サンマなりきりののこさん、街を征く｜リアクション

サンマなりきりののこさん、街を征く

「……なに、あれ……」

　街の中を散歩していた月原想花は思わず後退りしてしまう。
　目の前からやってくるサンマくんきぐるみと３体のマンボウくんきぐるみ。その光景は他の人が見ても後退りするほどの光景なのだが、少しビビリな想花にとってはより一層の恐怖である。
　更に想花は、きぐるみとは言えサンマやマンボウが歩いているという本来なら無いはずの状況が少し苦手だ。故に、頭を少し下げて出来るだけ直視しないようにしようと、道を歩くのだが……。

「るんたっ……あっ、想花ちゃん！」
「えっ」

　真っ先にののこに目をつけられ、サンマくん（ののこ）が走ってくる。
　あまりにも突然の出来事に足が止まってしまった想花に対し、ののこは彼女の手を握ってぶんぶんと上下に振りながら『手伝って！』と伝えた。

　サンマくんの素晴らしさ。マンボウくんの素晴らしさ。
　それらを語りに語ったののこは満足そうにしているが、現在サンマくんが足りないからサンマくんのきぐるみを着て欲しいと。

「えっ、ええ……？？」
「お願い！　ねっ？」
「う……いや、ぼくは……こういうのは……」

　キラキラ涙目なののこに対し、押され続ける想花。
　やがて想花のほうが折れてしまい、結局想花はサンマくんきぐるみを着て練り歩くことになった。

　現在、サンマくん２体とマンボウくん３体。
　珍妙行列はまだまだ続くのである……。

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