waに染まる猪口齢糖と伝統技術の饗宴 in サロネコ1371｜リアクション

waに染まる猪口齢糖と伝統技術の饗宴 in サロネコ1371

＊楽しいことを、写真に収めて

（変わっていて、しかも美味しい和スイーツとの出会い……。それは俺の引き出しとお腹を豊かに満たしてくれることだろうね）
　と考えながら八神修は一人のんびりとサロンを楽しんでいた。

　今日は和装での参加らしく、とても優雅に見える。
　丁度野点の席に参加している彼は、出されたお菓子に目を丸くした。和三盆を利用したチョコレートが出されたからである。
（これは、上品な味わいだ。和三盆の風味が口の中で溶け、カカオの風味も優しい感じがするね）
　抹茶とお菓子、互いにおいしさを引き立て合う組み合わせだ、と感心したように頷いていると鳥の声が聞こえる。
（なごやかだなあ）
　風の音に見事な紅葉。景色も楽しめて実に素敵な休日だ、と修は心からほっこりした。

「実にいい時間だった」
　野点体験を終えた修は、物販コーナーへと足を運んだ。先ほどの和三盆チョコを購入するためだ。その他にも魅力的なお菓子がそろっており、目を輝かせる。
（先ほどのお菓子は、よかった、売り切れていない。それからこれと……これがいいな）
　修は和三盆ショコラクッキーや薄皮チョコ饅頭など気になったお菓子をかごに入れると、後で宅配にしてもらおう、と考える。一定料金購入すると送料無料と看板が立っていたが、余裕でクリアしそうだった。
　話によると、野点コーナーで出されるお菓子はすべてここで購入可能だそうな。それを聞いた修は買えるだけ買ってみる事に。
（しかし、予想以上に多いな……）
　種類が多いことはよい事だ、と修はとりあえず必要な分だけ購入することにした。
　その大半を宅配してもらう事にし、身軽なまま会場に戻ると会場の写真を撮る。今回のイベントは前もって許可を取っておけば撮影が可能だったのだ。修は許可証とカメラを手に色々な写真を撮った。会場の窓越しに紅葉も撮影できたし、修としては満足である。
「よかったらSNSで発信してくださいね！　イベントの宣伝になりますので！」
　という風にスタッフから教えてもらったのもあり、気が楽になっていた。

　ある程度写真を撮り、試食も楽しんだ修。あと１，２枚撮影しようかと考えていると……、休憩コーナーに七夜あおいの姿を見かけた。
「！　修くん、こんにちは。楽しんでる？」
「まぁね。いい写真も撮れたし、野点も楽しかったよ」
　そう修がいうと、あおいは「いいなぁ」と少し羨ましそうに呟いた。彼女は野点の順番待ちをしているところだという。
（確かに俺が野点体験をしているあたりから、順番待ちの人が増えていたな）
　そのことを思い出した修は「早く順番が回ってくるといいね」と相槌を打った。
　あおいのワンピース姿に、すこしドキドキしながら、修は「とても似合っているよ」と褒める。
「ありがとう。このワンピース、気に入ってるの」
　そう微笑む彼女が可愛くて、修は優しい笑顔になる。
　近くに座りながら、修はカバンから本を取り出す。それが何か気付いたあおいは、「修くんらしいね」と苦笑した。
「時間待ちついでに復習をね。夕日で取りたい景色があるから、それまで休憩かな」
「いい写真、撮れるといいね」
「ああ」
　修がちらりと景色を見てそういえば、あおいがそう相槌を打つ。
　暫く話していた二人だったが、あおいは会場内に友達を見つけ、少し話してくると席を外した。修はしばらくあおいの背中を見つめていたが、ややあって飲み物を取りに行くのだった。

　帰り道。
　夕方の景色等を撮った修は、迎えに来た車に乗り込む。そして、早速どれを現像しようかと考えるのだった。

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