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真心伝える基本のチョコレート作り体験 in サロネコ1371
☆社会科見学？
「先生が誘ってくれるなんて……」
宮祀 智瑜は桐島 義弘先生のメールに舞い上がり、当日までそわそわしていた。
（社会科見学っていうけど、これってデートよね……）
当日。５分前に着くと、私服姿の義弘先生がすでに待っていた。
「おはようございます。義弘先生、今日はよろしくお願いします」
何を着て行こうか迷ったけれど、智瑜はお気に入りのニットのワンピースと髪のリボンを合わせたコーディネートにした。
「ああ、おはよう……行くぞ」
智瑜に視線を向けた義弘先生は、すぐに前を向いてしまった。
「はい！」
歩き出した先生を智瑜は追いかけた。
「……転ばないようにしろよ」
そんなふうに言う先生はクールに見えて、でも微妙に口調に揺れみたいなのが感じられて。
もし転んでダイブしても、しっかり受け止めてくれることを智瑜は知っている。
「エプロンも持ってきました。義弘先生の分もあるので使ってください」
黄緑色で胸元に宮祀青果店の文字が入っている実家の店のエプロンを、先生に差し出す。
「そ、そうか……せっかくだし使わせてもらうか」
少し間をおいて、義弘先生はエプロンを受け取り、身に着けた。
さっそく係の人がチョコレート作りの説明をしてくれる。
「豆を焙煎するところからって初めてです」
智瑜はメモをとりながら熱心に聞いていた。
豆を焙煎する間、先生に話しかける。
「先生はチョコレート作ったことありますか？」
「いや、初めてだ。だが、ちゃんと手順は調べてきた」
「さすがですね」
しばらくすると香ばしいカカオの香りが漂ってきた。
「いい香りです」
「豆を砕くのはどうしますか？」
すり鉢とフードプロセッサーに目をやって、智瑜は義弘先生の顔を見る。
「社会勉強としては、両方試すのがベストだろう」
「そうですね」
まずはすり鉢に豆を入れ、義弘先生がすりこぎを手にする。
智瑜はすり鉢をしっかり押さえた。
「先生と初めての共同作業？」
（なんだか照れちゃいます）
ついにやけてしまう智瑜に、下を向いてごりごりカカオを潰しながら義弘先生が言った。
「……初めてだったか？」
「えっ？」
そういえば出会ってから三年、いろんなことがあった。
（共同作業といえることも、中にはあったかも？）
ちょっと考えたけれど。
（……破れたズボンの繕いは、共同作業とは言わないですよね）
ふふっと微笑みを浮かべた。
「宮祀？」
「あっ、はい」
考えているうちに、先生は手を止め汗を拭っている。
「こんなものか。フードプロセッサーを使うぞ」
ガーッ、と音がして、みるみるうちにカカオが潰れていく。
「やはりこれは楽だな」
「すごいですね」
相槌をうちながらも、すりこぎで頑張る義弘先生の姿は素敵だったな、と思ったりする。
「次は砂糖を加えて練り上げるんですね」
今度は自分が頑張ろう、とへらに力を込める。
「一から作るのって大変なんですね。溶かすところからしか作った事なかったのでびっくりです」
「そうだな」
「先生はどんな形のチョコを作るんですか？」
「宮祀はどんな形がいいんだ？」
「私は……ハートの形にしようかと思ったんですけど、先生のチョコも見ながらできればお揃いに作りたいです」
打ち明けるように言った智瑜に、義弘先生は少し考える表情になった。
「ハートは少し難しいな」
「型に流して作るから大丈夫です。それから、ドライフルーツで飾りつけたいです」
「……なら、俺もそうしよう」
二人はハートの型にチョコを流し込み、ドライフルーツで飾りつけをした。
それから冷蔵庫に入れて冷やす。
「エプロンは洗って返そう」
「そんな、いいですよ。汚れてませんし一緒に洗います」
義弘先生のエプロンを受け取った智瑜は、自分のエプロンと一緒に大事に鞄にしまい込んだ。
「そろそろ出来ますね。美味しく出来てると良いですね」
冷蔵庫から取り出したハートのチョコを手に取ると、智瑜は笑顔で先生の口に運んだ。
「はい、あーん」
「……いや、それは……」
「これも社会科見学の一環です」
そう言って智瑜が見つめると、義弘先生は覚悟を決めたように口を開いた。
口に入れられたチョコを、黙って味わう。
「美味しいですか？」
「ああ」
「私もあーんして欲しいです」
「何？」
キラキラの瞳で見つめられた義弘先生は、自分のチョコを手に取ると、
「あーん」
とぶっきらぼうに言い、智瑜に差し出すのだった。
「……とても美味しいです！」
智瑜は心からの笑顔でチョコを味わった。
帰り道、智瑜は言った。
「先生と一緒に来れて楽しかったです」
「そうか」
「また誘って下さいね、社会科見学♪」
「……都合がつけばな」
飛びつきたい思いで、智瑜は義弘先生を追いかけていくのだった。
「先生が誘ってくれるなんて……」
宮祀 智瑜は桐島 義弘先生のメールに舞い上がり、当日までそわそわしていた。
（社会科見学っていうけど、これってデートよね……）
当日。５分前に着くと、私服姿の義弘先生がすでに待っていた。
「おはようございます。義弘先生、今日はよろしくお願いします」
何を着て行こうか迷ったけれど、智瑜はお気に入りのニットのワンピースと髪のリボンを合わせたコーディネートにした。
「ああ、おはよう……行くぞ」
智瑜に視線を向けた義弘先生は、すぐに前を向いてしまった。
「はい！」
歩き出した先生を智瑜は追いかけた。
「……転ばないようにしろよ」
そんなふうに言う先生はクールに見えて、でも微妙に口調に揺れみたいなのが感じられて。
もし転んでダイブしても、しっかり受け止めてくれることを智瑜は知っている。
「エプロンも持ってきました。義弘先生の分もあるので使ってください」
黄緑色で胸元に宮祀青果店の文字が入っている実家の店のエプロンを、先生に差し出す。
「そ、そうか……せっかくだし使わせてもらうか」
少し間をおいて、義弘先生はエプロンを受け取り、身に着けた。
さっそく係の人がチョコレート作りの説明をしてくれる。
「豆を焙煎するところからって初めてです」
智瑜はメモをとりながら熱心に聞いていた。
豆を焙煎する間、先生に話しかける。
「先生はチョコレート作ったことありますか？」
「いや、初めてだ。だが、ちゃんと手順は調べてきた」
「さすがですね」
しばらくすると香ばしいカカオの香りが漂ってきた。
「いい香りです」
「豆を砕くのはどうしますか？」
すり鉢とフードプロセッサーに目をやって、智瑜は義弘先生の顔を見る。
「社会勉強としては、両方試すのがベストだろう」
「そうですね」
まずはすり鉢に豆を入れ、義弘先生がすりこぎを手にする。
智瑜はすり鉢をしっかり押さえた。
「先生と初めての共同作業？」
（なんだか照れちゃいます）
ついにやけてしまう智瑜に、下を向いてごりごりカカオを潰しながら義弘先生が言った。
「……初めてだったか？」
「えっ？」
そういえば出会ってから三年、いろんなことがあった。
（共同作業といえることも、中にはあったかも？）
ちょっと考えたけれど。
（……破れたズボンの繕いは、共同作業とは言わないですよね）
ふふっと微笑みを浮かべた。
「宮祀？」
「あっ、はい」
考えているうちに、先生は手を止め汗を拭っている。
「こんなものか。フードプロセッサーを使うぞ」
ガーッ、と音がして、みるみるうちにカカオが潰れていく。
「やはりこれは楽だな」
「すごいですね」
相槌をうちながらも、すりこぎで頑張る義弘先生の姿は素敵だったな、と思ったりする。
「次は砂糖を加えて練り上げるんですね」
今度は自分が頑張ろう、とへらに力を込める。
「一から作るのって大変なんですね。溶かすところからしか作った事なかったのでびっくりです」
「そうだな」
「先生はどんな形のチョコを作るんですか？」
「宮祀はどんな形がいいんだ？」
「私は……ハートの形にしようかと思ったんですけど、先生のチョコも見ながらできればお揃いに作りたいです」
打ち明けるように言った智瑜に、義弘先生は少し考える表情になった。
「ハートは少し難しいな」
「型に流して作るから大丈夫です。それから、ドライフルーツで飾りつけたいです」
「……なら、俺もそうしよう」
二人はハートの型にチョコを流し込み、ドライフルーツで飾りつけをした。
それから冷蔵庫に入れて冷やす。
「エプロンは洗って返そう」
「そんな、いいですよ。汚れてませんし一緒に洗います」
義弘先生のエプロンを受け取った智瑜は、自分のエプロンと一緒に大事に鞄にしまい込んだ。
「そろそろ出来ますね。美味しく出来てると良いですね」
冷蔵庫から取り出したハートのチョコを手に取ると、智瑜は笑顔で先生の口に運んだ。
「はい、あーん」
「……いや、それは……」
「これも社会科見学の一環です」
そう言って智瑜が見つめると、義弘先生は覚悟を決めたように口を開いた。
口に入れられたチョコを、黙って味わう。
「美味しいですか？」
「ああ」
「私もあーんして欲しいです」
「何？」
キラキラの瞳で見つめられた義弘先生は、自分のチョコを手に取ると、
「あーん」
とぶっきらぼうに言い、智瑜に差し出すのだった。
「……とても美味しいです！」
智瑜は心からの笑顔でチョコを味わった。
帰り道、智瑜は言った。
「先生と一緒に来れて楽しかったです」
「そうか」
「また誘って下さいね、社会科見学♪」
「……都合がつけばな」
飛びつきたい思いで、智瑜は義弘先生を追いかけていくのだった。
シナリオ
シナリオデータ
シナリオスケジュール
- シナリオガイド公開日
-
- 2023年02月18日
- 参加申し込みの期限
-
- 2023年02月25日 11時00分
- アクション投稿の期限
-
- 2023年02月25日 11時00分
