サンマなりきりののこさん、街を征く｜リアクション

サンマなりきりののこさん、街を征く

　サンマくんきぐるみ２体とマンボウくんきぐるみ３体のパーティは、腕を組んで横並びに歩く。
　こうしたほうがより勢いがあっていいんじゃない？　という英二のちょっとした閃きから、腕を組んでスキップしていた。

「るんたったー♪　るんたったー♪」
「さっ、サンマくーんだよー♪」
「るーんたったー♪」
「るーんたったー！♪」

　恥ずかしそうに歌う想花。ののこからサンマさんとマンボウくんの歌を歌って！　と言われたので、半ばやけくそ気味に歌っているのは仕方ない。

　ついでにBGMをつけて、ちょっとした歌を歌えばそれっぽい行列になるはず！
　……と英二が色々と考えついてくれたので、朝衣が用意したスマホとスピーカーで音楽を流しながら歌い歩き続けた。

　それっぽい感じのサンマとマンボウ行列、歌いながら横一列に並んでスキップしている光景は街の人達には釘付けでもあり、ドン引き対象でもあるが……。
　それでも、相応の宣伝効果は見受けられていた。

「るんたったー♪　るんたったー♪」
「ま、マンボウくんもいーるよー♪」
「……」
「あれ？　マンボウくん？」

　ふと、ののこが次を歌ってくれないラッセルに気づき、ひょっこりと顔を覗き込む。
　ちょっぴり恥ずかしさが強いので出来れば歌は遠慮したい……と先立って伝えていたのだが、やっぱり流れ的に歌ってほしいな、という訴えがののこから上がる。

「ぼ、ぼくだって、ほら、歌ってるから！」
「ぐむっ！？　……そ、そう、言われると弱い……！」

　想花に言われて、確かにそうだと感じてしまったラッセル。
　押しに弱い彼は想花とののこにぐいぐい押され、やけくそ気味に歌うことになった。

「ま、マンボウくーんも一緒だよー！♪」
「るんたったー♪」
「るんたったー！♪」
「るーんたーったー！♪」

　腹の底から歌を歌い、耐えるラッセルと想花。
　そのパレードをラッセルの知り合いである海道千里が見つけるが、あまりの光景に千里が笑いを堪えている。
　そんな光景を笑ったお前も巻き添えだ！　と言わんばかりに、千里も巻き込んでやった。

「なっ、なんで！？」
「せっ、宣伝はする人間が多いほどいいだろう！？」
「それはそうだけどー！」

　まさかまさかの巻き込まれ人間が増えた始末。
　しかし千里も同じくやけくそ気味に、ののこが作った歌を一緒に歌って宣伝してくれた。

　後の休憩間際、ラッセルは遠い目のままに想花と千里を励ましていくのだ。
　――「飲食店で使えるお食事券のためにも」と……。

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