サンマなりきりののこさん、街を征く｜リアクション

サンマなりきりののこさん、街を征く

　そろそろ歩くのも疲れてきた頃。
　何やら、子供たちが集まる現場へとたどり着いた。

　何事かと思えば、近隣で行われていたのはヒーローショー。
　既に公演は終わり、あとは帰るだけの子供たちで溢れかえっていた。

「あっ！　サンマさんだー！」
「マンボウくんもいるー！」

　子供達の可愛らしい声と足音がサンマくんとマンボウくんに近づいてくる。
　きぐるみの宣伝として子供たちと触れ合うのも悪くはないか、と少しショーの舞台を借りて宣伝ダンスを踊ることに。

「るんたったー♪　るんたったー♪」
「さっ、サーンマーくーんだよー♪」
「る、るんたったー♪　るんたったー♪」
「マ……マンボウくーんも　おとなーりにー♪」
「「今日もたのしくー♪　寝子島めぐりー♪」」

　歌を披露し、ダンスを披露していくラッセル達。
　ぎこちない動きとそれっぽいリズムを取りながら舞台の上で上手く踊り、子供たちの視線を釘付けにしていた。
　そのうち子供たちとのふれあいタイムを作るのもありなのでは？　と英二が提案したため、休憩がてらのふれあいタイムを作る。

「こんにちは！　サンマさんだよ！」
「僕、マンボウくんだよぉ～。サンマさんのお友達なんだ～」
「マグロくんもよろしくねぇ～」

　よろしくね、という言葉とともにゆったりとした動きで子供たちを怖がらせないように振る舞っていく。
　子供たちが怯えては宣伝活動にならないため、脅かさないように慎重に動いていた。

　しかしラッセル達の疲労とは裏腹に、子供たちは元気が有り余っている。
　中には体当たりをしてサンマくんやマンボウくんを転ばせたりとなかなか勢いのあることをしてくる子供もいた。

「ねえねえ、倒れるまねしてー！」
「えっ？　……こ、こう？」
「きゅう～って言ってほしいな！」
「きゅ、きゅう～」

　そんな中で朝衣は子供たちにせがまれて、退治されたマンボウくんのモノマネをして楽しませていく。
　ただでさえ倒れると起き上がりづらいマンボウくんのきぐるみだが、子供たちに頼まれては仕方がない。できるだけ立ち上がりやすいように身体を調節し、子供たちに討伐（仮）されておいた。

「ねーねー、もっと踊ってー！」
「おど……えっ、もっと？」

　英二もまた、先程の歌と踊りを披露してほしいと子供たちにせがまれていた。
　宣伝効果として悪くないようで、今度は子供たちも一緒に周りに集まって踊ってくれたのだ。

「なんで違うおさかなさんがいるのー？」
「ふっふっふっ、マグロくんはいつだってサンマとマンボウよりも活発に動き続けるからな」
「すごーい！」

　月詠は子供たちの疑問に鼻高々と答え、マグロくんに新たなステータスを加える。
　いろいろな魚介類がいてもいいじゃないかという新たな趣旨。意外とそれは子供たちに刺さったようで。

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