いきなり！　ドラマ出演でショー！！｜リアクション

いきなり！　ドラマ出演でショー！！

＞最初は大事

　ドラマ『ニャオック！』の撮影が始まる。
　その前に、全てのキャストを把握するために挨拶が行われた。周りのスタッフは皆猫耳と尻尾が生えているが……そこは気にしてはいけないだろう、おそらく。
　ボタモチと名乗ったぽっちゃり系男性は、参加者たちに積極的に話しかける。その様子を見ながら台本に目を通す者が一人。
（今回は双子のお姫様なのね……）
　姉姫様役となった青山絢は、ふと懐に入れた手紙の事を思い出す。
（女優デビューした映画やPV撮影が評価されたのかと最初は思ったのよね）
　その手紙を読んでいるうちに、撮影現場に来ていた事に当初は面食らった彼女だが台本を貰い、役を確認した瞬間気が引き締まった。なんせ物語の中心人物である。
（あら？）
　ふと絢は、ボタモチたちが慌てていることに気付いた。

「俺の役は高校生役か」「いっしょだね。ね、ソラ」「……なんで、そんなに落ち着いているの？」
　八神修と七夜あおいのやり取りに、七夜ソラはちょっと緊張気味に言う。というのも帰宅後手紙を読んでいたらいつの間にか現場入りしていたのだから。
「ソラの役は？」
「俺も高校生役だよ」
　台本を見せてはにかむソラ。修とあおいは撮影が楽しみだと言いながら始まるのを待っていた。しかしここに登場するのがボタモチ。
「あぁ、ちょうどいいとこに！　えーっと、あおいさんだっけ？　急遽君が演じる役を変更したいんだ」
「役の変更、ですか？」
　あおいがキョトン、とした表情で台本を受け取ると……なんと、お姫様役である。
　なんでも、妹姫役だった人が急病になってしまい出られなくなったらしい。そこで彼女に白羽の矢が立ったようだ。
　あおいは突然の事に目を白黒させる。その様子をみていた修は、それとなく彼女に寄り添う。
「あおい。頑張れそうか？　無理なら俺も一緒に断るから」
「……ううん、これもチャンスかもしれない。わたし、チャレンジするよ！」
　修の言葉に首を振ったあおいは、「よろしくお願いしますっ」とボタモチに頭を下げた。
「ねえちゃん、頑張ってな！」
　内心で肝が据わってるなぁ、と思いながらソラがあおいを応援する。その声色に何かを感じながらも、あおいは小さく微笑んだ。
（俺も、できる限りフォローしよう）
　修は、台本を手に静かに頷いた。

「結構人数がいるようだね」
「予想外だったよ」
　早川珪とウォルター・Bが思わず頷き合う。それに合わせて綾辻綾花もまた苦笑してしまった。
「なんだか、ちょっと緊張しますね……」
「確かにそうかも。それに……役どころも、ね？」
　意味深な稲積柚春の言葉に、珪もウォルターも大人らしい余裕のある笑みで頷く。というのも綾花は珪と恋人役、ウォルターは訳アリ高校生役であり、柚春はお姫様の一人が編入するクラスの担任教師役なのだ。
（台本読んだけど……、『最終的に秘密の恋愛を知られてしまい、主人公の秘密も共有して、主人公が学園を去るのを見送る？』……つまりワットと恋人役？）
学校で？　先生と生徒で？　とほほが赤くなってしまう柚春。一方ウォルターは「中々面白い配役だねぇ」と楽し気である。

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