【球技大会】冬の熱き決戦！｜リアクション

【球技大会】冬の熱き決戦！

　試合が終わり保健委員に戻った莉鳥は、副委員長に連絡を取る。
「今終わったわ。現時点でのけが人や体調不良による離脱者の人数、具合を教えて」
　想定内の返事に頷いていると、
「ケガ人が試合復帰を望んでいる？　そうね、鷲尾先生に相談してみましょう」
　相談の結果、無理をしないという条件付きで復帰の許可を出す。
「先輩、いい試合でしたね。おめでとうございます」
　陸上部の後輩の１年生、中倉琉歌が声をかけてきた。
「あなたはどうだったの？」
「惜しいとこで負けちゃいました。相手が強くって」
「それは残念だったわね」
「次の試合も頑張ってくださいね」
「ありがとう」
　そんな会話を交わしつつ、莉鳥は次の負傷者の元へ向かうのだった。

＜１年４組　ソフトボール＞

（気が進まないけどサボって欠席扱いは勘弁してほしい……出るしかないか）
　想花は仕方なくグラウンドに整列した。
（ボールが飛んできませんように）
　しかし願いむなしく、ライトの守備位置についたしょっぱなからボールが飛んできた。
「えっ無理……！」
　固まった想花は完全に出遅れ、動き出した時にはセンターの子がカバーに入ってくれていた。
「どんまい！」
　明るく言ってもらえたが、運動神経の無さを披露して泣けてくる。
（ソフトボールの上手い子が中心になって動いてくれるからいいけど、試合に全然貢献していない……ちっとも嬉しくない）
「サード！」　
　気が付くと、紗櫻都が素早くボールに追いついて送球していた。
「すごい……」
　攻撃でも紗櫻都はいい当たりをたたき出し。
（僕と同じくらいかと思ってたのに……）

　バッターボックスに立った想花は２球見逃しの後、思い切って振ってみたが。
「ストライク！　バッターアウト」
　やはりかすりもしなかった。
「デッドボールになれば塁には出れるけど……やっぱり、僕には無理だ」
　あんな速い球にあたるなんて怖すぎる。
　結局活躍できないまま、３回で想花は交代した。

（なんだか惨めな気分……これ、明日も続くのかな。早く終わってほしい……）

　