サンマなりきりののこさん、街を征く｜リアクション

サンマなりきりののこさん、街を征く

「つっっかれたぁ～～～！！」

　やがて宣伝活動を終えたラッセル達はきぐるみを脱いで、役場の片隅で身体を休める。
　今日はほとんどがきぐるみでの活動だったため、その身体は休息しなければならないほど疲れていた。

　なお活動内容に関しては市職員達が見ていたのもあって、リッカルド町長の耳にもしっかりと届けられている。
　なので、ののこ、ラッセル、千里、英二、月詠、想花、朝衣にそれぞれ食事券が渡された。
　有効期限はない食事券。あれだけ疲れたことをしたのだから、貰えるのも当然だろう。

　冷たいドリンクもそれぞれに配られ、それぞれで笑い合う。
　ちょっと無理無茶無謀をやったかもしれないが、それでも今日という１日はとても楽しかった。
　本体が現れなかったことだけがちょっと残念（？）だったかもしれないが、出会っていたらそれはそれで何が起こっていたのかはわからない。

「野々さん、お疲れ様」
「お疲れ様！　今日はありがとう！」

　英二とののこの２人は乾杯して、それぞれを褒めちぎる。
　楽しい歌をありがとう。面白い歌詞を思いついてくれてありがとう。パフォーマンスも上手くいって良かったね。等の言葉をかけあっていた。

「そういえば、この後の慰労会どうするんだ？」
「ああ、それなら私が会場を抑えてるから、この後行くのだけど……用事でもあるの？」
「ん、ああ。スケブ置いてから来ようかなと」
「なるほど。じゃあ会場の場所のメモ、書いておくわね」

　月詠は一旦、スケッチブックを自宅に置いてから慰労会に参加すると伝えて朝衣から会場の場所を聞く。
　そうしないと大事なイラストが汚れてしまうかもしれないため、少しでも無事なうちに残しておきたいということだ。

「いや、ホント……疲れたな」
「オレがとっ捕まった時はどうなるかと……」
「ぼ、ぼくもとっ捕まった側だから、気持ちはわかる……かな」

　ラッセルと千里はそれぞれで慰め合い、その合間に想花も小さく合いの手を入れる。
　まさか目を合わせただけで巻き込まれるとは思ってもいなかったために、余計に疲労困憊のようだ。

「でも……楽しかったから、いいな」

　ふと思う。
　ラッセルが提案したからこそ始まったこの企画は、もしかしたらいい恩恵が出るかもしれないと。
　少しでも島に楽しさと笑顔が広がれば、提案したことにも意義があるからだ。

「……もうやりたくはないけど！！」

　ラッセルの最後の心の叫びで、この楽しいパレードは終わりを迎えた。

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