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- 00月00日生 00歳
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LIQUID -Star Chronicle- 極東の賢者編
【レイドダンジョン『タワー・オブ・ソーマ』】
ほほう。と感嘆しつつ、ホムラ（プレイヤー：神薙 焔）はぐるり視線を巡らせる。アップデートを機に始めた『LIQUID』だが、どこを歩いてもＶＲ技術の進歩にひとつうなりを入れずにいられない。
北方のスピリスタは今日も白雪に包まれ、天からはちらほらと結晶が舞い降りた。
首都トニクから馬車でしばし進んだところ、山間の村マティニーはなだらかな丘陵に寝そべり、雪深く素朴な自然との調和を見せてくれた。雪国ならではの美しい銀世界に目を奪われる。
マティニー村の不思議なところは一見して二つある。一つは行き交う冒険者らによる盛況だ。閑静な村の中央通りは、まばらな家々の並びに対して異様なまでにきゅうくつに詰め込まれた露店が軒を連ねる。作りはいかにも簡素、掘っ立て小屋とすら呼びがたい店構えにポーション各種やマジックアイテム、武具などがずらり並んでおり、冒険者らが足を止めそれらを熱心に吟味していた。
もう一つは、村からほど近くの山腹から飛び出す、場にそぐわない異様な構造物の存在だ。
「あれが例の塔ね」
手のひらで作ったひさしに目を細め、ホムラは不敵に笑む。
＜タワー・オブ・ソーマ＞と呼ばれている。１０年程前、突如として姿を現したのだそうだ。天にも届くほどの巨大な白亜の塔だった。
内部の構造は比較的簡潔で、外周部を巡る階段と、中央の開けた空間から成る。ただ、上階への階段は条件を満たさねば出現しない。
一階層ごと、中央に出現するのは大型のボスモンスターだ。その強さときたら文句なし、ゲーム中でも実に最高ランクの難易度を誇り、ソロプレイや少人数パーティーでは撃破はおろか体力をいくらか削ることさえ難しいだろう。上階へは各階のボスを倒さねば登ることはできず、それには相応の準備やプレイヤーの物量、それにギミックを突破するための知識や技術も必要となる。
多人数プレイヤーが一堂に会して挑む、レイドボスとの連戦、死闘。それがこのタワー・オブ・ソーマなのだ。
「ふふっ、腕が鳴るわね」
ホムラはゲーマーである。かなり筋金入りである。ＦＰＳやらアクションやら、軍事シミュレーションやらシビアなゲームが主戦場なのだが、正直言って普通のゲームではいささか物足りない。
『LIQUID』のストーリークエストは配信済みのものについてはひと通りクリア済み。なかなか楽しめたものの、この上はもう少しプレイヤースキルを要求されるようなエンドコンテンツへ挑戦したいものだ。
というわけで足を運んだのが、この高難度レイドダンジョンなのだった。
「あ、一緒にプレイする人ね。パーティーよろしく」
「おお、よろしくなー」
「派手にいこうぜ！」
初顔合わせの面々でパーティーを組む。レイドダンジョンの経験を尋ねると、多くはホムラと同様に初挑戦だが、フェンネルとアプリコットという兄妹冒険者はこれが三度目だという。
「この塔、まだ登り切ったやついねーんだろ？ どのボスもつえーんだよなぁ」
「俺らもいいとこまで行くんだけど、毎回やられちまってさ」
揃って強面、どこかヤンキー風。大柄なウェポンマイスターの妹と小柄なオラクルヒーラーの兄が苦々しく言ったところで、中央にボスが現れた。
「おっと、始まるわね。みんな、頑張りましょう！」
第一階層のボスは翼をもつ大蛇、＜ククルカーン＞。神話にもうたわれる伝説の蛇はとぐろを巻いて冒険者たちを見据え、さっそく猛炎を吐き出した。
パーティーが周囲に散り、ホムラも一足飛びに避けながら手にした愛銃を放つ。ホムラはバレットチェイサーだ。大口径のハンドキャノンを構え、ＦＰＳ仕込みの高精度エイムで速射する。
「食らいなさい、＜クイックショット＞！！」
ヘッドショットを叩き込み大ダメージを与える。
くあ、と蛇が顎を剥き出し、
「やば、＜浄化の炎＞が来るわ！ みんな、攻撃範囲の外へ！」
ホムラは鋭く指示を飛ばす。レイドダンジョンのプレイは初めてだが、実は動画などで予習済みだ。こういった高難度ボスやダンジョンではギミックの知識の有無が勝敗を左右することも多い。
渦巻く炎が天から墜ち、周囲を燃やし尽くす。浴びれば一撃ＫＯはまぬがれない強力な攻撃だが、的確な声かけによって回避し、幸い味方の被害はゼロだった。
意気揚々、ホムラは＜トラッピング＞を仕掛けて陣地を構築しつつ、銃口はククルカーンの頭部から外さない。
「あんた、やるなー！ 初めてなんだろ？」
「頼りにしてるぜ！」
フェンネルとアプリコットの言葉に、ぱちり、ウィンクを返す。
「体力７割、そろそろパターンが変わるわね。みんな、用心しながら、けど楽しんでいきましょう」
「「おーっ！！」」
タワー・オブ・ソーマは全部で十階層と言われている。ホムラの初挑戦は三階層まで順調に進んだところで、＜魔狼フェンリル＞に敗北を喫した。初回プレイがための知識不足が露呈した形だ。
しかしそれでいて、ホムラの胸は昂揚したままだった。
「これはやりがいがあるわね！ ばっちり練習して、みんなをキャリーできるくらいに強くなって……颯爽とピンチを救う傭兵プレイ！ なんて、いいわね♪」
目標は定まった。エンドコンテンツの踏破にはまだしばらく時間がかかるだろうが、その分楽しめるだろう。
「さあ、もう一回！」
ホムラは再び、白亜の塔へ駆け込んでいった。
ほほう。と感嘆しつつ、ホムラ（プレイヤー：神薙 焔）はぐるり視線を巡らせる。アップデートを機に始めた『LIQUID』だが、どこを歩いてもＶＲ技術の進歩にひとつうなりを入れずにいられない。
北方のスピリスタは今日も白雪に包まれ、天からはちらほらと結晶が舞い降りた。
首都トニクから馬車でしばし進んだところ、山間の村マティニーはなだらかな丘陵に寝そべり、雪深く素朴な自然との調和を見せてくれた。雪国ならではの美しい銀世界に目を奪われる。
マティニー村の不思議なところは一見して二つある。一つは行き交う冒険者らによる盛況だ。閑静な村の中央通りは、まばらな家々の並びに対して異様なまでにきゅうくつに詰め込まれた露店が軒を連ねる。作りはいかにも簡素、掘っ立て小屋とすら呼びがたい店構えにポーション各種やマジックアイテム、武具などがずらり並んでおり、冒険者らが足を止めそれらを熱心に吟味していた。
もう一つは、村からほど近くの山腹から飛び出す、場にそぐわない異様な構造物の存在だ。
「あれが例の塔ね」
手のひらで作ったひさしに目を細め、ホムラは不敵に笑む。
＜タワー・オブ・ソーマ＞と呼ばれている。１０年程前、突如として姿を現したのだそうだ。天にも届くほどの巨大な白亜の塔だった。
内部の構造は比較的簡潔で、外周部を巡る階段と、中央の開けた空間から成る。ただ、上階への階段は条件を満たさねば出現しない。
一階層ごと、中央に出現するのは大型のボスモンスターだ。その強さときたら文句なし、ゲーム中でも実に最高ランクの難易度を誇り、ソロプレイや少人数パーティーでは撃破はおろか体力をいくらか削ることさえ難しいだろう。上階へは各階のボスを倒さねば登ることはできず、それには相応の準備やプレイヤーの物量、それにギミックを突破するための知識や技術も必要となる。
多人数プレイヤーが一堂に会して挑む、レイドボスとの連戦、死闘。それがこのタワー・オブ・ソーマなのだ。
「ふふっ、腕が鳴るわね」
ホムラはゲーマーである。かなり筋金入りである。ＦＰＳやらアクションやら、軍事シミュレーションやらシビアなゲームが主戦場なのだが、正直言って普通のゲームではいささか物足りない。
『LIQUID』のストーリークエストは配信済みのものについてはひと通りクリア済み。なかなか楽しめたものの、この上はもう少しプレイヤースキルを要求されるようなエンドコンテンツへ挑戦したいものだ。
というわけで足を運んだのが、この高難度レイドダンジョンなのだった。
「あ、一緒にプレイする人ね。パーティーよろしく」
「おお、よろしくなー」
「派手にいこうぜ！」
初顔合わせの面々でパーティーを組む。レイドダンジョンの経験を尋ねると、多くはホムラと同様に初挑戦だが、フェンネルとアプリコットという兄妹冒険者はこれが三度目だという。
「この塔、まだ登り切ったやついねーんだろ？ どのボスもつえーんだよなぁ」
「俺らもいいとこまで行くんだけど、毎回やられちまってさ」
揃って強面、どこかヤンキー風。大柄なウェポンマイスターの妹と小柄なオラクルヒーラーの兄が苦々しく言ったところで、中央にボスが現れた。
「おっと、始まるわね。みんな、頑張りましょう！」
第一階層のボスは翼をもつ大蛇、＜ククルカーン＞。神話にもうたわれる伝説の蛇はとぐろを巻いて冒険者たちを見据え、さっそく猛炎を吐き出した。
パーティーが周囲に散り、ホムラも一足飛びに避けながら手にした愛銃を放つ。ホムラはバレットチェイサーだ。大口径のハンドキャノンを構え、ＦＰＳ仕込みの高精度エイムで速射する。
「食らいなさい、＜クイックショット＞！！」
ヘッドショットを叩き込み大ダメージを与える。
くあ、と蛇が顎を剥き出し、
「やば、＜浄化の炎＞が来るわ！ みんな、攻撃範囲の外へ！」
ホムラは鋭く指示を飛ばす。レイドダンジョンのプレイは初めてだが、実は動画などで予習済みだ。こういった高難度ボスやダンジョンではギミックの知識の有無が勝敗を左右することも多い。
渦巻く炎が天から墜ち、周囲を燃やし尽くす。浴びれば一撃ＫＯはまぬがれない強力な攻撃だが、的確な声かけによって回避し、幸い味方の被害はゼロだった。
意気揚々、ホムラは＜トラッピング＞を仕掛けて陣地を構築しつつ、銃口はククルカーンの頭部から外さない。
「あんた、やるなー！ 初めてなんだろ？」
「頼りにしてるぜ！」
フェンネルとアプリコットの言葉に、ぱちり、ウィンクを返す。
「体力７割、そろそろパターンが変わるわね。みんな、用心しながら、けど楽しんでいきましょう」
「「おーっ！！」」
タワー・オブ・ソーマは全部で十階層と言われている。ホムラの初挑戦は三階層まで順調に進んだところで、＜魔狼フェンリル＞に敗北を喫した。初回プレイがための知識不足が露呈した形だ。
しかしそれでいて、ホムラの胸は昂揚したままだった。
「これはやりがいがあるわね！ ばっちり練習して、みんなをキャリーできるくらいに強くなって……颯爽とピンチを救う傭兵プレイ！ なんて、いいわね♪」
目標は定まった。エンドコンテンツの踏破にはまだしばらく時間がかかるだろうが、その分楽しめるだろう。
「さあ、もう一回！」
ホムラは再び、白亜の塔へ駆け込んでいった。
シナリオ
シナリオデータ
シナリオスケジュール
- シナリオガイド公開日
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- 2023年04月27日
- 参加申し込みの期限
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- 2023年05月04日 11時00分
- アクション投稿の期限
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- 2023年05月04日 11時00分
