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- 学年：職業
- 00月00日生 00歳
- AAA000000
お祝いはワインと甘い言葉で
【大好きな人々へ】
『OLDLYNX』の居住部分に立ち入ったのは初めて。表の真新しい金縁黒地の看板に反して、古書店舗は旧市街の老舗らしく古めかしい作りで、なにかの拍子に崩れ落ちそうな安普請……ですけれど、猫鳴館住まいの綾花にはかえって恐縮せずにすみました。
普段はつるぎとお父さんが食事をしているのでしょう、生活感ある食卓にて、チーズケーキの試食会です。
「ど、どうですか……？」
「ふむふむ。ほほう。ふ～む？」
小皿に切り分けたケーキをぱくり、ぱくぱく。コンビニで買った980円の赤ワインを大口であおり、つるぎはなにやら難しい顔を浮かべているもので、綾花は気が気じゃあありません。
しばしもぐもぐとやった後。口を開いて、
「んまい」
にかっと笑いました。
「良かった……どきどきしちゃいました。美味しくなかったのかなって」
「いやぁ美味いウマイ！ これはいいよ、さっぱりしてて食べやすいし、ワインにも合う。ただね」
「ただ？」
「この安モンのワインと合わせてもしょうがないよね。わたしもワインをあげるつもりだけど、たぶん珪さんはさ、綾辻ちゃんの作ったチーズケーキとのペアリングなら、自分で選んだちょっとお高めの銘柄を開けるはず……綾辻ちゃんのプレゼントするソムリエナイフでね」
「そ、そうでしょうか？」
「そうそう。鈍感に見えて、そーいうとこには気が回るんだよねえあの人は」
だ・か・ら、とグラスをもう一口あおって、綾花のおでこをぴんっとつつきます。
「わたしが思うに、もう少し甘さを控えて、もっと濃厚なチーズを使うといいって思うな。例えばゴルゴンゾーラとかさ。蜂蜜をかけるのも美味いらしいよ」
「なるほど……！」
つるぎのアドバイスを、綾花は几帳面にメモへ書き留めます。
「ありがとうございます、つるぎさん。もう少しアレンジしてみますね」
「なんのなんの。お安い御用ッスよ～」
お気楽に笑って、かぱかぱとワインを開けるお姉さん。
綾花もいつかお酒が飲めるようになったら、いっしょに飲みたいな、と思います。もちろん、珪先生との晩酌も素敵ですし、三人で飲みに行くのも楽しそう！
「私も早く、飲めるようになりたいな……」
「じゃ、綾辻ちゃんがハタチになったら飲もうよ。お姉さんがおごっちゃるよん」
「あはは、楽しみにしてますね」
待ち遠しい未来に思いを馳せ、綾花はまぶしく彼女を見つめて、目を細めました。
「いやぁ。ちょっと酔っちゃったな……わりぃね、綾辻ちゃん。手伝わせちゃって」
「いえ、好きですから、こういうの」
赤ら顔の店主に代わり、バックヤードの整理です。時おりこうして、本を扱うのを任せてもらうことがありました。図書委員として、司書教諭・珪先生のもとでお仕事に勤しんだ経験が活きたというものです。
「珪さんもそうやって、本やら資料やらの整理整頓にはうるさかったなぁ。これはあっちの棚、この本はそっちの棚ってね」
「それが今のお仕事に役立ってるんですね」
「そーねぇ。ま、女の子たちは嬉々として手伝ってたけど、わたしなんかはもーヘキエキってなもんよ……そうそう、その頃の写真を何枚か見つけてさ。見る？」
「見ます！ 見ます！！」
なんて、作業は進んだり進まなかったり。
詰襟制服の彼の在りし日を眺めて、はふうとため息しつつ。ふと思いついて、尋ねました。
「そういえば、つるぎさんのお誕生日はいつですか？」
「え、わたしの？ なんで？」
「え？ なんでって……好きな人の誕生日は知っておきたいですし」
綾花にしてみれば、なにげなく口にした言葉でしたけれど。つるぎは、ぽかん。
ややあって、所在なく頬をかきかき、
「う～ん、なるほど。珪さんはこれにやられたってわけ」
「え？ え？ なにがですか？」
「あはは、な～んでもないッスよ～。１月１１日！ １ならびで覚えやすいでしょ？」
首を傾げる綾花へ、ひとまわりも年上のお姉さんはまるで子どものようにけらけら、笑うのでした。
さてさて、まもなく訪れるは１２月１５日。珪先生の誕生日！
プレゼントの品々を抱いて、綾花の心は弾みます。
喜んでもらえたらいいな♪
『OLDLYNX』の居住部分に立ち入ったのは初めて。表の真新しい金縁黒地の看板に反して、古書店舗は旧市街の老舗らしく古めかしい作りで、なにかの拍子に崩れ落ちそうな安普請……ですけれど、猫鳴館住まいの綾花にはかえって恐縮せずにすみました。
普段はつるぎとお父さんが食事をしているのでしょう、生活感ある食卓にて、チーズケーキの試食会です。
「ど、どうですか……？」
「ふむふむ。ほほう。ふ～む？」
小皿に切り分けたケーキをぱくり、ぱくぱく。コンビニで買った980円の赤ワインを大口であおり、つるぎはなにやら難しい顔を浮かべているもので、綾花は気が気じゃあありません。
しばしもぐもぐとやった後。口を開いて、
「んまい」
にかっと笑いました。
「良かった……どきどきしちゃいました。美味しくなかったのかなって」
「いやぁ美味いウマイ！ これはいいよ、さっぱりしてて食べやすいし、ワインにも合う。ただね」
「ただ？」
「この安モンのワインと合わせてもしょうがないよね。わたしもワインをあげるつもりだけど、たぶん珪さんはさ、綾辻ちゃんの作ったチーズケーキとのペアリングなら、自分で選んだちょっとお高めの銘柄を開けるはず……綾辻ちゃんのプレゼントするソムリエナイフでね」
「そ、そうでしょうか？」
「そうそう。鈍感に見えて、そーいうとこには気が回るんだよねえあの人は」
だ・か・ら、とグラスをもう一口あおって、綾花のおでこをぴんっとつつきます。
「わたしが思うに、もう少し甘さを控えて、もっと濃厚なチーズを使うといいって思うな。例えばゴルゴンゾーラとかさ。蜂蜜をかけるのも美味いらしいよ」
「なるほど……！」
つるぎのアドバイスを、綾花は几帳面にメモへ書き留めます。
「ありがとうございます、つるぎさん。もう少しアレンジしてみますね」
「なんのなんの。お安い御用ッスよ～」
お気楽に笑って、かぱかぱとワインを開けるお姉さん。
綾花もいつかお酒が飲めるようになったら、いっしょに飲みたいな、と思います。もちろん、珪先生との晩酌も素敵ですし、三人で飲みに行くのも楽しそう！
「私も早く、飲めるようになりたいな……」
「じゃ、綾辻ちゃんがハタチになったら飲もうよ。お姉さんがおごっちゃるよん」
「あはは、楽しみにしてますね」
待ち遠しい未来に思いを馳せ、綾花はまぶしく彼女を見つめて、目を細めました。
「いやぁ。ちょっと酔っちゃったな……わりぃね、綾辻ちゃん。手伝わせちゃって」
「いえ、好きですから、こういうの」
赤ら顔の店主に代わり、バックヤードの整理です。時おりこうして、本を扱うのを任せてもらうことがありました。図書委員として、司書教諭・珪先生のもとでお仕事に勤しんだ経験が活きたというものです。
「珪さんもそうやって、本やら資料やらの整理整頓にはうるさかったなぁ。これはあっちの棚、この本はそっちの棚ってね」
「それが今のお仕事に役立ってるんですね」
「そーねぇ。ま、女の子たちは嬉々として手伝ってたけど、わたしなんかはもーヘキエキってなもんよ……そうそう、その頃の写真を何枚か見つけてさ。見る？」
「見ます！ 見ます！！」
なんて、作業は進んだり進まなかったり。
詰襟制服の彼の在りし日を眺めて、はふうとため息しつつ。ふと思いついて、尋ねました。
「そういえば、つるぎさんのお誕生日はいつですか？」
「え、わたしの？ なんで？」
「え？ なんでって……好きな人の誕生日は知っておきたいですし」
綾花にしてみれば、なにげなく口にした言葉でしたけれど。つるぎは、ぽかん。
ややあって、所在なく頬をかきかき、
「う～ん、なるほど。珪さんはこれにやられたってわけ」
「え？ え？ なにがですか？」
「あはは、な～んでもないッスよ～。１月１１日！ １ならびで覚えやすいでしょ？」
首を傾げる綾花へ、ひとまわりも年上のお姉さんはまるで子どものようにけらけら、笑うのでした。
さてさて、まもなく訪れるは１２月１５日。珪先生の誕生日！
プレゼントの品々を抱いて、綾花の心は弾みます。
喜んでもらえたらいいな♪
あとがき
担当マスター：
墨谷幽
ファンレターはマスターページから！
墨谷幽です。『お祝いはワインと甘い言葉で』、リアクションをお届けいたします。
早川 珪先生へのお誕生日プレゼントを選ぶというお話でした。
本番のバースデーシナリオでお渡しするのだと思いますけれど、気にいってもらえるといいですね！
まあ珪先生のことですから、可憐な綾辻さんにプレゼントされたなら、なんだって気に入ってもらえそうですけれど。
それでは、今回はプライベートシナリオにご指名いただきまして、ありがとうございました！
次のシナリオでもお目にかかれますように。お待ちしております～。
お疲れさまでした！
早川 珪先生へのお誕生日プレゼントを選ぶというお話でした。
本番のバースデーシナリオでお渡しするのだと思いますけれど、気にいってもらえるといいですね！
まあ珪先生のことですから、可憐な綾辻さんにプレゼントされたなら、なんだって気に入ってもらえそうですけれど。
それでは、今回はプライベートシナリオにご指名いただきまして、ありがとうございました！
次のシナリオでもお目にかかれますように。お待ちしております～。
お疲れさまでした！
シナリオ
シナリオデータ
シナリオスケジュール
- シナリオガイド公開日
-
- 2023年06月19日
- 参加申し込みの期限
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- 2023年06月26日 11時00分
- アクション投稿の期限
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- 2023年06月26日 11時00分
