、角の一撃をくぐり抜けて走り続ける。頭上には巨躯をたたえた猿型のモンスターが樹状を飛び交う影がいくつも見えた。
幾人かの冒険者が同行していたはずだが、どうやら這う這うの体で逃げ帰ったらしい。いまだ目的を果たすべく森を突っ切っているのはエイジ一人だ。
「何かを探す、とは言ったけど……何を探せばいいんだろう」
ひとまず森の中心へあたりをつけ、枝葉を切り払い襲撃を切り抜けながらに進む。<地図作成>でのオートマッピングが役立った。やみくもに突き進んでは迷うばかりだったろう。
ドラゴンとワインツ騎士団、冒険者の混成部隊が死闘を繰り広げる戦場を離れ、エイジは別動隊として行動することにした。これまでささやかな砦を築く程度の人の行いには目こぼしを施してきた蒼毒竜の、この度の突然の襲来には何らかの理由あってのことではないか……そう推察の上でのことだ。真相を突き止めることができれば、無用な犠牲を払わずとも平和的な解決を見い出せるかもしれない。
「く……セルフヒーリングの回復が追い付かない!」
モンスターや動物たちの襲撃が増してきたのは、青く繁る森の中心へ近づいた頃だ。何かを守るように、とはエイジの印象だが、明らかに彼の進行を阻むように鹿が、ダイアウルフが、巨猿が、カトブレパスがバイコーンが立ち塞がるのだ。事実、同行していた冒険者たちは追われることなく離れていったから、きっと今頃は森の外へ脱出していることだろう。
「……あっ!」
冒険者ならば重厚な鎧を纏い森を駆けるも容易だが、それを操るのは英二である。つまづき転倒したところに、ぽっかりと木のうろが開いていたのも何だか彼らしい。
「うわあああ……」
うろは細く管となってくねり、地下の空間へと滑り落ちるエイジを運んだ。
「いたた。いやVRだから痛くはないけど……ど、どこだろうここ?」
頭上に開いた穴から一筋の光が差し込むのみで、薄暗く、土壁に囲まれた広い空間だ。いささか埃っぽく、長い間足を踏み入れた者もないのだろう。動物の足跡や毛、糞なども見当たらないから、巣の類でも無さそうだ。
すがるように前方へ手を伸ばしたあたりで、暗がりに目が慣れてきた。ぺたりと滑らかな感触に手のひらが触れる。
「……!? これは」
幸運のたまものか、あるいは導かれてのことか。エイジはここが目的の場所であることを知った。
「卵……? 大きい! もしかして、ドラゴンの卵?」
蒼毒をはらむブレスが、ワインツの騎士たちを薙ぎ払う。戦列は容易く引き裂かれ、ある者は息絶えある者は膝を突き、ある者は剣や盾を投げ出して遁走してゆく。
しかしさすがは歴戦の騎士団だ。統制の内に纏まらぬ者はわずかで、陣が欠ければすぐさま埋め、命令系統は一貫して滞りがない。臆することなく立ち、ドラゴンの行ける伝説へと挑んでゆく。
冒険者たちもまた。
「いけえっ、<竜突拳>!!」
疾風めいて駆け込むアオイの両の拳が、蒼毒竜の胸元へ叩きこまれる。無論一撃で戦況が変わるとも思わず、シャローテの投げナイフが隙を埋めているうちに跳び退き、振るわれる爪撃を外した。
「<オートヒール>の回復で蒼毒のダメージはある程度相殺できるけど、完全じゃないわ。いつまでも持たないわよ!」
「本当に勝てるのですか!? 効いているようには……」
「勝てる!!」
マーナとシャローテの漏らす弱音をかき消すように、アオイは一歩も退かず。叩き下ろされる爪の先を頬にかすめさせながらも身を翻し、逆さとなって、顎下の逆鱗めがけ炎風旋を蹴り入れる。
蒼毒がアオイを侵し荒れ狂い、青の輝きがその身を包むも、怯むそぶりなど見せはしなかった。
「今までだって三人で、どんな敵もやっつけてきたじゃない。それにバリスタール教団のクエストだって、まだ続いてく。もっともっと強い敵が出てくるかも……立ち止まってなんていられないわよ!」
三人娘の頼れるリーダー。アオイの勇猛果敢に心奮わされたか、マーナとシャローテも口元を緩めうなずいた。
一方、もう一人のアオイはいささか腰が引けている。
「わ、私、そろそろ限界かも……!」
「すまない、もう少しこらえてくれ!」
体力も尽きかけているアオイを、オサムはポーションで援護する。同時にパートナースキル<Pリンケージ>を発動し、前衛を務めるアオイの攻防力を引き上げた。
「ありがと、オサム君! うん、もうちょっと頑張ってみる!」
「ああ。俺たちならやれるさ!」
騎士団は退かずに数を減らし、冒険者たちも傷つき疲弊が蓄積している。戦いの果てはまだ見えないが、蒼毒竜もまた傷ついているはずだ。
この膠着にあって、オサムはやみくもに戦っているわけではなかった。ドラゴンへ攻撃を繰り返しながら、機が訪れるのを待っていた。
(急いでくれ、エイジ。穏便な解決の糸口を見い出すなら、今が好機のはず)
<魔力強化薬>を服用し、破壊力を増した炎弾をドラゴンの口腔へと放つ。劫火が炸裂し、蒼毒竜の巨躯が揺らいだ。
『……みんな! ちょっと聞いてほしいんだ!』
グループチャット機能を通じ、仲間の声が届いたのはその時だった。
遠く空は晴れ渡る。時は斜陽を刻み、燃え上がるように赤く染まっていた。
巨竜の咆哮が、風を裂き響き渡る。
「ドラゴンの卵……! 蒼毒竜レゼルヴァに、子がいたのか」
「メスだったの?」
炎弾を放つ手は緩めない。それでいて、オサムは彼女……眼前にそびえる竜の巨躯を見据え耳を傾けた。
『……何のことはないのだ。我もまた、種を繋げんと定めに抗うだけ。小さき人の子らと変わりはせぬ』
声が響く。冒険者たちの脳裏へ伝えられたそれはどうやら、ワインツ騎士団の耳へは届いていないようだ。
『あるじのため。国のため。名誉のため。神のため。我には理解の及ばぬそんなもののため、騎士とやらは生者を屠り、その行いを誇るのだろう。つまらぬことだ。命を奪い己の糧とするのは世の理、道理や名分など必要であろうか。命は巡りめぐるものだ。山河を下る清流が大海となり、雲となり雨となり、やがて山河へ還るように』
「じゃあ私があんたを倒すのも、世の中の理ってわけよね?」
切り込むアオイは己を曲げるつもりも無い。竜の語る言葉のとおりだ。強いものが弱いものを糧とし、より強いものが生き残る。命の流動が世の定めであるなら、それに身を任せるのもいいだろう。
『是非もない。もはや流れは変わらぬだろう』
蒼毒竜はなおも冒険者らへ語った。
『其方らの使う鉄の牙や奔るつぶてに穿たれるまでもなく、我が命はまもなく尽きるだろう。それほどに、長く生きた』
「寿命か……」
「蒼毒竜は、死ぬことが分かってたんだ。彼女にとって、これは最期の戦いなんだ。命を繋ぐための」
地図をたどり戻ってきたのだろう。エイジがいつのまにやらオサムの隣に立っていた。まなじりを引き締め、戦場を見据える。
『我もまた、繋げねばならなかった。我が子が孵り、何者にも脅かされぬ大空へ飛び立つまで、其方らの数えにして数千年。その間を受け継がれる、絶対の恐怖を刻まねばならなかった。恐れを知らぬ騎士とやらへ』
ブレスが騎士団を飲みこむ。多くが蒼毒に沈むも、鬨の声が止むことはない。
蒼毒竜の伝説は太古より一帯に語られてきたものだ。強大にして赫赫たるエンシェントドラゴンの逸話が連綿と連なるからこそ、人はこの地へ容易に足を踏み入れず、戦火を持ち込むことも無かった。
『しかし……我が目論見は違えた。人の子らは矮小なれど、群れとなり織り上げられる其方らの力は、我を凌駕した』
咆哮は力強く空を穿つ。しかし今や冒険者の耳に、それは儚く絞り出す断末魔と聞こえた。
『我はもはや、翼をあと一打ちもすれば事切れるだろう』
終結の時が近づく。
「なるほど、事情は分かった。しかし、俺たちにどうしろと言うんだ?」
騎士団の布陣は半ば瓦解しつつあり、士気の低下は免れまいが、竜殺しの栄誉と潤沢な報奨が彼らを後退させなかった。
ドラゴンは人喰いの怪物だ。畏怖を抱かれ、物語に燦然と語られる神話の生き物だ。英雄たらんとするものにとって、垂涎の獲物でもある。ことに冒険者ともなれば、ドラゴンとはこうしてクエストで対峙し命のやりとりをする間柄に他ならない。
卵を守ってくれとでも言うのだろうか。冒険者が請け負う義理はないし、そもそもが数千年もの先だという成竜への羽化まで見守ることなど不可能だ。
問いに答えるでもなく、竜はただ、首をもたげて。
『……願わくは……』
つぶやくように発すると、翼を広げる。山一つのみ込んでしまいそうな漆黒に、葉脈めいた青のラインが幾筋も走り、鳴動していた。
最後の力を振り絞ってのことだろう。翼を打つ。重たげに空へと飛び上がると、ブレスの一吐きを地に迸らせ、そうして飛び去っていった。
翼は蒼の光を日に透かし、蒼毒竜は山麓を越えて谷間の向こうへ、遠くいななきを残し消えていった。
「ドラゴンスレイヤーの称号、取りっぱぐれちゃったかぁ。ざーんねん」
アオイはこぼしたが、苦笑いまじりだ。身を焦がすような戦いを楽しみ満足したようで、蒼毒竜討伐ならずとも撃退したことで得た十分な報酬をマーナとシャローテと山分けし、次なる冒険へ弾みをつけることができた。
エイジはオサムや仲間たちへ、竜卵の在り処を語らなかった。オサムがそれを求めなかったからでもあるし、元より語るつもりもなかっただろう。
もっとも語ろうが語るまいが、何かが変わるわけではあるまい。竜の営みは小さくささやかな人々のそれと比べ、あまりにも遠大だ。想像も及ばぬ長き道程に人の身で介入するなどおこがましくも思える。
竜は飛び立った。天に力尽き、谷間の剣がごとき岩の連なりへ失墜する様を目にした者もない。蒼毒竜の伝説は今しばし、語り継がれることだろう。
それに……と、エイジは深き森の獣たちの荒れ様を思い返す。思えばかの獣や魔物たちは、竜の卵を護っていたのだろう。古の竜は自然を統べ、慈しむがゆえに、しばしばそれを蔑ろにする者々と対峙し、排してきたのだ。
「どうなるかはまさに、神のみぞ知るってところだな。俺たちが思いわずらっても仕方がないさ。せめて、祈ろう」
「うん……そうだね」
竜に育まれし森が、その子を育むだろう。
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グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
冒険
バトル
ゲーム
定員
10人
参加キャラクター数
10人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2023年07月24日
参加申し込みの期限
2023年07月31日 11時00分
アクション投稿の期限
2023年07月31日 11時00分
参加キャラクター一覧
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