いきなり！　ドラマ出演でショー！！｜リアクション

いきなり！　ドラマ出演でショー！！

＞エンディングロールは華やかに

「私達の事は……ひみつね」

「あの子たちは、どうしているかしら？」

「おかしなー？　今日はみょうに怖い人が多いなぁ」（手錠をかけながら）

（あの演奏、絶対誰か何かしてたよね……）

「畜生ぉおおおおおお！！」（留置所にて）

「姫様がた、日本の女子高生生活はいかがでしたか？」
　SPの問いに、双子姫は互いに顔を見合わせ、すぐに「楽しかった」と笑顔で頷いた。
　極秘に飛行機で帰国する二人故、見送りはない。でも、確かに友達は……。
「また来るわね」「だから、その日まで、さよなら」
　姉姫が大人びた笑みで、妹姫が優しい笑みで搭乗口へ。SPは静かにその背中を見、そっとついていく。

　のだが、ここで足ががくがくになった。なにもアクションはしていない。実は神魂の所為で急に足に力が入らなくなったのだ。
（し、しまらない……）
　まさかの神魂トラブル。それでも彼は「姫さま達の無事に安堵しすぎた」という演技で自分の両頬を叩く。
「最後まで、こなさねばな」
　姫二人の成長を見守ってきた分、思い入れもある。だとしても、己を正すSPだった。

　やがて、飛行機は飛んでいく。
　授業中、時計をみた修は隣の席のソラをつっついた。
「そろそろ、お姫様たちの飛行機が飛んだかな？」
「確かそうだったよね。少し寂しいな」
　正体を知った時、二人は酷く驚いた。でも、色々狙われている理由に納得がいく。とある小国にとっては二人だけの王位継承者なのだから。命を狙う者はいてもおかしくはない。
「なぁ、可能な限り早く向こうに行かなきゃな」
「それ、正気っすか？」
「あぁ、正気も正気さ。大好きな女の子に寂しそうな顔をさせたままには出来ないだろ？」

　――ここでエンディングテーマが流れ、拍手が起こる。
　あのはちゃめちゃな撮影の一週間後。ドラマに出演した者達はとあるフリースペースに集められドラマの上映会が行われたのだ。
　彼らは、まだ知らない。このドラマが神様の為の物である事を。そして地上波でも放送されていた事を。

　数日後、それなりにまとまった金額が彼らの通帳に入っていたり届けられたりするのだった。

「緊張したし、大変だったけど、頑張った甲斐があったなぁ……！　少し自信がついたかも」
　と、慶介が手ごたえを覚え、
「思った以上に、上手く言った気がするわ。でも、あの時の表情はもっと考えたほうがよかったかしら」
　絢が自分の演技を振り返りながら頷き、
「いや、とてもよかったわよ！　アタシなんか急にしゃっくりしたり仮面が張り付いたりでかっこいいとこなかったんだから！　まぁ、SP役と戦闘シーンもあったし、それは結構よかったかな？」
　アリサは神魂トラブルを思い出して苦笑し、
「俺は、やっぱり双子の姫をようやく見つけ出した時……駆け出すのを堪えたシーンがちょと納得いかなかったな。もう少しこう、もっと優しい演技ができた気がするんだ」
　彰尋もまた演技を振り返れば
「でも、SPさんが私達２人を大事にしてくれてたって事が分かるシーンの顔、とてもよかったよ」
　あおいがそうフォローする。
「そうそう、カップル二人がとても素敵だったです！　ああいうのはちょっとドキドキするなぁ」
　ソラがドラマのワンシーンに頬を赤くし、
「俺自身は、……体力がだいぶついたと思ったけど演技となるとまた違うんだなと感じたよ」
修は当時の事を思い出して言う。
「思い出すだけでちょっと恥ずかしくなるなぁ」
「いい思い出はできましたけどね」
なんて言い合う柚春と綾花の傍らには、ウォルターと珪がそれぞれの相手役を微笑ましく見ている。
　少し離れた場所では、花音がスマホでなにか話している。その反応は少し恥ずかしそうだけど、嬉しそうで……。もしかしたら意中の相手かもしれない。

　こうして、不思議なドラマ撮影は幕を閉じた。
　しかし……謎の出演依頼が次はあなたに届くかもしれない。

（終）

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あとがき

担当マスター：菊華伴
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菊華です。
大変お待たせしまして、申し訳ありませんでした。ようやくおとどけです。

今回は皆さんのおかげで色々おもしろそうなことになりました。
因みに視聴率は中々良かったようで、もしかしたらまた出演をお願いするかもしれません。

それではまた縁がありましたら宜しくお願いします。

おまけ
今回の称号：【びっくり！　ドラマ撮影！！】

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