いきなり！　ドラマ出演でショー！！｜リアクション

いきなり！　ドラマ出演でショー！！

＞素直と、演技と、ぐるぐると？
「うーん……」
　目がぐるぐる回りそうになりつつも悩んでいた京極花音は……、妻役になった女性と打ち合わせし正直に思いを打ち明けた。なんだか頭がぐるぐるするが（実は神魂の所為だが気付いていない）
「なるほど、好きな人がいるから演技を変えたい、と」
「本当にすいません！」
　花音はばっ、と頭を下げた。すると、妻役の女性は楽し気に「うふふっ」と笑う。
「まさに首ったけって感じね。だったら、ちょっと考えるわ」
「ありがとうございますっ！！」
　花音は、少し胸の中の罪悪感が薄れたことを感じつつ、心から感謝を述べた。

　そしてこれである。
「行ってくるよ、ハニー」
　靴を履き、笑顔でドアノブに手をかける花音。
「ダーリン、いってらっしゃーい！」
　妻役の女性は、笑顔で投げキッス。花音は少し頬を赤くしながらも頷いてから出勤し、走り始める。

（だあああああっ！　代案もちょっと恥ずかしいなこれ！！　しかもまだ頭がぐるぐるしてる……？？）
　これが、意中の女性からだったら？！　多分自分はもっと顔が赤くなってしまうだろう。なんて思っている間に、行先だった筈のバス停を過ぎ、乗る筈だったバスとすれ違う。
「……なんてやってる場合じゃなかった！！」
　必死にバスを追いかける花音。だが、そこで出くわしたのが、道に迷った双子の姫と、そうとは知らず『道に迷った双子姉妹』の話を聞く出勤中の主人公だった……。
　主人公とは顔見知り設定もついていて驚いたが、とりあえず一旦妻のもとに二人を連れていく。そして、近くの高校を見学出来ないか相談に乗ってもらっている間に、妻の弟（ソラ）が起きてくるのだ。
　カット！　とカチンコが鳴らされる。
　撮影シーンが終わり、安堵の息をついていると妻役を演じた女性が「おつかれさま」と肩を叩く。
「なかなか上手いじゃない。その意中の相手とそういうやり取りできるようになるといいわね」
「！！」
　花音の脳裏に浮かぶ、想い人の可愛いエプロン姿。

『いってらっしゃい、あなた』

（もし、本当にそうなったら……どんなに素敵だろう）
　花音は頬を赤くしながらも、想い人を思うのだった。

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