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- 00月00日生 00歳
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寝子☆刑事（ねこデカ）！
「寝子島で凶悪事件発生か！ 俺の出番だな！」
神奈川県警本部捜査一課管理官、星山 真遠は午後７時２２分を以て、寝子島警察署の協力捜査依頼に応じる形で本部より派遣された。
キャリア組が幅をきかせる警察機構、その頂点の若きエリートとして、星山は君臨していた。
泣く子もだまる経歴と、様々なあれこれを背後に３３歳の若さで昇進。いまや神奈川県警で一隊を率いる指揮官である。
その彼が、こんなへんぴな田舎の事件に首を突っ込んできたのには、それなりの訳があった。
若くして昇進した彼には、敵も多い。
常に成果を上げ続けなければ、いきなり蹴落とされてしまう。
なので彼はいつでも事件の芽を見逃さず、手柄になりそうな事件があればすぐさま首を突っ込む。
彼の処世術だった。
さらに彼には「ＰＢＷ」という密かな趣味があった。
激務の傍らで、かれはＰＢＷマスターとして活動していたのである。
ＰＢＷのマスターなんて続けられる人間は妄想癖で小心、本来の仕事を放りだしてテキストエディタにかじりついているような社会不適合者のろくでなし、あれこれ迷ったあげく締め切りがヤバイです運営さんすいませんとお願いするような人間の最底辺に決まっているのである（とあるマスターの偏見に満ちた見解です）。
そうしたダメ人間が、なんとか生き延びるべくあれこれ魂胆をめぐらした結果の世渡り。
捜査一課のエリートを率いて堂々入場した星山、じつはこういう背景があったのだ。
「星山警部！ はるばるご苦労さまです！」
「うむ、出迎え痛みいる」
どこにでもいる、権力にこびへつらう寝子島署のお偉いさんが、星山に頭を深々と下げる。
星山は尊大に応じる。
周囲にはお偉いさんの部下が、王侯貴族の接待よろしくずらりと並ぶ。
物見高い連中が、様子をうかがっている。
予想外の来訪者に、寝子島署は浮き足立っていた。
「それで、誘拐事件の全容を聞きたいのだが……」
どっかりと応接間のソファに腰を下ろして、タブレットを取り出す星山。
「はい。被害者の中村さんは、それはもう不安な状態で――いつ玉子ちゃんが帰ってくるのかと矢のような催促。星山警部のお力で、なにとぞ一刻も早い解決を……」
「玉子ちゃんか！ 若い女の子か？ 可愛いんだろうな！」
急にテンションの上がる星山。
「はい、それはもうキュートな猫ちゃんで……」
「猫！？」
ずっこける星山。
「なんだ、猫かよ！」
子供のようにわめき始める星山。
「そんなしょーもないことで、警察に通報してくるんじゃない！」
（わかりきってることじゃない……）
（初めから、猫だって調べてこなかったのか？）
（大方、誘拐事件だと聞いて、慌ててイッチョカミしようとして来たんだろうよ……）
周囲からの冷たい視線を感じる星山。
「な、何だ！？
なんでそんな冷たい視線を向けてくるんだ！」
狼狽し、全身から汗を噴き出させる星山。こういう時には人間の素の姿が現れる。肩書きなどに頼らない、真の人間力を発揮することで逆に統率力をアップすることもできるのだが、ＰＢＷマスターなどしている人間に、そんなことを要求するのは不可能である。
「俺を誰だと思っている！？
俺はキャリア、全警察官中29万人の中、600人しかいない『警察官僚』の一人だぞ！
おまえらノンキャリア風情が、俺にそんな態度を取っていいと思っているのか！」
顔を真っ赤にして怒鳴り散らす。
（これが……キャリア？）
（こんな奴がキャリアとは……）
（警察オワタ）
様々な罵詈雑言に自分が取り巻かれているような気がして、ますます落ち込んでいく。
だが、そんなことでめげてはいられない。
立ち直りが早いのも、星山のよいところだった。
「ひょっとしたら……その猫は貴重価値のある猫なのかもしれない」
「は？」
「中村玉子ちゃんは、世界でも珍しい希少価値のある猫で、一匹ン千万とか億とかするのではないか？」
「……いや、ただの雑種……」
「いや、その可能性はゼロではないぞ！」
妄想によって自分を奮い立たせる。
「だとしたら、これは事件だ！」
「あの……」
「そんな猫をみすみす傷つけたりしたら、俺の出世に関わる！」
「あの……」
「これより『希少猫誘拐事件捜査本部』の設置を命ずる！ 県警捜査一課星山班と寝子島署の人員は、手の空いている者は全員、猫の確保に全力をつくせ！」
拳を振り上げる星山。
かくて、猫ちゃん（雑種）の誘拐事件は、寝子島署始まって以来の大規模な捜査となったのだ。
神奈川県警本部捜査一課管理官、星山 真遠は午後７時２２分を以て、寝子島警察署の協力捜査依頼に応じる形で本部より派遣された。
キャリア組が幅をきかせる警察機構、その頂点の若きエリートとして、星山は君臨していた。
泣く子もだまる経歴と、様々なあれこれを背後に３３歳の若さで昇進。いまや神奈川県警で一隊を率いる指揮官である。
その彼が、こんなへんぴな田舎の事件に首を突っ込んできたのには、それなりの訳があった。
若くして昇進した彼には、敵も多い。
常に成果を上げ続けなければ、いきなり蹴落とされてしまう。
なので彼はいつでも事件の芽を見逃さず、手柄になりそうな事件があればすぐさま首を突っ込む。
彼の処世術だった。
さらに彼には「ＰＢＷ」という密かな趣味があった。
激務の傍らで、かれはＰＢＷマスターとして活動していたのである。
ＰＢＷのマスターなんて続けられる人間は妄想癖で小心、本来の仕事を放りだしてテキストエディタにかじりついているような社会不適合者のろくでなし、あれこれ迷ったあげく締め切りがヤバイです運営さんすいませんとお願いするような人間の最底辺に決まっているのである（とあるマスターの偏見に満ちた見解です）。
そうしたダメ人間が、なんとか生き延びるべくあれこれ魂胆をめぐらした結果の世渡り。
捜査一課のエリートを率いて堂々入場した星山、じつはこういう背景があったのだ。
「星山警部！ はるばるご苦労さまです！」
「うむ、出迎え痛みいる」
どこにでもいる、権力にこびへつらう寝子島署のお偉いさんが、星山に頭を深々と下げる。
星山は尊大に応じる。
周囲にはお偉いさんの部下が、王侯貴族の接待よろしくずらりと並ぶ。
物見高い連中が、様子をうかがっている。
予想外の来訪者に、寝子島署は浮き足立っていた。
「それで、誘拐事件の全容を聞きたいのだが……」
どっかりと応接間のソファに腰を下ろして、タブレットを取り出す星山。
「はい。被害者の中村さんは、それはもう不安な状態で――いつ玉子ちゃんが帰ってくるのかと矢のような催促。星山警部のお力で、なにとぞ一刻も早い解決を……」
「玉子ちゃんか！ 若い女の子か？ 可愛いんだろうな！」
急にテンションの上がる星山。
「はい、それはもうキュートな猫ちゃんで……」
「猫！？」
ずっこける星山。
「なんだ、猫かよ！」
子供のようにわめき始める星山。
「そんなしょーもないことで、警察に通報してくるんじゃない！」
（わかりきってることじゃない……）
（初めから、猫だって調べてこなかったのか？）
（大方、誘拐事件だと聞いて、慌ててイッチョカミしようとして来たんだろうよ……）
周囲からの冷たい視線を感じる星山。
「な、何だ！？
なんでそんな冷たい視線を向けてくるんだ！」
狼狽し、全身から汗を噴き出させる星山。こういう時には人間の素の姿が現れる。肩書きなどに頼らない、真の人間力を発揮することで逆に統率力をアップすることもできるのだが、ＰＢＷマスターなどしている人間に、そんなことを要求するのは不可能である。
「俺を誰だと思っている！？
俺はキャリア、全警察官中29万人の中、600人しかいない『警察官僚』の一人だぞ！
おまえらノンキャリア風情が、俺にそんな態度を取っていいと思っているのか！」
顔を真っ赤にして怒鳴り散らす。
（これが……キャリア？）
（こんな奴がキャリアとは……）
（警察オワタ）
様々な罵詈雑言に自分が取り巻かれているような気がして、ますます落ち込んでいく。
だが、そんなことでめげてはいられない。
立ち直りが早いのも、星山のよいところだった。
「ひょっとしたら……その猫は貴重価値のある猫なのかもしれない」
「は？」
「中村玉子ちゃんは、世界でも珍しい希少価値のある猫で、一匹ン千万とか億とかするのではないか？」
「……いや、ただの雑種……」
「いや、その可能性はゼロではないぞ！」
妄想によって自分を奮い立たせる。
「だとしたら、これは事件だ！」
「あの……」
「そんな猫をみすみす傷つけたりしたら、俺の出世に関わる！」
「あの……」
「これより『希少猫誘拐事件捜査本部』の設置を命ずる！ 県警捜査一課星山班と寝子島署の人員は、手の空いている者は全員、猫の確保に全力をつくせ！」
拳を振り上げる星山。
かくて、猫ちゃん（雑種）の誘拐事件は、寝子島署始まって以来の大規模な捜査となったのだ。
シナリオ
シナリオデータ
シナリオスケジュール
- シナリオガイド公開日
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- 2023年04月21日
- 参加申し込みの期限
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- 2023年04月28日 11時00分
- アクション投稿の期限
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- 2023年04月28日 11時00分
