【期末テスト】赤点？満点？？氷結、四日間の死線＜物語編＞｜リアクション

【期末テスト】赤点？満点？？氷結、四日間の死線＜物語編＞

「期末テスト……終わったー！」
　恵御納夏朝は教室で思い切り伸びをした。
「今回も大変だった……」
（今後も気を抜かずに大学受験と３学期の期末テストに向けて勉強……だけど）
「この後は夏夜ちゃんと打ち上げするんだ！」

「期末テスト……完遂……！」
　恵御納夏夜も同じ教室で伸びをしていた。
「今回も大変だった……おのれ妨害幽霊……」
（今後も気を抜かずに大学受験と３学期の期末テストに向けて勉強する予定だけど、今日この後だけは例外。息抜きに、夏朝と打ち上げするからね）
　
　夏朝と夏夜は合流して、お菓子やジュースを買った。
「このくらいでいいかな？　……よし！　色々買ったし夏夜ちゃんと打ち上げ楽しむよ！」
「うん、気を取り直して……打ち上げ楽しむよ」
　二人は桜花寮女子寮Ｃ棟、夏朝の部屋へ向かった。
　ちなみに夏夜は夏朝との分離後、猫鳴館で暮らしている。

「ただいま、おはぎちゃん。もふらせて～」
「ニャー」
「こんにちは、おはぎちゃん。僕もいいかな……」
　一人部屋で夏朝は、透明になれるレンズキャットのおはぎちゃんとひそかに同居している。
「猫は癒しだ、猫ー」
　テスト勉強中我慢していたので、二人でおはぎちゃんを存分にもふった。
　それからお菓子やコップを並べ、打ち上げが始まった。

「期末テスト、お疲れ様……かんぱーい！」
「期末テスト、お疲れ様だね……乾杯！」
　二人はお菓子やジュースを楽しみながら、高校最後の期末テストの悲喜こもごもを話す。
「今年は幽霊さん達が来るなんてね……びっくりしたよ」
　夏朝が言い。
「幽霊……妨害してきたのはさすがに複雑だけどね」
　夏夜が応じる。
「魔除けやお札が欲しくなったね、今度買おう」
　と夏夜は言うが。
（テスト受けてた幽霊さんは良い点とれてると良いなぁ）
　と夏朝は思うのだった。

　会話はこれからのことへと広がる。
「この後は大学受験に３学期……そして卒業式。桜花寮とも今年でお別れ、かぁ」
　夏朝が挙げれば、夏夜が頷き。
「そうだね。僕も猫鳴館から出る事になる」
「桜花寮を出た後の為に寝子島のペット可物件を探してる所だよ。おはぎちゃん達とも一緒にいたいから」
　夏朝の言葉に夏夜は提案する。
「僕も大学に通う為の住処は探してる所……夏朝、せっかくだし……２人で一緒の部屋にする？」
「２人で一緒の部屋……その手もあったね！」
　夏朝はぽん、と手を打った。
「探す部屋が１つで済むし家賃も浮く」
「夏夜ちゃんと一緒にルームシェア、楽しみ！」
「寝子島内のお部屋が良いね、ペット可は必須で」
　夏夜も口角を上げ２人と１匹の暮らしを想像する。
「僕は木天蓼大学で、小説とか色々創作する道に進むんだ……！　夏夜ちゃんは別の大学。でも、お部屋では時々一緒に過ごせたらいいな」
「木天蓼大学に行こうかとも迷ったけど……写真学科がないから、僕は神奈川県内で写真学科がある大学か専門学校に行くつもり。通学は何とかするよ」
「近くにいい学校がみつかるといいね」
　ジュースを手に、夏朝は言った。
「寝子高生活もあと数ヵ月……楽しんでいきたいね。……本当は、同じく楽しんでほしかった子がいるけど」
　呟いた夏朝の脳裏に浮かんだのは、助けられなかった黒白滴のことだった。
「……うん」
　　言わなくても夏夜にはわかった。
（……夏朝も気にしてる。あの子にも楽しんでほしかったって）

　いつの間にかお菓子もジュースもだいぶ減っていた。
「明日からは切り替えていこう」
「明日からは切り替えるよ」
「受験勉強頑張ろうね、夏夜ちゃん！」
「そうだね。お互い勉強頑張ろう、夏朝」

　残ったお菓子を半分こして、打ち上げはお開きとなった。