【期末テスト】赤点？満点？？氷結、四日間の死線＜物語編＞｜リアクション

【期末テスト】赤点？満点？？氷結、四日間の死線＜物語編＞

（手応え的にミスは無かった気がする、が……）
　それでも結果は蓋を開けてみるまでわからない。
　八神修はひとつひとつ点数を確認した。
　間違いない。
（やりとげた）
　じんわりと達成感を味わう。

　ＨＲが終わり、七夜あおいと合流した。
「「どうだった？」」
　問う声が二つ、ハモる。
　それも嬉しいことだった。
「あおいの結果を聞かせてくれるかな」
　あおいはすでに進路が決まっているが、当然進路が決まってもテストはある。
　頑張りが生かせてたらいいな、と修は思う。
「うん、おかげでまあまあの成績がとれたよ。修くんは？」
　そう尋ねるあおいの瞳に不安はない。
　大丈夫だとわかった上で聞いているのだろう。
「よかった。俺も全て満足いく結果になったよ」
　一拍おいて修は告げる。
「全教科満点だ」
「すごい！　おめでとう」　
　あおいが歓声を上げた。
　頭をかきながら修は説明した。
「実は今まで取れた事なかったんだ。五教科以外で失点あったりね。この前は五教科でミスがあった……あの時は元気づけてくれて有難う」
「……ああ、あの時。別にお礼を言われるようなことじゃないけど」
「あおいにもらったお守りをポケットに、自分を信じて頑張ったんだ」
　どんな霊験あらたかな神社のお守りよりも、それは修の力になってくれた。
「本当によかった、がんばったね修くん」　
「卒業までに一度は、全教科満点を取りたかった。目標をひとつ達成したよ。これを自信のひとつに本番に挑むよ」
　二人は微笑みあう。

　少しずつ生徒たちが下校していくことに気づき、修はあおいに言った。
「何か温かいものでも食べて帰ろうか？」
「「何食べる？」」
　これもハモり、修は嬉しすぎて笑う。
「俺たち周波数同じなのかな」
「そうかも……じゃあ、修くんもお腹空いてきた？」
「ああ。よし、早く行こう」
　
　お腹を優先して手近なサイゼリニャに入ると、あおいはテストの結果を見せてくれた。
　間違えたところを見直しながら、達成感開放感が増すのを感じる。
　やがて頼んだシチューがやってきた。
「「いただきます」」
　湯気の向こうは笑顔。
　大好きな存在との大切な時間に、修は心もお腹も温かくなった。