【期末テスト】赤点？満点？？氷結、四日間の死線＜物語編＞｜リアクション

【期末テスト】赤点？満点？？氷結、四日間の死線＜物語編＞

　佐藤英二の文系の科目は上々の点数だった。
　そうなると気になるのは、ののこのことだ。
（……野々さんはどうだったのかな？　今回も励ましてあげた方が良さそうかも？）
　正直、２学期末試験の今回は、成績が悪いとかなりリカバリーが難しそうだ。
（最初から駄目な試験結果と決めつけるのもアレだけど……何となく振るわなかったような気がするなぁ）

　英二は野々ののこの様子を伺う。
　がっくりと肩を落とし、アホ毛もうなだれている。わかりやすい。
「野々さん」
　とりあえず声をかけてみた。
「英二くん……」
（ああ、これは赤点だな……）
　ここまでくるとののこの成績は大体見当がつく。
　英二はなるべく明るい調子で話しかけた。
「その、試験結果が駄目でもまだ大丈夫。冬休みにしっかりと補習を受ければきっと何とかなるよ。少なくとも卒業にはきっちりと届くハズだよ」
「そ、そうかな……」
　正直あまり根拠はない。
（でも野々さんには元気でいてほしい）　
「僕も何かと手伝うから頑張ろう」
「ありがとう、英二くん。赤点はあったけど、手伝ってもらえるならがんばらなきゃだね」
　少し元気になったののこを、英二はさらに励ます。
「冬休みに入ったら頑張る、ってことで……とりあえず今日は試験結果のことは忘れて打上げしよう。みんなでカラオケ行く？　それとも美味しいモノ食べに行く？　今日は僕が奢るから何でも注文して良いよ！」
「ほんと！　やったあ！　それじゃカラオケ行って美味しいもの食べよう！」
　ののこはいつもの明るい笑顔を見せてくれた。

「夏朝ちゃん、夏夜ちゃん、打ち上げにカラオケ行かない～？」
　すっかり元気になった様子で皆に声をかけるののこ。
　英二は思う。
（こんなことで元気になってくれるなら安いものだよ）
これから補習と追試が待っているだろうが、今だけは考えないことにした。