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- 00月00日生 00歳
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風邪を引いたら
ある日の放課後。執り行われる風紀委員会の会合は、ぴりりとした空気に包まれていた。
「お久しぶりです。委員の皆さん」
愛猫 萌々子の眼鏡がきらりと輝き、並ぶ面々は居住まいを正す。
「ではさっそく、委員会を始めます。まず始めの議題は、今月開催される寝子祭での活動について。風紀委員会は主に巡回活動を行いますが、その担当と巡回ルートについて……」
別段、萌々子が強権を振り回しているというわけでもない。そもそも萌々子は今や風紀委員ではなく、委員長の代理である。風邪で寝込んでしまったルームメイト、風紀委員長の笛吹 ぴりりに任されたのだ。
意思が強く、いつもはきはきとして活発なぴりりが見る影もなく縮こまり、赤ら顔で弱々しくせき込む顔など見るに、代理を申し出ずにはいられなかった。彼女はいつだって、頑張りすぎてしまうのだ。疲労から風邪のひとつも引きはすまいかと懸念していたら、そのとおりになってしまった。
「なるほど、寝子祭については問題なさそうですね。では次の議題に移ります。先月の生徒会選挙においての風紀委員の活動ですが、いくつか反省すべき点が見受けられました。皆さんで検証し、次の活動へ活かしましょう」
ぴりりは部屋で寝食を共にする相手で、親友だ。力になりたかった。代わりができるなら務めたかった。少し無理を言って代理役を任せてもらったが、そのためかどうも目力強く、気合が入ってしまうらしい。ぴりぴりとした部屋の空気はそのせいだ。周囲を威嚇するつもりも叱責するつもりも萌々子にはないのだが、元来のめりこむたちであり、代役とはいえ妥協はできないのだった。
「委員長代理！ 今後の活動について提案があるのですが」
「聞きましょう。ぜひお願いします」
「美化委員会と合同で行っている、校内でのゴミのポイ捨て問題についてなのですが。これについてもう一度美化委員会とすり合わせを行い、効率的な方法を模索すべきかと思います」
「確かに。報告書を拝見すると、現状でもいくらか活動の効果は見られますが、より生徒の意識改革が必要かもしれませんね。これについては私からも、現委員長へ提言しておきます」
「はい、よろしくお願いします！」
「さて次の報告は。ええと……たびたび校内で目撃されていた、黄色い法被を着た謎の集団について、今週は寄せられた情報がゼロに……」
緊張につつまれた白熱の委員会は、日暮れまで続いた。
桜花寮の自室に帰り着く頃、時刻は１９時半を回っていた。
「ただいま、ぴりりちゃん……起きてますか？」
「お帰りなさい、萌々子さん。ちょうど今目が覚めたところです」
「今朝よりも顔色がいいですね。良かった！」
起き上がろうとするぴりりを押し留めて、夕食の用意をする。今日は萌々子もぴりりに付き合って、お腹にやさしいおじやだ。卵に長ねぎとしょうがをたっぷり入れて、弱った身体に活力を与えてくれるだろう。
「食べられますか、ぴりりちゃん」
「美味しそう！ いただきますね」
ふうふうと冷まして食べる様は、何だか小動物のように愛らしく思えた。
「委員会、お任せしてしまってすみません。委員長ともあろうものが、不覚だったのです……」
「いいんですよ、気にしないで。皆さん真面目で前向きで、ちゃんと無事に終わりましたよ。良くなったら、内容を教えますから」
生真面目なぴりりの気にするところはやはりそれだ。
とはいえ、萌々子のことは信頼してくれているらしく、大丈夫と言えば安心したようだった。
「萌々子さんには迷惑をかけてしまって。申し訳ないのです」
「もう、あまり気にしちゃダメですよ、ぴりりちゃん！ それより、学校で倒れたりしなくて良かったです。大変なことになってましたよ」
「そ、それは確かに……！」
「ぴりりちゃん……一人で何でも背負おうとしないでくださいね」
それは萌々子の想いでもあり、ぴりりと長として担ぐ風紀委員たちの総意でもあった。委員会の終わり、彼らは萌々子へ言葉を託したのだ。
「ぴりりちゃんが真面目で責任感があって、優秀な風紀委員であることは知っています。でも、もっと人に頼ることも大切ですよ。委員のみんなも。私のことも」
「そう、ですね……ありがとうございます、萌々子さん」
食べ終えた器を下げて、起きたばかりであまり眠くないというぴりりと布団の中へと押し込んだ。
「電気を消していますから。しっかり寝たほうがいいですよ」
「では、そうします。今日は休む日、でしたよね？」
「ふふ。おやすみなさい、ぴりりちゃん」
何だかんだと、起きた時に萌々子の姿がないのは、寂しかったのかもしれない。今は安堵したのか、程なくぴりりは安らかな寝息を立て始めた。
明日にはきっと、いつもの元気な風紀委員長が戻るだろう。
「お久しぶりです。委員の皆さん」
愛猫 萌々子の眼鏡がきらりと輝き、並ぶ面々は居住まいを正す。
「ではさっそく、委員会を始めます。まず始めの議題は、今月開催される寝子祭での活動について。風紀委員会は主に巡回活動を行いますが、その担当と巡回ルートについて……」
別段、萌々子が強権を振り回しているというわけでもない。そもそも萌々子は今や風紀委員ではなく、委員長の代理である。風邪で寝込んでしまったルームメイト、風紀委員長の笛吹 ぴりりに任されたのだ。
意思が強く、いつもはきはきとして活発なぴりりが見る影もなく縮こまり、赤ら顔で弱々しくせき込む顔など見るに、代理を申し出ずにはいられなかった。彼女はいつだって、頑張りすぎてしまうのだ。疲労から風邪のひとつも引きはすまいかと懸念していたら、そのとおりになってしまった。
「なるほど、寝子祭については問題なさそうですね。では次の議題に移ります。先月の生徒会選挙においての風紀委員の活動ですが、いくつか反省すべき点が見受けられました。皆さんで検証し、次の活動へ活かしましょう」
ぴりりは部屋で寝食を共にする相手で、親友だ。力になりたかった。代わりができるなら務めたかった。少し無理を言って代理役を任せてもらったが、そのためかどうも目力強く、気合が入ってしまうらしい。ぴりぴりとした部屋の空気はそのせいだ。周囲を威嚇するつもりも叱責するつもりも萌々子にはないのだが、元来のめりこむたちであり、代役とはいえ妥協はできないのだった。
「委員長代理！ 今後の活動について提案があるのですが」
「聞きましょう。ぜひお願いします」
「美化委員会と合同で行っている、校内でのゴミのポイ捨て問題についてなのですが。これについてもう一度美化委員会とすり合わせを行い、効率的な方法を模索すべきかと思います」
「確かに。報告書を拝見すると、現状でもいくらか活動の効果は見られますが、より生徒の意識改革が必要かもしれませんね。これについては私からも、現委員長へ提言しておきます」
「はい、よろしくお願いします！」
「さて次の報告は。ええと……たびたび校内で目撃されていた、黄色い法被を着た謎の集団について、今週は寄せられた情報がゼロに……」
緊張につつまれた白熱の委員会は、日暮れまで続いた。
桜花寮の自室に帰り着く頃、時刻は１９時半を回っていた。
「ただいま、ぴりりちゃん……起きてますか？」
「お帰りなさい、萌々子さん。ちょうど今目が覚めたところです」
「今朝よりも顔色がいいですね。良かった！」
起き上がろうとするぴりりを押し留めて、夕食の用意をする。今日は萌々子もぴりりに付き合って、お腹にやさしいおじやだ。卵に長ねぎとしょうがをたっぷり入れて、弱った身体に活力を与えてくれるだろう。
「食べられますか、ぴりりちゃん」
「美味しそう！ いただきますね」
ふうふうと冷まして食べる様は、何だか小動物のように愛らしく思えた。
「委員会、お任せしてしまってすみません。委員長ともあろうものが、不覚だったのです……」
「いいんですよ、気にしないで。皆さん真面目で前向きで、ちゃんと無事に終わりましたよ。良くなったら、内容を教えますから」
生真面目なぴりりの気にするところはやはりそれだ。
とはいえ、萌々子のことは信頼してくれているらしく、大丈夫と言えば安心したようだった。
「萌々子さんには迷惑をかけてしまって。申し訳ないのです」
「もう、あまり気にしちゃダメですよ、ぴりりちゃん！ それより、学校で倒れたりしなくて良かったです。大変なことになってましたよ」
「そ、それは確かに……！」
「ぴりりちゃん……一人で何でも背負おうとしないでくださいね」
それは萌々子の想いでもあり、ぴりりと長として担ぐ風紀委員たちの総意でもあった。委員会の終わり、彼らは萌々子へ言葉を託したのだ。
「ぴりりちゃんが真面目で責任感があって、優秀な風紀委員であることは知っています。でも、もっと人に頼ることも大切ですよ。委員のみんなも。私のことも」
「そう、ですね……ありがとうございます、萌々子さん」
食べ終えた器を下げて、起きたばかりであまり眠くないというぴりりと布団の中へと押し込んだ。
「電気を消していますから。しっかり寝たほうがいいですよ」
「では、そうします。今日は休む日、でしたよね？」
「ふふ。おやすみなさい、ぴりりちゃん」
何だかんだと、起きた時に萌々子の姿がないのは、寂しかったのかもしれない。今は安堵したのか、程なくぴりりは安らかな寝息を立て始めた。
明日にはきっと、いつもの元気な風紀委員長が戻るだろう。
シナリオ
シナリオデータ
シナリオスケジュール
- シナリオガイド公開日
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- 2023年03月22日
- 参加申し込みの期限
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- 2023年03月29日 11時00分
- アクション投稿の期限
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- 2023年03月29日 11時00分
