ニャンてったって、ネコがすき｜リアクション

ニャンてったって、ネコがすき

◆多くの猫と触れ合いたい

　市橋誉は猫が好きだ。
　犬も好きだが、寝子島は猫の島なので猫との触れ合いが多い。今日もどんな猫に出会えるかと期待して誉は外に出た。
　そこで見かけたのは奇妙な猫たちだった。胴体が蛇のように長い猫、羊みたいな毛に覆われている猫。他にも色々なタイプがいるようだ。

「珍しい色んな猫と触れ合えるなんて、ここは天国か！」

　誉は普段からいつ可愛い猫に出会ってもいいように、猫缶と猫じゃらしを持ち歩いている。今日はそれを存分に活用する絶好の機会だ。
　スケッチブックにペンで鍵盤を描き、ろっこん『奏でるもの』を発動すると紙の鍵盤が実際にピアノの鍵盤になった。そこに指を置いて『ねこふんじゃった』を奏でる。軽快なリズムにつられて様々な猫たちが集まって来た。
　来てくれた猫には猫缶をサービスしつつ、猫じゃらしで遊ぶ。やってきた猫たちは誉を警戒する様子もなく寛いでいる。彼はその様子を残そうと携帯を取り出して写真に収める。
　長猫をそっと持ち上げると誉は首に巻いてみた。特に抵抗もせず伸びたままだ。そのまま毛玉猫に顔を埋める。首も顔ももふもふだ。そのまま軽く沈み込む。それから液体猫のとろける手触りを堪能し、宝石猫の肉球の色や触り心地を丁寧に確かめる。

（はぁ……幸せだ）

　だが他にも猫たちがいて幸せは終わらない。電気猫に触るのは難しいかもしれないと思いつつ、なんとか猫じゃらしを使って肉球チェックと撮影を行う。未来猫は機械でできているので全身を磨いてピカピカにしていく。

「機械も可愛い……！」

　磨く誉の前には天使猫と悪魔猫。可愛らしい喧嘩を穏やかな表情で眺めている。寄ってきた手乗り猫は頭でも肩でも可能な限り乗せた。心地よい重さに抱かれながら体を横たえる。そこにボム猫がやってきて爆発しても触れ合いをやめなかった。さらに蛍猫が寄って来たのでそっとお腹に抱えると、まるで添い寝のようだった。ぽかぽかとした温かさを感じて、幸せな気持ちでいっぱいになる。
　やがて時間になると、猫たちはどこかへ消えてしまった。誉の体には猫たちがいた感触だけが残っている。

「ああ、夢のような時間だった……」

　誉は写真フォルダに収められた猫たちを見て幸せそうに微笑んだ。

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