Ｇペンの付喪神、現る！～霊界漫画雑誌を廃刊から救え！｜リアクション

Ｇペンの付喪神、現る！～霊界漫画雑誌を廃刊から救え！

●マジカル☆ガールズモモ&リリ

　ＧペンのＧは愛猫萌々子の元へも訪れていた。
　萌々子が考えた原作は、日曜朝を彷彿とさせるような、２人の女の子が毎回やってくる悪の組織の手下を浄化していく王道魔法少女ものである。
　その名も――。

『マジカル☆ガールズモモ&リリ』（ババーン！）

　私は、中学２年生のもも。学校では風紀委員長をやっています。
　ある日、私の前に「モモーッ」って甲高い声で鳴くぬいぐるみみたいな妖精が現れて、私は魔法少女モモとして覚醒したんです。
　私のパートナーは、副風紀委員長りりこ。
　彼女は魔法少女リリとして、いっしょに戦う仲間なったんです！

「モモ！　フウキイハーンが出たのです！」
　りりこが私のところに走ってきます。
　フウキイハーンっていうのは悪の組織の手下の名前。
　スカートを短くしたり、校舎裏で煙草を吸ったり、風紀違反なことばかりしてくるので困ってます。
　そんなフウキイハーンを必殺技でやっつけて、浄化するのが私たち魔法少女の使命！
　もともと正義感が強いリリは、魔法少女になって悪と戦えてることに喜びを感じているみたいです。
「マジカル☆ガール・モモ、メーイクアーーーーップ！」
「マジカル☆ガール・リリ、メーイクアーーーーップ！」
　私たちは風紀委員バッジを掲げて、それぞれピンクとブルーの魔法少女に変身。
「学校の平和を守るため！　愛の戦士、マジカル☆ガール・モモ、参上！」
「風紀を守る揺るぎない精神！　悪と戦う暴走機関車、マジカル☆ガール・リリ、見参なのです！」
　ビシっと決めたところで、リリがジト目でこっちを見てきます。
「モモ。暴走機関車ってなんですか」
「リリらしいかと思って……だってリリは暴走しがちですから」
　名乗りとか必殺技名は私がノリノリで考えちゃったんですが、あながち間違ってないと思うんです。
「フウキイハーーーーン！」
　敵が両手を振り上げて襲い掛かってこようとするのを待つことなく、リリはハイキックで突っ込んでいきました。マジカルな攻撃より肉弾戦を好むのがリリなのです。
「リリ！　相手の話も聞いて」
「風紀違反は問答無用で取り締まるのみですよ！」
　一応私、パートナーであるリリのストッパー役のはずなんですが……全然ストップできてないです。
「こうなったらヤケですー。必殺技、行きますよ！」
　私は、リリと一緒に握ったステッキを、フウキイハーンの方へ向けました。

「「ジャッジメント・モモリリフラッシュ！！！」」

　夢中になって執筆し、倒れるように眠った萌々子は、翌朝、書きかけの原稿を読んで苦笑した。
「何と言うか深夜テンションで色々走りすぎましたね……一応主人公は私をモチーフにした女の子ですが、もう一人は完全に笛吹ぴりりちゃん……彼女は霊界については知らないですし霊界タソガレーンを読まれなければ問題は無いですけども」
　魔法少女衣装の作画コストがすごいことになりそうだと思ったが、そのままＧペンのジイにネームを渡す。
「ペンの付喪神のみなさんが優秀で、下書き作業までまかせられますね……」
　数日後、ひととおり下書きが入った原稿が、先生こと萌々子のもとに戻って来た。
「ではここからペン入れを……って、この２人こんなに距離近かったですか？　変身シーンに何故かキスのカットあるし、転んだ拍子にハグしてるし」
　何故か。
　ネームにはなかった赤面シーンがアドリブで追加されているではないか！
「誰ですか日曜朝のキッズアニメを深夜枠百合アニメのノリにしたのはー！？」
　あやかしたちの趣味嗜好はとどまるところを知らないということか。
　萌々子は吠えたが、原稿を仕上げなければならないタイムリミットは刻一刻と迫っていた。
「……締め切りまで時間が無いので今更変えられません。確認せず全部任せてしまった私にも責任の一端はあります。ここは切り替えて、もうこのまま完成までやってやりますよ！」
　ハチマキをキリリ。
　萌々子は無心に原稿に取り組んだ。
　そして――。

　霊界にセンセーションを巻き起こすことになる『マジカル☆ガールズモモ＆リリ』、爆誕する――！

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