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仲良くなりたい、その11
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四季折々に色んな顔を見せてくれる風。
春の桜を散らせる風は嫌われるけど、花びらに視界を塞がれるのも幻想的だし。
夏の浜辺を駆け抜ける風は、波打ち際で砕けた波を霧雨のようにして連れてくるから、安全圏だと油断していると結局しっとり濡れてしまう。それだって、なんだかんだ楽しい。
秋にやってくる台風なんて、不謹慎かもしれないけれど全てを巻き上げてしまうような力強くて格好良いし。
冬の風は――。
「あー!!」
桜花寮の駐輪場の脇、花壇とも言えないような雑草が生い茂る場所。
……つまり、意外と住居スペースの近くで、
桜井 ラッセル
の叫び声が響き渡った。
幸いなことに、12月と空気の冷えるこの時期は窓を開けている部屋が無かったのか、怒られるようなことにはならなかったけれど。バサバサと小鳥は飛び立ち、猫がびくりと固まってこちらを見ていても、ラッセルには周囲を気にする余裕はなかった。
「せっかく肌が上手く塗れたってのに……」
はみ出したし、乾きが甘かったのか混色でくすんでしまって、すぐには直す手法も思いつかない。
キャンパスを眺めて項垂れていても、やり直せるわけではないのだけれど、せっかく前回より上手くいったと気持ちよく浮かれていたところだったのに。
(……だからか?)
受験勉強の息抜きにと絵筆を取ったはずが、ラッセルの頭の中は冷静に問題点を洗い出す。
前に描いたときと何が違うのか。意識しなければ同じ失敗をしてしまうと、筆運びや水の量などを思い返してみる。
とりあえず急ぎで考える必要があるのは、このはみ出しをどうにかする手段だ。
「ちゃんと乾かしたら直せるか? でも透明水彩だしな、下の色はどうしても重なるし」
絵具によって乾く時間がまちまちだとはわかっていたのに、どうにもまだタイミングが掴めない。
乾ききる前に混色でどうにかするなら、早いとこ色を選ばないと手遅れになってしまう。眉根を寄せたラッセルはじいっと絵を見つめ、何色を置くべきかと空を見た。
――ラッセル!
一瞬だけ見えた笑顔に、思わず目を擦る。
そうだ、瞬きも忘れて見ていたものは、残像を空に映してしまうのだったか。
「……どうしてるかなぁ」
どこかに行けば会えるでもない。連絡先なんてものもない。
相手は風だ。ひとところには留まらない、掴むことのできない自由な風。
……今度会えたときには、世界のどこを飛び回っていたんだと冒険譚を聞いてみるのも楽しいだろう。
(今度、か)
友人知人と疎遠になるなんて、ラッセルにとっては日常茶飯事だ。『また』も『今度』も、巡ってこないことは知っているし、引き止めようともがくより、相手を尊重したいと受け入れることを選びがちである。
だから、ラッセルは世話を焼く。
同じ告げられるなら、遠慮をした言葉にならぬように――相手のサインを見逃さないようにと、関わることを恐れない。
少々やり過ぎて、謝ることもあるけれど。後悔をするくらいなら、それくらいが丁度良いと信じてきた。
――ラッセルに会うためにここにきたんだよ!
最後に見たのは
泣き顔
だった。
大粒の涙を零しながら、必死に呼びかける彼女を思い出すと心が痛む。
安心させてやれただろうか。それとも、心の奥底に傷を残してしまっただろうか。
いったん筆を置いて、キャンパスを見る。長い髪をなびかせて笑う、
風の精 晴月
の姿は何度も描き直した中で、ようやく納得のいく柔らかな笑みになった。
(なあ)
出血の割りに怪我も酷くなかったとか、新しい画材を買ったことだとか……話したいことはいっぱいある。なのに晴月は、あれ以降姿を現してはくれない。
比喩でもなんでもなく、風そのものな晴月は、きっと人とも時間感覚が違うのだろう。
季節によって吹く風が違うように、それこそ毎日の天気の気まぐれがあるように。同じ風に出逢えないような気が、しなくもないけど。
空を掴むように彷徨わせる手には、何も残らない。
でもこの手は、何かを掴みたくて伸ばしたものじゃないはずだ。
しない後悔よりもする後悔。
ただひたすら『今度』を待っているだけではダメなのだと、歩むために南京錠をかけたではないか。
風だから仕方ないなって。相手を尊重するためだからなって。
そうやって我慢することは、人と関わらずに後悔してきた時間と何が違うんだろう。
「俺は、嫌だからな」
肌をひりつかせるような冷たい風が止んだ。
冬の風は優しくない。どれだけ重ね着をしたって隙間から滑り込む風に凍えることもあるし、耳が冷えすぎてキンと頭まで痛くなるし、突風は切り刻まれるんじゃないかと思うくらい鋭い。
それでも、ラッセルは風が好きだ。
「晴月に会えないなんて、嫌だからな!」
そこにはいないのかもしれない。
そこにはいるのに、怪我のことを気にして姿を見せてくれないだけかもしれない。
だったら、口に出してみたら――意外と、晴月まで届くかもしれないから。
「あ、もし晴月の友だちの風の精が聞いてたら届けてくれるか? 寝子島のラッセルが会いたがってたって」
憧れていたんだ、風の妖精に出逢えることを。
友だちになれたらなって、ずっと思い描いていた夢を晴月は叶えてくれた。
もし、冬の寝子島の居心地が悪いっていうなら、あったかい上着を買ってやる。
もし、面白い物を見付けたなら、独り占めしてないで俺にも教えに来い。
もし、怪我人の前だからと気を遣って口にした口説き文句なら、拗ねてやる。
話したいことがある。一緒に見たい景色がある。
当然じゃないか。だって――。
「友だちだって思ってるの、俺だけじゃないだろうな」
心地よく背中を押してくれるばかりじゃない。悪戯で意地悪で、ほとほと困るような風だってある。
向かい風に泣かされたって構うもんか、色々あってこその風だから。
「……風が大好きなの、知ってるだろ?」
思い出したように、冷たい風が頬を掠める。それは、誰が起こした風だろう。
これ以上、独り言を続けるのもおかしいかとラッセルは絵筆を握り直す。結局はみ出したところは、どうしようと思っていたのだったか。
(まあ、見れるようになってきたし、これはこれでいいか)
この絵を紙飛行機にしたら、届くだろうか。
受け取ったらどんな顔をするだろう、同じ笑顔を浮かべてくれたら大成功だな、なんて。
うんと魅力的なやつを、渾身の一枚を描いてやろうと気分が乗り始めていたのだけど――。
ぽつり、ぽつり。晴天の空から、小さな雨粒が降ってきた。
「ええっ!? 待ってくれよ、とりあえず絵を屋根の下に……って冷た!」
慌てて筆洗いを足へひっくり返したり、それに驚いて立ち上がれば折りたたみ椅子を蹴飛ばしてしまって。
ぎゃあぎゃあと大騒ぎをするラッセルは、絵を死守しながら片付けるのに手一杯で気付かない。
誰かの嬉し涙が、笑い声とともに降り注いでいたことを。
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担当ゲームマスター
浅野 悠希
シナリオタイプ(らっポ)
ゴールドシナリオ(200)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
恋愛
NPC交流
定員
15人
参加キャラクター数
13人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2023年06月05日
参加申し込みの期限
2023年06月12日 11時00分
アクション投稿の期限
2023年06月12日 11時00分
参加キャラクター一覧
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