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仲良くなりたい、その11
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喫茶店の中で座席を探すのと似ているかもしれない。
なんとなく足が向いたのと同じように、
倉前 七瀬
はなんとなくそう思った。
こんな寒い日は、家でぬくぬくと本を読んで微睡んでいても良かった。
何か読みたくて図書館に向かうでも、買い足そうと本屋に向かうでもなく、なんら目的無くふらりと七瀬が向かった先は喫茶店。
別にコーヒーが飲みたい気分でも無い、ここでゆっくり本を読もうと持ってきたわけでもない。鞄の中には文庫本が入っているけれど、入れ替えてこなかった本は既に読み終わってしまっていて、中身も覚えている。
他に読めそうな物と言えば、ここに来る道中で受け取ってしまった求人誌くらいだろうか。忙しいイベント時期を前にして、どこもかしこも人手が足りないのか、普段よりちょっと厚みがあって読み応えがありそうだ。
入り口に立て掛けられたメニューボードを一頻り眺め倒し、冬休みの予定を考えてみるのも悪くないかと入店を決めた。時間帯のためか、穴場だったのか、店内にはまばらに客がいるだけだった。
奥で手持ち無沙汰にカトラリーを磨いていた男が顔を上げる。「お好きな席にどうぞ」と声をかけられ、どうしようかと客席を見渡した。
じっくり本を読みたいわけでも無いし、手前の空いているところでいいか。それとも人通りが多くなる通路は避けて、もう少し奥――。
ぐるりと席を見渡したとき、柱の陰に隠れるような席に
ウォルター・B
が居た。
軽食でも頼めばいっぱいになってしまいそうな小さなテーブルには、ティーカップが1つ。もっと広々とした席だって空いているのに、彼はこのこぢんまりとした席でスマートフォンに視線を落としている。
何か込み入った連絡だろうか、それともただの読書だろうか。そうしてこちらに気付かぬウォルターの様子を見て、七瀬は思うのだ。
(……座っても、よかでしょうか)
声をかけてみればいい。
なんなら、隣の席は空いているのだし、何食わぬ顔をして座ってしまえばいい。
けれど、できれば。もう少し近くに座ることはできないだろうか。
「あ、の……」
控えめな声に、ようやっとウォルターが顔を上げる。
ずっと知りたかった答えが、これと似ているような気がした。
「相席してもよかですか?」
いつものように「奇遇ですねぇ」と微笑むと、ウォルターは「そうだねぇ」と他の座席に目を向ける。
「なら、あっちの席に移動しようか。ここで2人は狭いでしょ」
スマホをジャケットに押し込み、上着を持って。詰めれば6人は座れそうな広々とした席に向かうウォルターの後を追う。座っても良い場所があるのなら、そこに彼がいるのなら。
「……倉前?」
「はい?」
不思議そうな顔をされて、七瀬ははたと我に返る。
夢中になって追いかけてしまったが、ボックス席であれば向かい合わせに座るのが一般的とされている。けれど七瀬は、ウォルターの後ろにぴったりくっついて来たため、まるでその隣に座ろうとしているようだった。
カウンター席でもなく、映画を見るわけでもなければ隣り合うのは『不自然』だ。……そう咎められたわけでもないのに萎縮する。どこに座ってもいいはずなのに、『普通は』決まっているらしい。
慌てて向かいに移動したけれど、これで正解なのだろうか。
本当に、ここなら座っても良かったのだろうか。
「あ……っと、わざわざ移動してもらってすみません」
「いいよぉ。倉前が楽しい話をしてくれるんでしょ?」
ニコリと微笑むその顔は、決してハードルを上げようとしたのでは無いはずだ。いや、半分くらいはそうなのかもしれないが、それに失敗したとしても苦笑くらいはしてくれるだろう。……多分。
「ええと、じゃあ……12月は師走ということで、お忙しいと思いますが」
どこか緊張しながら、七瀬は伝えたいと思っていたことを話すべく会話の糸口を探しはじめた。
他愛ない話をひとつ、ふたつ。
程よく前振りとして雑談をしながら、本題を切り出す。
「僕、最近わかったことがあるんです」
ずっと答えがわからなかったこと。
名前の付かない感情と、どう向き合ったらいいのかわからなかった。
ただわかるのは、『ウォルターの恋人になりたいわけじゃない』ということが明確で、『ウォルターに恋人がいるのは嫌だ』と感じていた。
他人から見れば自覚のない恋慕のように見えても、そうじゃないことだけは確かだったから、七瀬は自分なりに考えた。考えに考えて、出した答えはひとつの例え話。
「ええと、ウォルターさんの周りには、大切な人のための席が用意されていますよね」
それは『親友』とか『家族』とか『恋人』とか。呼び名が明確で特別な間柄の人の席は、誰しも心にあるのではと考えた。
座るべき人も、ウォルターが心許した選ばれた人。そうなると、まずは座ることに戸惑いを覚えた。
「でも僕は、その椅子のどれにも座れない。合わない……立ち往生してしまうんです」
椅子だって様々だ。長時間デスクワークに向いた椅子から、長居をさせないために考えられた座り心地の悪い椅子。来客をもてなす高級ソファは、身体を沈めたら動きたくなくなってしまうこともある。
豪奢な椅子には気後れして、小さな椅子には座れそうにもないと尻込みして。試しに腰掛けてみるのも勇気が必要で、結局はそこに座れない。
「用意された席はいずれ埋まっていくでしょう? なら、自分で椅子を持ってくるしかなくって、それで」
上手く伝え切れているかはわからないけれど、七瀬は必死だった。
変な話だとは思うけど、これが今の精一杯だから。
「……僕の椅子を置く場所はありますか? うち、座ってもよかですか?」
真っ直ぐと見つめて問う七瀬に、これが大事な話であろうことはウォルターにもわかる。
けれど、その抽象的な話にどう答えるのが正解か、一度自身の中でかみ砕いてみた。
例えばの話に例えばで返すのは、はぐらかしているのかもしれない。けれど、目に見えない物だから、感じるままに答えるほかなかった。
「僕の目は2つある。けど、教室くらいの広さは見渡せても、しっかり顔を見ようと思ったら、1人の顔を見るのがやっとで……別々の物は見れないよね」
「……はい」
教卓の前に居ても、一番後ろの窓際に座っていても。見ようと意識をしなければ、目に入らないものだ。
どこでも構わないから置いて欲しいというのなら、好きに座ればいいと思う。でもきっと、そうじゃない。
「僕が抱えられる物にも、気にかけてあげられる物にも限度がある。そこに、新しい物が増やせると思う?」
「…………」
目の届くところにいることができるのに、ウォルターはこちらを見ない――そう言われた気がして、七瀬は喉を詰まらせた。
いつもは察しが悪い癖に、こんなときばかり空気を読んで言葉を飲み込もうとするなんて、らしくない。
それでも、「そうですね」って相槌を打ちたくなかった。「困りましたねぇ」って、さして気にせずぼんやり答えたくもなかった。
だってまだ、ウォルターは椅子の置き場が無いとは言っていない。
「増やしてみなければ、わからんとですよ」
これくらいなら本棚に入りきると思っていた本が、入らないこともある。余裕を持って本を取るためにはきっちり詰め込むわけにもいかないけれど、買う前に試行錯誤したってわからないものだ。
家具ならなおのこと、置く部屋のことだけ考えていたら階段を上れないなんてこともある。入り口に辿り着けるかどうかさえあやふやで、最終的に配置換えだって検討することになってしまうこともあるらしい。
「ウォルターさんが、置きたいか置きたくないかだと思います」
もう一度、しっかりと目を合わせて七瀬は微笑んだ。
だからウォルターは少しだけ苦笑して、わざとらしい思案顔を見せる。
「ううん、まあ……倉前が自分で管理するならいいんじゃない?」
長く使っていれば、ネジの緩みやクッションのへたりなんかもあるだろう。置きたい部屋を変えたいだとか、色々要望が出てくることだって、あるかもしれない。
なんて、冗談めかしてそう笑うと、七瀬はパアッと晴れやかな顔を見せた。
「頑張ります!」
「うん? 頑張ってねぇ……?」
ここは、そういう話じゃないとツッコミを入れても良いところなのだけど。
まあいいかと、ウォルターは穏やかに微笑んだ。
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担当ゲームマスター
浅野 悠希
シナリオタイプ(らっポ)
ゴールドシナリオ(200)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
恋愛
NPC交流
定員
15人
参加キャラクター数
13人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2023年06月05日
参加申し込みの期限
2023年06月12日 11時00分
アクション投稿の期限
2023年06月12日 11時00分
参加キャラクター一覧
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