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お狐奇譚 片夏村縁起
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【狐の送り火】
しばしめまぐるしく時が流れた。父を弔うべく片夏村を東奔西走、母に代わって当主代行を引き受けた阿呂江の担うべきことは山ほどあった。
片夏村は観光地だ。奥まった山腹に寝そべるひなびた温泉地。霊界に住まうあやかしには隠れた人気スポットであり、近頃は人間の観光客もちらほらと見かけるようになった。そんな村において長と観光協会会長を兼任し、内外に湯町の大狐としても知られた大妖こそが阿呂江の父玉水であったのだ。彼の死は霊界に広く影響を及ぼすことだろう。その葬儀も決してなおざりで済ますわけにはいくまい。
「母上、お加減はいかがですか」
「ロエちゃん……ごめんね。ママ、ちょっとまだ動けないわ……」
「そうですか。では今しばらくお休みください。葬儀は儂が取り仕切ってみせますゆえ」
気落ちした母はショックで寝入っている。目を覆う弱りようながら、妖狐をつけているし大事には至るまい。
数日もそうして忙しくしていた気がするが、実際は一昼夜というところだ。
夜が更けてくると弔問客が次々に詰めかけ始め、中には玉水と親交のあった、名だたる大あやかしの姿もちらほらと見られた。
「あろえちゃん。このたびは、ごしゅーしょーさまで……」
「こ……これは、餅々殿!」
寝子島の幽霊たちの顔役にして、霊界でもその名を知らぬ者はおるまい。
餅々 きなこ
は幼な顔を神妙に歪ませ、玉水の霊前に手を合わせた。
「よくぞお越しくださった、餅々殿。父もきっと喜んでおります」
「うん。ぎょくすいくんは、ざんねんだったね。かなしいね……」
きなこだけではない。東の霊界大任侠、狸ヶ原一家の大親分、狸ヶ原 団七。片夏村とは別の狐集落、狐伊万里の一家も弔問に訪れた。小江山の鬼たちを代表してやってきたのはかの酒呑童子だし、ゆらり顔を見せたのはあやかし兵団の総大将、ぬらりひょんだ。
これほどのあやかしたちが集うとは。阿呂江は今さらながらに父の偉大を再確認することとなった。
「阿呂江さん。お久しぶりね」
「天狐どの。ようこそおいでくださいました」
唐傘を手にしゃなりと訪れた狐のあやかし、天狐。
名家の生まれである父のもとへ、かつては星の数ほどの縁談話が寄せられたという。天狐はその見合い相手のひとりであった。残念ながら良縁とは纏まらなかったものの、たがいに友人として認め合い、片夏家としても長い付き合いがあった。
「つつがなく進んでおりますかしら? なにかお手伝いできることはある?」
「今のところは……しかしお恥ずかしながら、少々手が足りておらぬ次第で」
「そう。安心して。これ、お前たち! 阿呂江さんをお手伝いして差し上げなさい」
ぱんと手を叩くと、少女の姿に変化した狐たちが駆け出し、屋敷のほうぼうへ散っていった。使用人では足りぬ手を埋めてくれるのだろう。
「ありがとうございます。母は床に伏せっておりまして。後ほどご挨拶にうかがうでしょう」
天狐はしずとはかなく微笑んだ。父を亡くした阿呂江ほどでなきにしろ、胸の内では友の喪失を嘆いてくれているのだろう。
そうして送り火の準備は、粛々と整えられていった。
離れの裏手、樹々の開けた広場へ組まれた櫓の上に、玉水のなきがらは横たえられた。
喪服を着て相対する阿呂江。使用人らが櫓を囲み、ひなげしに肩を支えられて母慈愛瑠も姿を見せた。その周囲を十重二十重、囲んだ弔問客たちが花を櫓へ添えてゆく。
輪を縫って、長着にたすきがけをした狐たちが現れる。送り火士を筆頭に、いずれも狐火の名手たちだ。
阿呂江が弔問客らを振り返り、声を発す。
「みな、本日はよくぞお集まり下さった。父と母に代わり、当主代行たる儂から感謝を申し上げる」
青く、しんと静まり返る、げに深き夜だった。
「父、玉水は昨今、しばしば午睡にふけることが多くなっておった。先日も離れで寝入り、そのまま目を覚ますことなく……」
鼻の奥が熱くなる。目元は潤み、感情とともに涙粒があふれそうになる。
しかし。しかし、まだだ。阿呂江は天を仰ぐ。片夏家の娘として、やり遂げねばならない。醜態をさらすわけにはいかない。
「……偉大なる妖狐、片夏 玉水を我らが狐火にて、天へとお送りする。送り火士は前へ」
狐の送り火は片夏村を始め、霊界の一部地域に伝わる葬儀の風習だ。狐火が白毛も皮も骨も一切合切を焼き尽くし、その痕跡を残さない。肉体という檻から魂を解き放ち、同時に送る生者たちの未練、わだかまり、いさかいも全て断ち切って新たな旅立ちを祝福する。櫓を囲むたすきがけの狐たちは、その送り火を起こす役割を担う送り火士だ。
「ああ。玉水様……」
母のかぼそく漏らす声を聞く。阿呂江は指先に火を灯す。小さな種火を。
瞳を伏せる。
「おさらばです。父上」
種火を放つ。ぽう、と灯った。送り火士たちがそれに続く。ぽう、ぽう、と。
火は徐々に燃え上がり、赤く煌々と輝き始める。幼き日、亡くなった遠い親族を送る狐火を目にした阿呂江は、それを美しいと思った。なんと鮮烈で力強く、妖艶な輝きだろうかと。
己の無邪気を恥じずにいられない。父のあたたかな毛並みも優しい瞳も、撫でてくれるやわらかな前足も、全て劫火に呑まれゆく。こんなにも哀しい色であっただろうか。乾いた風に炎は良く盛った。
阿呂江は再び天をあおいだ。
まだだ。まだ、もう少し。今少し。務めねばならなかった。
潤むな、我が瞳。狐火よ、その劫火で涙まで涸らし尽くせ。
お願いだからとひたすらに胸の内、唱えた。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
墨谷幽
シナリオタイプ(らっポ)
プライベートシナリオSS(500)
グループ参加
なし
シナリオジャンル
動物・自然
神話・伝説
NPC交流
定員
1人
参加キャラクター数
1人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2023年04月19日
参加申し込みの期限
2023年04月26日 11時00分
アクション投稿の期限
2023年04月26日 11時00分
参加キャラクター一覧
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