ラビリンス・オブ・オンセン｜リアクション

ラビリンス・オブ・オンセン

「オラオラオラアアアアッッッ！！！」

　およそグラビアアイドルに相応しからぬ声を張り上げ、オケットランチャーをぶちかます理緒。
　その背後から、シャワーヘッドで援護する紗月。
　自然に、互いの役割分担が決まるのは、二人の関係のたまものだ。
　　
　オケットランチャーは完全手動操作なので、使用者の気合いの入り方で攻撃力が全く違う。
　冷静な七尾や海道は、ごく抑えた力で的確にランチャーを使用していた。

　理緒のオケットランチャーは、破壊力最大。

　ダンジョンが震えるかの勢いで、水弾をぶちかます。
　そのたびに、大音響で迷宮が震える。

　グラビアアイドルの美女二人が、怒髪天を衝く様子で戦っている。
　そのすさまじい様子に、一同、唖然とする。

「――彼女たちも心強い仲間になってくれるはずだ。協力を申し出てみよう」
「他にも、ダンジョンにいる人がいるかもしれないの。合流してみるのがいいかもしれないの」

　ステラ達の申し出に従い、皆は周囲を探索する。
　

「こちらも二人では心もとなかったんだ。助かった」
　程なくして、修とあおい、綾花と珪先生、柚春とウォルター先生のペア達が、奮闘しているところと遭遇した。
　なにやら邪魔してはいけない雰囲気もあったのだが、いまは兎に角ダンジョンを抜けるのが先決だ。
　総勢13名の大所帯によるレイドの始まりだ。　
　
　――足湯地獄。

「わあ、石がツボを刺激する！」
「気をつけるの！　間違えて全身入浴しちゃったら、ＳＮＳで拡散されて人生終了なの！」
「時事ネタは風化するからやめようよ、ステラ」

　――コーヒー風呂地獄。

「見た目が泥水と変らない！　最悪だ！」
「コーヒーの匂いは後に残りやすいぞ！」
「カフェイン苦手ー！！」

　――電気風呂地獄。
　――冷水地獄。

　さまざまな苦難を乗り越え、一同は迷宮を進んだ。

「ワイン風呂で……ちょっと……酔っ払っちゃいました……」

　顔を真っ赤にして、ふらふらする綾花。
　支えようとする珪先生に、ふわりともたれかかる。
　その瞬間、豊かな胸部に耐えられなくなったタオルがするりと滑り落ちる。

　咄嗟に隠そうとする珪先生。
　結果的に抱きしめるような姿になる。

「ちょっとタオルが……小さかったみたいですね……」
　至近距離で笑いかける綾花。
「ありがとうございます……先生以外の人に裸を見られるのは、困ります」
　そっと離れて、珪先生だけに聞こえる声で。
「もし裸で寝子島に飛ばされるときは、珪先生と一緒がいいな」

「わああああー！　温泉風呂あっつ！　あっつ！　アッツ島！」
　ロマンティックな空気を吹き飛ばすかのような、ロベルトの絶叫。
「高度なギャグを飛ばすなんて、余裕あるんじゃないか」
　アヴィケンナがツッコミをいれる。

　――その時。
「キシャアアアアア！」
「敵の襲来だ！」

（モンスターは酔っ払わないんでしょうか……）

　洗面器の盾と、マジカルシャワーヘッドを構える綾花。
　だが、まだ足下がおぼつかない。
　デッキブラシで、綾花を庇うように前にでる珪先生。二人は互いの武器をかぶらせないように算段している。
　みごとなコンビネーションで、敵を打ち倒していく。
　
　人数が増えたことで、戦闘のバリエーションも増えた。
　カップルの綾花と珪先生は、互いに息を合わせて攻撃。珪先生の広域攻撃を、綾花が丁寧に処理していく。胸部の豊かな綾花は、大胆な動きでタオルずり落ちの可能性が出てくる。珪先生のガードは的確だった。
「アワを流しちゃいますよ。」
珪先生の背後から迫るアワワゴブリンも的確に処理。
「どひぇえ！」
　相変わらずゴーストには慣れず、いちいち激しい反応を返すラッセルだが、海道や他の仲間の支援もあって、戦いに慣れてきた。もともと飲み込み良い彼、瞬く間に戦術を獲得。

「こっち、こっち！」手招きするショタラッセルに誘われたゴブリン達、そのまま風呂に突っ込まされる。
　イタズラショタの性質を生かした攻撃に、ロベルトも感嘆する。