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- 00月00日生 00歳
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ショコラーデ・コレクション in サロネコ1371
なりたい自分。綾辻 綾花にとって、その答えは決まっている。
早川 珪の隣を歩むにふさわしい、大人の女性となること。
「受験で大変な時期だろう？ 僕も息が詰まって大変だった覚えがあるからね。少しでも気分転換になればいいね」
「はいっ。楽しいです！」
珪からのお誘いで、『waに染まる猪口齢糖と伝統技術の饗宴』に出かけることになった。今日はその前に、せっかくなのでショコラーデ・コレクションにも行ってみませんかと綾花のほうからお願いして、二人、会場を訪れることとなった。
勉強に疲れた生徒全てに彼がそうしてくれるとは思わない。きっと綾花が特別な生徒だから、そう思いたい。
そして彼にふさわしく大人の魅力あふれるスタイリッシュな装いとなって、ランウェイを歩くのだ。
さっそく参加者として控室へ入り、衣装を選ぶ。
「珪先生なら、どれも似合いそうですけど。どれにしますか？」
「そうだなぁ。あ、これなんて綾辻さんに似合うんじゃない？」
「わ、私よりまず、珪先生の衣装を……！」
ははは、と朗らかに彼は笑む。余裕たっぷりで大人な彼だから、やはりスーツだろうか。あれこれと模索し、どこぞの王室御用達というチョコレートメーカーが監修したスーツの一式を選んだ。胸元に輝くチョコレート型のラペルピンがおしゃれポイントだ。
一方綾花は、こちらもチョコレートカラーを配したビスチェにプリーツスカート、赤のジャケットにリボン付きのベレー、ロングブーツという装いだ。上目遣いに、彼の反応を伺う。
「うん、似合ってる。とても可愛らしいよ」
「本当ですか？ ありがとうございます！ 珪先生も、お似合いです」
「ありがとう。なかなか着心地がいいね、これは」
窓の向こうに夕暮れ空が見えた。少しばかり急かされて、ランウェイへと躍り出る。
「わぁ……す、すごい人ですね、きゃあ！？」
「おっと。あぶない」
つんのめったところ、珪に腰を支えられた。羞恥と胸の高鳴りに、早くも頭へ血が上る。
「大丈夫かい？ ゆっくりいこうか」
「は、はいっ」
彼の腕へ手を預ける。華奢な彼が今日は何だか、とても頼もしく思えた。図書委員として接するときより数段、大きな存在に感じられる。
思い切って、手と手を繋ぐ。綾花としては多大な勇気を擁したが、彼は涼しい顔で目を合わせ、微笑んでみせた。大人だ。
ギャラリーの目はもはや意識にも上らず、ランウェイは二人きりの空間となった。先まで歩き、終端で少しばかり、キメポーズをサービスする。
帰りはもう少し弾けるつもりで、彼の腕を抱き込んだ。時おりぱちりと目と目が合い、笑みを交わす。
照明とフラッシュのまぶしさ。ぬくもりと頬の紅潮。足取りはふわふわとしておぼつかず、それでいてしっかりと支えられている安堵。
短くも濃密な歩行は終わりを告げ、控室へ戻った綾花は珪へと真っすぐに向かい合い、告げた。
「ありがとうございました。珪先生」
熱に潤んだ瞳で真剣に見つめると、彼もそれに応えてくれる。
「これからも、今日のように珪先生の隣で歩んでいけるように、頑張ります」
「うん……そんなに肩肘張ることはないけれどね」
苦笑いしつつも、珪は綾花の肩に手を置き、うなずいた。
珪はこの後もあれこれと用事があるらしい。綾花は着替えてきますから、と言って別れた。
顔の赤面を悟られはしなかっただろうか。いや聡い彼のことだからきっと、分かっていただろう。自分ばかり緊張して、彼はといえば涼しい顔なのが少し悔しい。
（でも……）
楽しくて、嬉しくて、幸せな数十歩だった。
ショコラーデ・コレクション会場へ放送が響いた。サロン・デュ・ショコラ一日目の終了時刻が近づいているようだ。
「サロネコは楽しめたかしら？」
「あ」
未だ冷めやらぬ熱に浮かされる綾花へ、桜栄 あずさが尋ねた。
腕組み、威風堂々たる立ち姿。誰にも媚びず、己を貫く胆力。これが大人の女性というものだろうか。
「はいっ、とっても」
ふふん、と満足げに口角を吊り上げ、去ってゆくあずさは美しい。
あんなふうに、自分もなれるだろうか。綾花は綾花のまま、身も心も大人に成長して、愛おしい彼へ引け目も感じず並び立てる時が来るだろうか。
（頑張らなくっちゃ）
心に気合と決意を込め、綾花もまたサロネコを後にする。チョコレートの芳醇な香りだけが、後には残された。
早川 珪の隣を歩むにふさわしい、大人の女性となること。
「受験で大変な時期だろう？ 僕も息が詰まって大変だった覚えがあるからね。少しでも気分転換になればいいね」
「はいっ。楽しいです！」
珪からのお誘いで、『waに染まる猪口齢糖と伝統技術の饗宴』に出かけることになった。今日はその前に、せっかくなのでショコラーデ・コレクションにも行ってみませんかと綾花のほうからお願いして、二人、会場を訪れることとなった。
勉強に疲れた生徒全てに彼がそうしてくれるとは思わない。きっと綾花が特別な生徒だから、そう思いたい。
そして彼にふさわしく大人の魅力あふれるスタイリッシュな装いとなって、ランウェイを歩くのだ。
さっそく参加者として控室へ入り、衣装を選ぶ。
「珪先生なら、どれも似合いそうですけど。どれにしますか？」
「そうだなぁ。あ、これなんて綾辻さんに似合うんじゃない？」
「わ、私よりまず、珪先生の衣装を……！」
ははは、と朗らかに彼は笑む。余裕たっぷりで大人な彼だから、やはりスーツだろうか。あれこれと模索し、どこぞの王室御用達というチョコレートメーカーが監修したスーツの一式を選んだ。胸元に輝くチョコレート型のラペルピンがおしゃれポイントだ。
一方綾花は、こちらもチョコレートカラーを配したビスチェにプリーツスカート、赤のジャケットにリボン付きのベレー、ロングブーツという装いだ。上目遣いに、彼の反応を伺う。
「うん、似合ってる。とても可愛らしいよ」
「本当ですか？ ありがとうございます！ 珪先生も、お似合いです」
「ありがとう。なかなか着心地がいいね、これは」
窓の向こうに夕暮れ空が見えた。少しばかり急かされて、ランウェイへと躍り出る。
「わぁ……す、すごい人ですね、きゃあ！？」
「おっと。あぶない」
つんのめったところ、珪に腰を支えられた。羞恥と胸の高鳴りに、早くも頭へ血が上る。
「大丈夫かい？ ゆっくりいこうか」
「は、はいっ」
彼の腕へ手を預ける。華奢な彼が今日は何だか、とても頼もしく思えた。図書委員として接するときより数段、大きな存在に感じられる。
思い切って、手と手を繋ぐ。綾花としては多大な勇気を擁したが、彼は涼しい顔で目を合わせ、微笑んでみせた。大人だ。
ギャラリーの目はもはや意識にも上らず、ランウェイは二人きりの空間となった。先まで歩き、終端で少しばかり、キメポーズをサービスする。
帰りはもう少し弾けるつもりで、彼の腕を抱き込んだ。時おりぱちりと目と目が合い、笑みを交わす。
照明とフラッシュのまぶしさ。ぬくもりと頬の紅潮。足取りはふわふわとしておぼつかず、それでいてしっかりと支えられている安堵。
短くも濃密な歩行は終わりを告げ、控室へ戻った綾花は珪へと真っすぐに向かい合い、告げた。
「ありがとうございました。珪先生」
熱に潤んだ瞳で真剣に見つめると、彼もそれに応えてくれる。
「これからも、今日のように珪先生の隣で歩んでいけるように、頑張ります」
「うん……そんなに肩肘張ることはないけれどね」
苦笑いしつつも、珪は綾花の肩に手を置き、うなずいた。
珪はこの後もあれこれと用事があるらしい。綾花は着替えてきますから、と言って別れた。
顔の赤面を悟られはしなかっただろうか。いや聡い彼のことだからきっと、分かっていただろう。自分ばかり緊張して、彼はといえば涼しい顔なのが少し悔しい。
（でも……）
楽しくて、嬉しくて、幸せな数十歩だった。
ショコラーデ・コレクション会場へ放送が響いた。サロン・デュ・ショコラ一日目の終了時刻が近づいているようだ。
「サロネコは楽しめたかしら？」
「あ」
未だ冷めやらぬ熱に浮かされる綾花へ、桜栄 あずさが尋ねた。
腕組み、威風堂々たる立ち姿。誰にも媚びず、己を貫く胆力。これが大人の女性というものだろうか。
「はいっ、とっても」
ふふん、と満足げに口角を吊り上げ、去ってゆくあずさは美しい。
あんなふうに、自分もなれるだろうか。綾花は綾花のまま、身も心も大人に成長して、愛おしい彼へ引け目も感じず並び立てる時が来るだろうか。
（頑張らなくっちゃ）
心に気合と決意を込め、綾花もまたサロネコを後にする。チョコレートの芳醇な香りだけが、後には残された。
シナリオ
シナリオデータ
シナリオスケジュール
- シナリオガイド公開日
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- 2023年02月14日
- 参加申し込みの期限
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- 2023年02月21日 11時00分
- アクション投稿の期限
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- 2023年02月21日 11時00分
