過保護すぎる姉と、自立したい妹｜リアクション

過保護すぎる姉と、自立したい妹

【エピローグ】

　バイトが終わり、更衣室で帰り支度をしていた蘭月は、隣でしょんぼりと服を着替えている真美を見やった。
　小さく吐息をつくと、声をかける。
「あたしもなー、入りたての頃はミスもよぉしたし、今でも完全ノーミスかっちゅーと、正直そうでもないわ」
「先輩？」
　真美が、驚いてそちらをふり返る。それへ蘭月は続けた。
「せやから福井ちゃんも、ミスは周りでフォローするさかい、これからもよろしゅう頼むで！」
　たちまち、真美のしょぼくれていた顔に、笑みが広がって行く。
「先輩！　ありがとうございます。こちらこそ、よろしくお願いします！」
　頭を下げる真美に、蘭月はニッと笑って親指を立てて見せた。
　そのまま二人は、一緒に外に出る。
　入口の傍には、直美がまだ立ち尽くしていた。そちらにゆっくり歩み寄って行く真美に、蘭月は心の中でエールを送る。
（福井ちゃん、ドンマイ）
　そして、そっとその場を離れるのだった。

　月曜日。
　美弥子は朝に、絢は昼の学食で、直美から妹ときちんと話したことを聞かされた。
「妹と、周りの人を信頼することにしたの」
　そう告げる直美の顔は、晴れやかだった。
「そうね。そのうち、おちついてくるかもしれないし」
　絢の言葉に、直美は大きくうなずく。
　美弥子経由で、その話は信彦と修、日向の耳にも届いた。
「レディたちの憂いが晴れて何よりだ」
　話を聞いて、信彦はよかったとうなずく。
（互いに歩み寄れて、よかったな）
　修は内心に呟いて、小さく笑みをこぼした。
（いい方向に進んで、よかった。……けど、俺も他人事じゃないような……？）
　日向は喜びつつも、ふと自分の妹のことを思って独り言ちる。
　また、蘭月もバイトの休憩時間に真美から、姉とちゃんと話したこと、一応の理解を得られたことを聞かされた。
「よかったな、福井ちゃん！」
　蘭月が笑顔でうなずいたのは、言うまでもない。

　こうして、姉と妹の物語はひとまず決着を見たのだった――。

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あとがき

担当マスター：織人文
ファンレターはマスターページから！

マスターの織人文です。
参加いただき、ありがとうございました。

真美のドジを阻止するミッションについては、実際にサイコロによる判定を行っています。
なお、失敗した時のアクションがない方に関しては、アドリブで書かせていただきました。
ご了承下さい。

ともあれ、みなさまの行動により、真美のドジは大事にならずにすみました。
また、姉の直美とも和解に至った模様です。

というわけで、参加して下さったみなさまが、少しでも楽しんでいただければ、幸いです。

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