【期末テスト】赤点？満点？？氷結、四日間の死線＜物語編＞｜リアクション

【期末テスト】赤点？満点？？氷結、四日間の死線＜物語編＞

〇テスト前

「勉強を教えてもらいたい？」
　剣崎エレナは首を傾げた。
　テスト1週間ほど前。
　八十八旗信彦は、をファミレスにエレナを呼び出した。
　エレナは１年先輩で、木天蓼大学法学部に進学している。
「英語だけでいいんだ。最後のテストなのに、苦手意識が定着して、やる気もイマイチで……このままでは悲惨な結果になりかねない状態なんだ」
　受験勉強してるから期末試験ぐらい大丈夫、とたかをくくっていた信彦だが。
　テストが近づくにつれ英語の教科書を開く気にもなれない現実に直面した。
（あれ、これって自主学習無理じゃね？）

　そんなわけで謙虚に頼む信彦に、エレナは眉を顰める。
「なぜ私なの？　塾なり先生に頼むなり、家庭教師がいいなら教職志望の大学生だっているはずよ」　
「エレナちゃんだからお願いしたいんだ！」
　信彦は頭を下げ、真摯に語り掛ける。
「政治家を目指しているエレナちゃんなら、きっと英語の勉強も抜かりはないのではないかと思うんだ。勉強を推しに教えてもらえるなら、モチベーションも成績も鰻上り間違いなし！」
「そっちはそれでいいでしょうけど、私だって忙しいのよ？」
「もちろんバイト代は出させてもらうよ。息子の勉強のためなら親はそのくらい出してくれるはずだから。他にも不安要素はある？」
「不安なのはあなたでしょ。私は大学が休みに入っているから、少しなら時間を割けないことはないけど……」
「それじゃ」
　顔を輝かせる信彦を、エレナはじっと見つめた。
「……八十八旗君、本気でやる気はあるの？　私は無駄なことのために時間を割く気はないわよ」
「もちろん！　志が高いエレナちゃんの姿には、いつも憧れていたよ。キミとなら頑張れると思うんだ！」
　褒め殺しにかかる信彦。
（これでだめなら、最終手段は五体投地土下寝かな）
　信彦は、期末テストのことだけを考えているのではない。
　あわよくば、そのまま大学受験直前まで面倒をみてもらいたい！　と狙っているのだった。
「……わかったわ。引き受けましょう。ただし、やる気のない態度を見せたらすぐ終了するわよ」
「ありがとう！　さすがエレナちゃん、俺が見込んだだけのことはあるよ！」
「調子いいんだから」
　ため息をつきつつ、エレナはやる気になっている。

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