【期末テスト】赤点？満点？？氷結、四日間の死線＜物語編＞｜リアクション

【期末テスト】赤点？満点？？氷結、四日間の死線＜物語編＞

　綾辻綾花は、返却されたテストを手にホッとしていた。
（勉強の成果が現れました）
　一番に喜びを伝えたくて、綾花は放課後に図書室へ向かった。
「こんにちは、珪先生」
「こんにちは、綾辻さん」
　すぐに司書教諭の早川珪先生がやってきた。タイミングを見て綾花は切り出す。
「先生、テストの報告をしてもいいですか」
　テストが終わった図書室は人も少ない。
「ああ」
　綾花は返却されたテストを珪先生に見せた。
「頑張ったね」
　好きな人に笑顔を向けられ、綾花の胸にじわじわと喜びがこみ上げた。
「珪先生に勉強を教えてもらったからです。ありがとうございます」
「いや、綾辻さんが頑張った成果だよ。僕はお礼を言われるようなことはしてないよ」
「いいえ、勉強だけじゃなく一緒に出掛けて気分転換させてもらったりもしました。だから珪先生のお蔭です」
「そう言ってもらえると嬉しいな。よかったね」
「私も先生にそう言っていただけて嬉しいです。何よりも力になります」

　みんなには内緒だが、実は綾花は先生のアパートで勉強をみてもらっていた。
（せっかくの休みなのに時間もらってしまって。でも集中して勉強できたからこの結果になったんだと思います）
「こうして報告できて嬉しいです。次は受験の合格報告ができるように頑張ります」
　そして綾花は、小声で囁いた。
「また勉強しに行っても良いですか？」
「……時間が空いていれば」
　小声で答える先生。
　先生の都合のいい日にぜひ、と囁いて、綾花は声を大きくする。
「久しぶりに図書委員の仕事お手伝いします」
　一応まだ図書委員だけれど、最近は受験優先で後輩に任せっきりだった。
「３年生はもう……」
「いいえ、今日はちゃんと仕事します。仕事できるのも珪先生の役に立てるのも嬉しいですし。気分転換にもなりますから」
　楽しそうに、綾花は図書委員の仕事を始めるのだった。