ニャンてったって、ネコがすき｜リアクション

ニャンてったって、ネコがすき

◆風変わりな猫たち

　学校帰り。
　八神修と七夜あおいは雑談をしながらいつもの道を歩いていた。そのときふと猫の姿が見えたかと思うと、その影は路地に消えていった。

「あおい、今の猫、長くなかったか？」
「長い？」

　あおいははっきりと見ていないようだ。２人は誘われるように猫が通った道を行くと、空き地に出た。家が建つ予定があるのか、建築資材だけ丁寧に置かれている。
　そこには先ほど見かけた長い猫がいた。おおげさではなく、本当に胴体が長い猫だ。他にも毛玉猫、手乗り猫など。どこか奇妙な猫たちが集まっていた。おそらく神魂の悪戯だろう。

「猫がたくさん！」

　あおいは思わず元気な声をあげた。神魂の影響とはいえ害がある様子も無い。
　
「ながーい猫ちゃん、まぁるい猫ちゃん、ちっちゃい猫ちゃん……なんてね」

　修も目の前の光景に思わず絵本のような表現を並べてしまった。日光を浴びる猫たちに倣って、修たちも建築資材に腰を下ろして猫を招く。
　長猫は修の腕に器用に巻き付いてくる。毛玉猫はぽふぽふと音が聞こえそうな転がり方で空き地を回る。他の猫たちも気ままに過ごしている。こうしていると普通の猫と変わらない。

「癒されるなあ」
「だね」

　修が鞄に常備している猫オヤツを取り出すと、何匹か反応した。それに釣られるように他の猫たちも気づいたようでどっと２人のところに集まって来た。手乗り猫たちが頭や肩にも乗ってきてそのまま横たわる。

「これじゃ動けそうにないな」
「ほんとにね」

　修たちは苦笑いを浮かべた。でも全然困っているようには見えなかった。そんな風に猫たちと過ごして、気が付けば夕暮れだ。名残惜しいが、修たちも家に帰らなくてはならない。

「明日もいるかなあ」
「どうだろう」

　神魂の影響でどうなるか、２人には分からなかった。修は家につくとすぐに着替えようとパーカーや制服を脱ぐ。

「……ん？」

　先ほど空き地に居たはずの手乗り猫がひょっこり顔を出した。どうやらパーカーのフードに入っていたようだ。

「ついてきちゃったの！？」

　全然気づかず、修は驚きの声をあげる。もしかしてと思ってあおいに電話をかける。しかしあおいのほうには付いてきていなかった。フードの居心地がよかったのかもしれない。

「まさかフードのなかにいたなんて」
「ほんと驚いたよ。とりあえず今夜はバレないようにするよ」
「内緒猫だね」
「だな」

　２人はそんなことを言って笑った。

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