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LIQUID -Star Chronicle- 極東の賢者編
【サイドクエスト『邪教台頭』】
砂漠の国コーフィルでモノを言うのはズバリ、武力だ。拳、剣、魔法、兵法、あらゆる武を織り重ねて紡ぎ、己の力とした者が全てを手中に収める。いくつもの部族がそれぞれに武を競い合い、頂点となった者こそがコーフィルという国家を統べるのだ。
「乱暴な国ねぇ。まったく」
マーナは出店で買ったサソリの串焼きをパクつきバフを発動させつつ、眉をひそめて言った。
「わたし、こういう体育会系のノリって苦手なのよね。何事も大事なのは理路整然としたロジックよ、そう思わない？ ノリや勢い、根性論で物事が決まるなら何のための戦略会議なのかしら、あのクソ課長ときたらまったく……！」
「まあまあ、おさえてお姉さん……ゲームだからこれ」
日常にたいそうご不満鬱憤をお持ちらしいマーナを、アオイ（プレイヤー：仙藤 蒼）はなだめすかす。せめてＶＲの世界で彼女に癒しがもたらされればと願う。
「あそこが闘技場ですわね。ふふふ、腕が鳴りますわ！」
気品が見えるのは語尾くらいのもので、同行ＮＰＣのシャローテはまさしくその物騒な国に馴染みまくっている。拳をぼきりと鳴らしてやる気十分、マーナのため息を誘い、アオイはアバターに苦笑いを浮かべた。
三人の目的はここ、コーフィルの地方都市モルカで催される闘技大会へ出場することだ。コーフィルという国ではこうした武を競う競技会がひっきりなしに行われている。もっとも強い者が国の頂点にさえ立つ場所柄だから、戦いは日常の一部なのだ。必然、国民は各部族長から一般人にいたるまで、どうにも荒っぽい者が多い。喧嘩は茶飯事、些細でも不満あらば内紛が勃発しがちだ。反面、一度認め合った間柄には強い絆が育まれ、強固な結びつきとなることもある。
邪教はそんなコーフィルのシステムに目を付けたらしい。
「そんなに重要なイベントなのね、闘技大会って」
「そりゃあもう、周辺の部族長がみな集まって、お互い手持ちの戦士たちを戦わせるっていうんだから。野蛮だわ」
「まあまあ。で、その闘技大会に、邪教＜バリスタール＞の息がかかった戦士が紛れてるってわけね」
アオイらはかの邪教の足取りを追ってきた。各地で禁呪を発掘し、生贄を捧げ、邪神復活をもくろむ邪なる教団。今回はいかなる陰謀を画策しているのか？
アオイはいかめしい闘技場の円形を見据え、
「それじゃ、行くわよ！」
仲間たちを先導し、踏み込んだ。
「……てえいッ！！」
屈強かつ堅牢な肉体がいともたやすく宙を舞う。
闘技大会はさまざまな試合形式を内包し、アオイらが出場するのは三対三のチーム戦だ。なにも彼女らが三人組であるから、というばかりが理由ではない。
「くっ、馬鹿な……我らの優勝は決まっていたはず。なぜお前たちのような手練れの冒険者が……」
「あんたたち、バリスタール教団の企みをブチ壊すためよ」
相手の三人はフード付きのケープをかぶり、胸元には揃いの紋章。枝葉にコーヒー豆三つ……邪教の手に連なる者の証だ。
三人娘はコーフィル中を駆け回り、調べ上げていたのだ。邪教の尖兵たる暗殺集団、その手の者が各地の闘技大会へ潜入していること。優勝を果たし、招かれた部族長たちの集いにて、報奨を賜るそぶりで近づき彼らを暗殺せんと画策していること。バリスタールの狙いは、力持つ部族長を一度に排除することでパワーバランスを崩し、常に下克上の機を狙う部族たちを刺激することで、内紛を引き起こすことにあったのだ。さらにそこへ他国からの介入や干渉を許せば、やがて戦火はリキッド大陸中へと広がってゆくだろう。
血が流れれば流れるほど、邪神の力は増す。
「そんなこと、させないっ！」
「ぐあッ！？」
＜炎風旋＞で二人をまとめて吹き飛ばし、こじあけた隙へ突っ込む。リーダーらしき男の振るうナイフに手傷を負うが、小さなダメージはマーナの＜オートヒール＞が相殺してくれる。
「アオイの邪魔はっ」
「させませんわよ！」
シャローテの十八番、ナイフ投げとマーナの起こした突風が体勢を立て直した二人の追撃を封じ、アオイは男と一対一で対峙する。
「我が教団の崇高な志も理解できぬ下賤な者どもが。黒き血にまみれて果てるがよい」
「残念、あなたたちの野望もここまでよっ。＜龍っ突拳＞ーーーッ！！」
邪教団の目論見は白日の下にさらされた。
恐ろしいのは、彼らはコーフィルのみならず、リキッド大陸の各国へと同様に信徒をもぐり込ませているらしいことだ。思えばシャローテの故郷サイディアにも彼らの足跡は見て取れた。
「このクエスト、まだまだ根が深そうねえ」
マーナはそんなふうに言ったが、報酬の数千ボトルにほくほく顔だ。
アオイもまた、大陸にのさばる悪をくじいた達成感に浸る。しかしクエストはまだこの先も続いてゆくようだ。
「よーしっ。この先も気合入れていくよ、ふたりとも！」
「おーっ♪」
「ですわ！」
砂漠の国コーフィルでモノを言うのはズバリ、武力だ。拳、剣、魔法、兵法、あらゆる武を織り重ねて紡ぎ、己の力とした者が全てを手中に収める。いくつもの部族がそれぞれに武を競い合い、頂点となった者こそがコーフィルという国家を統べるのだ。
「乱暴な国ねぇ。まったく」
マーナは出店で買ったサソリの串焼きをパクつきバフを発動させつつ、眉をひそめて言った。
「わたし、こういう体育会系のノリって苦手なのよね。何事も大事なのは理路整然としたロジックよ、そう思わない？ ノリや勢い、根性論で物事が決まるなら何のための戦略会議なのかしら、あのクソ課長ときたらまったく……！」
「まあまあ、おさえてお姉さん……ゲームだからこれ」
日常にたいそうご不満鬱憤をお持ちらしいマーナを、アオイ（プレイヤー：仙藤 蒼）はなだめすかす。せめてＶＲの世界で彼女に癒しがもたらされればと願う。
「あそこが闘技場ですわね。ふふふ、腕が鳴りますわ！」
気品が見えるのは語尾くらいのもので、同行ＮＰＣのシャローテはまさしくその物騒な国に馴染みまくっている。拳をぼきりと鳴らしてやる気十分、マーナのため息を誘い、アオイはアバターに苦笑いを浮かべた。
三人の目的はここ、コーフィルの地方都市モルカで催される闘技大会へ出場することだ。コーフィルという国ではこうした武を競う競技会がひっきりなしに行われている。もっとも強い者が国の頂点にさえ立つ場所柄だから、戦いは日常の一部なのだ。必然、国民は各部族長から一般人にいたるまで、どうにも荒っぽい者が多い。喧嘩は茶飯事、些細でも不満あらば内紛が勃発しがちだ。反面、一度認め合った間柄には強い絆が育まれ、強固な結びつきとなることもある。
邪教はそんなコーフィルのシステムに目を付けたらしい。
「そんなに重要なイベントなのね、闘技大会って」
「そりゃあもう、周辺の部族長がみな集まって、お互い手持ちの戦士たちを戦わせるっていうんだから。野蛮だわ」
「まあまあ。で、その闘技大会に、邪教＜バリスタール＞の息がかかった戦士が紛れてるってわけね」
アオイらはかの邪教の足取りを追ってきた。各地で禁呪を発掘し、生贄を捧げ、邪神復活をもくろむ邪なる教団。今回はいかなる陰謀を画策しているのか？
アオイはいかめしい闘技場の円形を見据え、
仲間たちを先導し、踏み込んだ。
「……てえいッ！！」
屈強かつ堅牢な肉体がいともたやすく宙を舞う。
闘技大会はさまざまな試合形式を内包し、アオイらが出場するのは三対三のチーム戦だ。なにも彼女らが三人組であるから、というばかりが理由ではない。
「くっ、馬鹿な……我らの優勝は決まっていたはず。なぜお前たちのような手練れの冒険者が……」
「あんたたち、バリスタール教団の企みをブチ壊すためよ」
相手の三人はフード付きのケープをかぶり、胸元には揃いの紋章。枝葉にコーヒー豆三つ……邪教の手に連なる者の証だ。
三人娘はコーフィル中を駆け回り、調べ上げていたのだ。邪教の尖兵たる暗殺集団、その手の者が各地の闘技大会へ潜入していること。優勝を果たし、招かれた部族長たちの集いにて、報奨を賜るそぶりで近づき彼らを暗殺せんと画策していること。バリスタールの狙いは、力持つ部族長を一度に排除することでパワーバランスを崩し、常に下克上の機を狙う部族たちを刺激することで、内紛を引き起こすことにあったのだ。さらにそこへ他国からの介入や干渉を許せば、やがて戦火はリキッド大陸中へと広がってゆくだろう。
血が流れれば流れるほど、邪神の力は増す。
「そんなこと、させないっ！」
「ぐあッ！？」
＜炎風旋＞で二人をまとめて吹き飛ばし、こじあけた隙へ突っ込む。リーダーらしき男の振るうナイフに手傷を負うが、小さなダメージはマーナの＜オートヒール＞が相殺してくれる。
「アオイの邪魔はっ」
「させませんわよ！」
シャローテの十八番、ナイフ投げとマーナの起こした突風が体勢を立て直した二人の追撃を封じ、アオイは男と一対一で対峙する。
「我が教団の崇高な志も理解できぬ下賤な者どもが。黒き血にまみれて果てるがよい」
「残念、あなたたちの野望もここまでよっ。＜龍っ突拳＞ーーーッ！！」
邪教団の目論見は白日の下にさらされた。
恐ろしいのは、彼らはコーフィルのみならず、リキッド大陸の各国へと同様に信徒をもぐり込ませているらしいことだ。思えばシャローテの故郷サイディアにも彼らの足跡は見て取れた。
「このクエスト、まだまだ根が深そうねえ」
マーナはそんなふうに言ったが、報酬の数千ボトルにほくほく顔だ。
アオイもまた、大陸にのさばる悪をくじいた達成感に浸る。しかしクエストはまだこの先も続いてゆくようだ。
「よーしっ。この先も気合入れていくよ、ふたりとも！」
「おーっ♪」
「ですわ！」
シナリオ
シナリオデータ
シナリオスケジュール
- シナリオガイド公開日
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- 2023年04月27日
- 参加申し込みの期限
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- 2023年05月04日 11時00分
- アクション投稿の期限
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- 2023年05月04日 11時00分
